ALSで鍼灸を検討するとき、いちばん大事なのは「何を目的にするか」です。 鍼灸は“何でも良くする治療”として語られがちですが、ALSでは目的を分けないと判断が難しくなります。
ここでは鍼灸を否定も肯定もしません。 期待できる可能性がある領域と、結論が強くない領域を分けて整理し、 納得して選べるための判断軸(目的・測定・期間)を提示します。
医学的判断(診断・治療方針・薬の調整等)は主治医の判断を最優先してください。本ページは情報整理です。
ポイント
- 目的を分ける:ALSでは「症状・QOL」と「進行抑制」は別の問いになりやすい。
- 測って判断する:体感だけで継続を決めず、最初に評価指標を決める。
- 断定表現に流されない:「必ず」「進行が止まる」などの説明は慎重に扱う。
期待できる可能性がある領域
1)症状・QOL(生活のしんどさ)
- 痛み、こわばり、疲労感、睡眠の質など
- 「動かしやすさ」を短期的に感じるケース(筋緊張や循環・体調面の影響)
- 不安やストレスが強い時期の“生活の安定”
ここは「改善=病気が治る」ではなく、日々の生活を回すための価値として捉える方が判断しやすいです。
2)“併走”としての位置づけ
- 主治医の診療・薬・リハを土台に、補助的に組み合わせる
- 転倒や痛みで活動量が落ちている時のサポートとして検討する
呼吸状態、嚥下、転倒リスク、抗凝固薬などの条件は、必ず主治医と共有してください。
結論が強くない(慎重に扱う)領域
ALSの進行抑制や病態そのものの変化については、一般に断定的に語りにくい領域です。 そのため、次のような説明を受けた場合は、評価方法(何をどう測っているか)を必ず確認してください。
- 「進行が止まる」「原因に直接効く」などの強い断定
- 評価指標が曖昧(何を見て“効いた”と言っているかが不明)
- 期間が不明確(いつ判断するかが決まっていない)
ここは“否定”ではなく、判断ミスを減らすための整理です。
検討の手順(目的・測定・期間)
1)目的:何を変えたい?
- 痛み・こわばり・睡眠など、具体的な「困りごと」を1〜2個に絞る
- 「進行を止めたい」ではなく、今月の生活の目標に落とす(例:外出回数、転倒回数など)
2)測定:何を数字で追う?
- 症状:痛み(0〜10)、睡眠(主観でOK)、疲労(0〜10)
- 生活:歩行距離/時間、移乗の回数、会話のしやすさ、食事のむせ回数など
- 可能なら:主治医の評価指標(ALSFRS-Rなど)を“経過の枠”として参照
3)期間:いつ判断する?
- 「何回で」「どれが」変わらなければ中止/変更するかを先に決める
- 継続判断は“指標が動いたか”で行う(感覚だけに寄らない)
主治医との併走で大事なこと
- 呼吸・嚥下・転倒のリスク、薬(抗凝固薬など)は必ず共有
- 体調変化があれば、施術の継続より先に医療側へ連絡
- “生活の目標”と“医学的な目標”を分けて考える
FAQ
「鍼灸はALSに効かない」と言い切らないのはなぜ?
ALSでは、症状・QOLの支援として価値が出る場面があります。一方で、進行抑制などは別の問いで、判断には測定と期間設計が必要です。 目的を分けることで、不要な対立を避けながら、当事者が損をしにくい判断ができます。
「短期的に動かしやすい」は信じていい?
“動かしやすさ”は、痛み・緊張・体調(睡眠や疲労)など多因子で変わります。 信じるかどうかではなく、最初に決めた指標(痛みスコア、歩行時間など)が動いたかで判断するのが安全です。
避けた方がいい説明は?
「必ず」「進行が止まる」などの断定、評価指標が示されない説明、判断時期が決まっていない説明は慎重に扱ってください。
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免責事項
- 本ページは情報整理であり、診断・治療の代替ではありません。
- 治療方針や緊急性の判断は主治医の診断を最優先してください。
- 療法の効果を保証するものではありません。
