免疫力に重要な器官:腸と胸腺

免疫力に重要な器官:腸と胸腺

常識になりつつある「腸=免疫」


近年、腸が最も重要な器官の一つであることは徐々に認知が広まり、「腸内環境の改善=免疫システムの改善」ということは割と常識になりつつあるように感じます。

腸内環境がどのように機能して何がどう影響することで精神状態の落ち込み(うつ病)予防になること、痩せるかどうかは腸内細菌が決める、肥満度は腸内が握っているということは糖尿病や高血圧などもすべて腸内環境による、つまりは生活習慣というのは腸内環境といっても過言ではないほど、腸内環境と健康というのは切っても切り離せないものなのです。

 

誤解が多いこと:免疫は高ければ高い程よい


話をいろいろと聞いていると誤解があると思った点の一つが「免疫を高めたい」「とにかく免疫を上げたい」という言葉です。

これは免疫が落ちている人には一部正しいのですが多くの人の場合は「免疫は整えるものであって高めるものではない」さらに言うと「免疫力自体は高めながらコントロールしていくこと」こそが重要なのです。

例えば、免疫系の不和によって起きる代表的な症状が「アレルギー症状」です。これは決して免疫が下がっているわけではなく、免疫は元気に強力に働いているがしかし、その働き方が間違っているというものです。

免疫を「コントロールする」という側面にフォーカスすると大事になってくるのが胸腺という器官です。

 

胸腺って?免疫の監督養成所


胸腺は心臓の近く(上部かつ前部)にちょこっとついている器官です。

「免疫」はいわゆる免疫細胞

・顆粒球

・マクロファージ

・樹状細胞

・リンパ球(T細胞とB細胞)

などのことです。

免疫細胞は造血幹細胞のある器官で作られます。

骨髄や脾臓、腸管などから作られていて(胎児期は肝臓から)います。そしてその免疫細胞の多くは腸管にいます。

 

胸腺はいったい何をしているか?

胸腺はT細胞だけをつくるための臓器で、ひたすらT細胞を作っています。

 

顆粒球とB細胞は、赤血球や血小板と同じように、造血幹細胞のいる臓器でつくられます。

胎児期は肝臓で、生まれてからは骨髄でつくられます。

一方でT細胞だけは胎児期も、生まれてからも胸腺という臓器でつくられます。

 

「腺」という名前がついていますが、他の「〇〇腺」のようにホルモンの分泌を行う臓器ではありません。

T細胞とは

T細胞(ティーさいぼう、T cell、T lymphocyte)とは、リンパ球の一種で、骨髄で産生された前駆細胞胸腺での選択を経て分化成熟したもの。細胞表面に特徴的なT細胞受容体(T cell receptor;TCR)を有している。末梢血中のリンパ球の70〜80%を占める。名前の『T』は胸腺を意味するThymusに由来する。

引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/T%E7%B4%B0%E8%83%9E

T細胞という名前自体も胸腺に由来している本当にT細胞のための器官です。

そしてT細胞は何をしているかということを端的に説明すると

「敵、味方を見分けて攻撃の指示を出す」

というのがT細胞です。

過剰なアレルギー反応や、自己免疫系疾患の橋本病、バセドウ病、リウマチ性関節炎などは自らの免疫細胞が本来の自分の身体を勘違いして攻撃してしまう状態のため、免疫は強ければいい、のではなく、「適切にコントロールされている」状態が理想的な状態と言えます。

 

胸腺の機能の整え方


胸腺が大事なことがわかったものの、胸腺のケアの仕方というのは通常は困難です。

胸腺が大きくなりすぎる(胸腺肥大になる)と、T細胞が暴走し、免疫系の疾患となる重症筋無力症やその他自己免疫系の疾患になるリスクが大きくなります。

胸腺肥大が認められる場合は原因はわかっていない場合が多いものの、切除などの外科的な介入をすることで解決することが多いです。

しかし、難病やその他難しい病気ではないが「免疫機能が適切な範囲内にない」という場合はケアの仕方が難しいです。

 

当院からの提案は下記の2つです。

 

1.ビタミンD3の血中濃度を上げる

下記にも記載があるように、ビタミンDというのは免疫においてとても重要な役割を果たすので、「日光を浴びる」「サプリメントによる摂取」がおススメです。

ビタミンDに関しての記事:

 

参考引用情報:

ビタミンD

ビタミンDの活性型(1, 25-ジヒドロキシビタミンD3)は、ビタミンAのように、標的遺伝子の発現を制御するステロイド・ホルモンとして機能する。1, 25-ジヒドロキシビタミンD3の生物学的効果の多くは、ビタミンD 受容体(VDR)として知られている核転写因子により仲介されている (68)。細胞の核に入る時には、1, 25-ジヒドロキシビタミンD3はVDRに結合して、そのレチノイドXレセプター(RXR)への結合を促進する。1, 25-ジヒドロキシビタミンD3の存在下で、VDR/RXR複合体はビタミンD応答要素(VDREs)として知られているDNAの小さな配列に結合し、特定の遺伝子の転写を調節する数多くの分子間相互作用のカスケードを開始させる。生体内組織の200を超える遺伝子が1, 25-ジヒドロキシビタミンD3によって、直接的もしくは間接的に制御されることが知られている (44)

