解剖生理学 -エネルギー産生

2023年12月26日

はじめに


整体院に来られる方はご自身の体に対しての興味レベルが高いと推測されます。そのような方がどういった身体の仕組みにより身体が動いいて、どの臓器がどのような機能をしているのかということに関して、記事を通じて少しずつ情報配信をしていこうと思います。

今現在、日本で国が認める医療という枠組みにおいては「医師」「歯科医師」「看護師」「歯科衛生士」「理学療法士」「作業療法士」「柔道整復師」「鍼灸師」などが国家試験を通じ、正式な資格を持ち医療に携わっています。

それ以外にも国が定める医療という枠組みの外に「カイロプラクター」「整体師」などが存在しています。これらは現在の日本の国の制度としては医療として正式に認定されていない検証段階のものが多いです。(海外では医療として認められているケースも多いです)

それぞれがそれぞれの役割をもって人々の健康に貢献しています。

どの分野であろうとベースである、関わる人体というものは同じです。その人体というものを学ぶのが解剖生理学であらゆる基礎となるため、「医療者」を適切に判断するためにもある程度の基礎というのを多くに方に知っていただきたく記事で紹介していくこととします。

 

解剖生理学( Anatomical physiology )とは?


解剖生理学とは何か、何のために必要なのか。先ほど述べましたが、解剖生理学というのは人体の理(ことわり)において基礎となる部分となります。

お腹がいたいと言われた場合に「具体的にどこがどう悪いのか」「痛みの種類はどうなのか」「言語的な表現の枠食い以外に表情やジェスチャーなどから汲み取れる情報がどの程度あるか」など組み合わせて原因を特定、解決策を打ち出す必要があります。

その場合の「具体的な打ち手」というよりは、「理解するための基礎」としてとても重要なポイントとなります。

内容としては、高校で習った「生物」「化学」と重複する部分が多く、学生時代に理系だった、もしくは、熱心に勉強したという方にはほぼ既知の情報を提供することとなります。

 

エネルギーをどうやって生み出すか


が毎日、呼吸をして酸素を取り入れています。人はなぜ呼吸をするのか、そして呼吸ができんないとどうして死んでしまうのか。改めて考えたことはあるでしょうか?

人はATP(アデノシン三リン酸)というエネルギーをミトコンドリアが産生することで生命活動を維持しています。

そのミトコンドリアがエネルギーを生み出すために酸素が必要となるため人体は絶えず呼吸を酸素を必要としています。

酸素が使われ、エネルギーが生まれる化合式は

2H2 + O2  ⇒ 2H2O (水の化学反応)

 

これは中学校の化学の実験で、水素に火をつけて、小さな爆発を起こした反応と同じです。これが体内で起こることでエネルギーを生み出しているのです。

 

エネルギー源であるATP(アデノシン三リン酸)とは?


ATPは英語ではAdenosine Triphosphateと表記され、アデノシンという物質に、(Triは3という意味で)3つのリン酸がついた状態のことを表します。

通常、肉体の体温を維持したり、筋肉を動かすエネルギーはこのATPの一つのリン酸が加水分解から離れることでADP(Adenisine Diphosphate)となる際に生じるエネルギーを使っています。(Diは2という意味でこの場合リン酸が二つついている状態のこと)

先の説明の中で記載していた水素から酸素(呼吸)によりエネルギーを生み出すという化学反応でエネルギーを産生しているといいましたが、実際に使用する「水素」はどこからきているのかという疑問がわいたのではないかと思います。

解糖系と言われる、優先的に行われるもっとも基本的なエネルギー産生経路をお話します。(もう一つ、脂肪酸をエネルギー源とする、いわゆるRIZAPでも行われている糖質ダイエット、糖尿病患者の方に推奨されるケトン体をエネルギーとする回路は複雑なので別途お伝えします)

人間は日常的に米やパンなど日常的に糖質の含まれている食べ物を摂取しています。

これらに含まれているブドウ糖(C6H12O6)が先の式の水素として活用され、酸素を組み合わせで、エネルギーと水と二酸化炭素を生み出します。

 

化学式  C6H12O6 + O2 ⇒ (エネルギー +) 6H2O + CO2

呼吸は酸素を取り入れ、二酸化炭素を出すというのはこのようにエネルギーの産生に必須の活動であるということがわかると思います。

 

この生命活動の中で細胞で生じた老廃物などは期待である二酸化炭素として呼吸で排出、それ以外のものは血液を通して外に排出、血液が腎臓を通過することでろ過され尿として排出されます。タンパク質や拡散に含まれる窒素は代謝物として尿素や尿酸を出し、それらは水に溶かし尿として排出されます。

エネルギー産生の話からは少し外れますが、尿は代謝により生まれた不要物を排出し、便は食物として経口摂取したものが消化・吸収できなかったもの、大量の腸内細菌や古い腸内膜のはがれおちたものが便として排出されます。

 

エネルギー産生のサイクルは人間特有のものか?


答えはNoです。上記の式で表したような化学反応、エネルギー産生サイクルは人間だけでなく、アメーバも同じ形でエネルギーを産生します。

そのため、よく火星などで生命活動があるかを、「酸素」「水」があるかなどで判断するのもそのためです。

栄養と酸素を取り込み、消化吸収し、エネルギーを産生する。すべて共通の生命活動です。

この生命活動としてのエネルギーを産生する化学反応には実は2種類あり、それは下記の2種類です。

1.同化作用(合成反応)

栄養 ⇒ 体に必要な成分 + エネルギー

2.異化作用(分解反応)

体に必要な成分 ⇒ エネルギー + 不要な物質

 

エネルギーはこのように合成される場合と分解する場合どちらでもエネルギーが合成されるようになっています。

次回は具体的にエネルギーが合成される細胞に関して書いていきます。

 

参考:書籍 -からだのしくみとはたらき