Cell Healingでは、東京までの長距離移動が難しい方に対して、地域ごとの希望状況と身体状態を確認しながら出張施術を行っています。 今回、全国巡回体制の一環として大阪で3件の施術と再評価を実施しました。
本記事は、出張施術の実施内容と当日に観察した変化を記録するものです。 対照群を置いた臨床試験ではなく、施術の効果や同様の結果をすべての方に保証するものではありません。 ALSの診断、呼吸管理、投薬、リハビリテーション、遺伝学的評価は、主治医および医療専門職の判断を最優先してください。
- 長期経過の中で大きな機能変化を記録してきたALS診断例の再評価
- ALSではないかという不安があり、継続的に身体状態を確認している方
- 重度の呼吸障害を伴い、長距離移動が困難な新規ALS診断例
大阪出張を行った目的
ALSでは、筋力低下だけでなく、呼吸、嚥下、疲労、移動時の身体的負担が重なります。 症状が進行すると、新幹線や飛行機で東京まで移動すること自体が大きなリスクになることがあります。
そのため当研究所では、地域ごとの希望者数や緊急性を確認しながら、施術者が現地へ移動する巡回体制を進めています。 今回の大阪出張では、既存の2件について経過を再評価するとともに、移動が難しい新規の相談に対応しました。
全国巡回の考え方や地域別の事前登録については、 全国展開・難病物理介入の広域ネットワーク構想 をご覧ください。
継続例1:長期的な改善後の再評価
1件目は、当研究所で長期的に経過を確認し、筋力や動作に大きな変化が記録されてきた方です。 今回は約6か月ぶりの施術となりました。
当日の状態
全体としては、以前に回復した機能を大きく崩すことなく維持されていました。 一方、発症時に症状が強かった側の肩・上肢、体幹、下肢の一部では、 前回までと比較して軽度の出力低下がみられました。
大きく生活機能が崩れている状態ではありませんでしたが、 長期間施術間隔が空いたときに、どの部位から変化が現れやすいかを確認できる機会となりました。
施術前後の観察
施術前後をできるだけ同じ姿勢と方法で比較した範囲では、 肩・上肢・体幹・下肢の複数部位で、徒手筋力評価上の出力変化を確認しました。
単回の施術前後で徒手筋力が変化したことだけでは、ALSの病勢そのものが改善したとは判断できません。 疲労、姿勢、検査者の力、本人の努力量などの影響を受けるため、生活動作や筋肉量を含む長期記録が必要です。
継続例2:ALSへの不安が続く方
2件目は、ALSではないかという不安があり、通常は2~3週間に1回程度の頻度で身体状態を確認している方です。 今回は東京への来院ではなく、大阪出張の機会に対応しました。
経過
一部に軽度の筋萎縮と筋力低下がみられるものの、 最も状態が悪かった時期と比較すると、改善した状態はおおむね維持されていました。
一方、ご本人には疲れやすさが残り、 「まだ弱いままで、十分には戻っていない」という認識がありました。 体感と徒手評価、生活動作の状態が必ずしも一致しないこともあるため、それぞれを分けて確認しました。
当日の観察
施術前後の同条件での比較では、複数の筋力評価項目で出力の変化を確認しました。 ただし、この方はALSと診断された方ではありません。 Cell HealingでALSの診断や否定を行うことはできず、診断については脳神経内科での経過観察と検査が前提になります。
ALSではないかという不安がある方は、症状だけで自己判断せず、 ALSが心配な方へ も併せてご確認ください。
新規例:重度の呼吸障害を伴うALS診断例
3件目は、呼吸機能が著しく低下し、医療側からも厳しい見通しを説明されているALS診断例です。 長距離移動による身体的な負担が大きいため、現地での訪問対応を行いました。
本人および家族のプライバシーを守るため、 年齢、性別、詳細な呼吸機能値、家族構成、医療機関、正確な予後説明などは掲載していません。
身体状態の特徴
当日の動作と筋力を確認した範囲では、片側から明確に進行したというよりも、 全身性の筋力低下が目立つ状態でした。
- 首や体幹を支える筋肉の低下
- 胸郭運動や呼吸に関わる筋肉の低下
- 全身の筋肉量が少ない部位で目立つ弱さ
- 左右差は比較的小さい
- 呼吸の負担が強い一方、立位・歩行に必要な筋力は一部保たれている
一般的な四肢発症型とは異なり、呼吸障害が早期から前景に立つ経過でした。 呼吸症状から始まるALSは少数ですが、医学的にも報告されている発症形式です。
遺伝学的な情報について
認知症を含む家族歴があり、現在は遺伝子検査の結果を待っている段階です。 ただし、家族歴だけから原因遺伝子、遺伝形式、発症年齢、進行速度を推定することはできません。
遺伝子検査の結果は、本人や家族にも関係する情報です。 結果が判明した場合は、主治医と遺伝カウンセリングを通じて意味を整理することが重要です。
当日に確認した変化
頭部周辺、上位頸部、頸部から胸郭周辺を含めて部位ごとの反応を確認し、 施術前後で徒手筋力と呼吸の主観評価を比較しました。
上位頸部周辺への介入後、同じ姿勢と動作で比較した範囲では、 同側の上肢および下肢の徒手筋力に変化がみられました。 また、頸部から胸郭周辺への介入後には、本人の主観評価として呼吸のしやすさに変化がみられました。
当日は、施術前後で肺活量、血液ガス、二酸化炭素、横隔膜エコーなどの客観的な再測定を行っていません。 そのため、本人が呼吸しやすさの変化を感じたことと、呼吸機能が医学的に改善したことは分けて考える必要があります。
今後の位置づけ
重度の呼吸機能低下がある段階では、施術やホームケアだけで回復を目指すことは難しく、 生命予後を延ばせると説明することもできません。
医療側による換気補助、排痰、咳嗽力、嚥下、栄養、睡眠、緊急時の対応を最優先とし、 ホームケアは本人の負担を増やさない範囲で、身体状態を支える補助的な方法として位置づけます。
厳しい見通しの中でも、ご本人が自分の価値観に沿って日々の選択を重ねている姿が印象に残りました。 病気や苦しさを美化するのではなく、本人の意思を尊重しながら、 期待できることと限界の両方を率直に伝える必要を改めて感じました。
今回の観察をどう解釈するか
3件に共通していたのは、診断名や本人の体感だけで判断せず、 部位ごとの筋力、動作、疲労、呼吸、生活機能を分けて確認する必要があることです。
- 長期的な改善後も、間隔が空けば一部に変化が現れることがある
- 本人が弱いと感じていても、最悪時からの改善が維持されている場合がある
- 単回の施術前後で変化があっても、長期的な病勢改善とは限らない
- 呼吸の体感変化と、肺活量などの客観的な呼吸機能は分けて評価する
- ALSへの不安がある状態と、医療側でALSと診断された状態を混同しない
- 重度例ほど、施術より先に医療側の呼吸・嚥下・栄養管理を整える必要がある
Cell Healingで記録している変化は、標準医療を中止または置き換えるためのものではありません。 医療的な安全管理を土台に、身体のどの機能が残り、どこに変化の余地があるかを確認する取り組みです。
今後の出張対応について
出張施術は、通常の東京での継続施術と同じ頻度を確保することが難しいため、 1回の訪問だけで長期的な回復を目指すものではありません。
現地では、現在の身体状態、移動の可否、医療的な安全性、施術前後の変化、 ご家族が行える補助的なケアを確認し、その後の継続方法を整理します。
各地域への訪問は、希望者数、緊急性、移動距離、機材、施術者の確保を踏まえて日程を調整します。 呼吸状態が不安定な方については、主治医や訪問看護等の医療体制が整っていることを前提とします。
医学的参考資料
- Shoesmith CL, et al. Prognosis of amyotrophic lateral sclerosis with respiratory onset. Journal article
- Roggenbuck J, et al. Evidence-based consensus guidelines for ALS genetic testing and counseling. Annals of Clinical and Translational Neurology
- C9orf72 Frontotemporal Dementia and/or Amyotrophic Lateral Sclerosis. GeneReviews
- Fuller DD, et al. The phrenic neuromuscular system. Journal article
※本記事の症例情報は、個人が特定されないよう一部の背景、数値、家族情報、時期を省略または一般化しています。 記載内容は当日の観察記録であり、診断や治療効果の保証を目的とするものではありません。