ミネラルのホメオスタシスと骨代謝に対するその影響に加えて、1, 25-ジヒドロキシビタミンD3は、免疫系における強力な調節因子であると認められている。VDRは単球、マクロファージ、樹状細胞、活性化したT細胞を含む数種類の免疫細胞で発現している (69-72)。マクロファージも25-ヒドロキシビタミンD3-1-ヒドロキシラーゼという酵素を生産し、局所的にビタミンDを活性型に転換できる (73)。1,25-ジヒドロキシビタミンD3は自然免疫の応答も適応免疫の応答も調節することが研究で示されている。

抗菌性ペプチド(AMPs)とその他のタンパク質は病原体(特に細菌)を直接殺して免疫を促進するので、自然免疫系の重要な構成要素となっている(74)。AMPsは細胞シグナリング効果を通して免疫機能の調節も行っている(75)。ビタミンDの活性型は、カテリシジンと呼ばれている重要な抗菌性タンパク質を制御している(76-78)。免疫細胞の増殖とサイトカインの生産を含む自然免疫の他の要因が、ビタミンDによる刺激を受けていることも示されている(79)。これらの役割を通して、ビタミンDは、病原体に起因する感染症から身体を防護することに貢献している。

ビタミンDの適応免疫への影響は主に抑制なものである。特に1, 25-ジヒドロキシビタミンD3はB細胞による抗体生産を抑えるだけでなく、試験管内でのT細胞の増殖を妨げる(80-82)。さらに、1、25-ジヒドロキシビタミンD3はヘルパーT細胞ならびに樹状細胞の機能的な表現型を調節することが示された(75)。細胞表面タンパク質であるCD4を持っているT細胞は、生産する特有のサイトカインにより2つのサブセットに分けられる: ヘルパーT (Th)1細胞は主にマクロファージの活性化と炎症応答に関わっている。そして、Th2細胞は主にB細胞による抗体生産を刺激することに関わっている(12)。いくつかの研究が示すところでは、1、25-ジヒドロキシビタミンD3はTh1細胞の発生と機能を抑制する(83, 84)が、Th2細胞(85, 86)と調節性T細胞(87, 88)の発生と機能は促進する。これらの後2者のタイプの細胞は、自己免疫疾患と移植拒絶反応で重要な調節を行っており、ビタミンDはそのような病態の予防や治療に有用であると考えられている(89)。様々な動物モデルを使用した研究からは、1, 25-ジヒドロキシビタミンD3の自己免疫疾患と移植に対する有用性が報告されている(84の総説を参照)。

実際にビタミンDの欠乏はいくつかの自己免疫疾患の発症に関連している。例えば、インスリン依存性(真性)糖尿病(IDDM;タイプ1真性糖尿病)、多発性硬化症(MS)と慢性関節リウマチ(RA)である。身体が外来の病原体の代わりに自分自身の組織に対して免疫応答を開始すると、自己免疫疾患が発症する。免疫応答が間違って標的にするのは、IDDMでは膵臓のインスリンを生産するベータ細胞であり、MSでは中枢神経系のミエリン生産細胞、そしてRAでは関節のコラーゲン生産細胞である(90)。緯度が高い地方ほど、様々な自己免疫病の罹患率が上昇することが、いくつかの疫学研究で明らかになっている(91)。このことは、紫外線B (皮膚でのビタミンD合成を誘導するために必要なタイプの紫外線) を浴びる量が低下すること、およびそれに伴う内在性ビタミンD合成の減少が自己免疾患の病状に一定の役割を果たしている可能性を示唆する。加えて、ビタミンDの摂取量が多いか、または血清レベルが高いと、IDDM (92)、MS (93-96)とRA (97)の発生率、進行または症状の低減化と関連することを、いくつかの症例対照研究と前向きコホート研究の結果が示している。詳細は、ビタミンDに関する別の記事を参照のこと。ビタミンDの補充が自己免疫疾患のリスクを減らすかどうかは、まだわかっていない。面白いことに、最近の系統的レビューと観察研究のメタ解析によれば、幼年期のビタミンDサプリメントがIDDMになるリスクを29%低くすることがわかっている(98)。様々な自己免疫病的状態でのビタミンDの役割を明らかにするためには、更なる研究が必要である。

引用元:https://lpi.oregonstate.edu/book/export/html/2346

 

2.生体電流療法(当院提供施術)

まだエビデンスとしては乏しいものの、

  • バセドウ病
  • 橋本病
  • 重症筋無力症

上記の自己免疫系疾患の方々から症状がとても楽になったというフィードバックをいくつももらっています。

バセドウ病などは薬がメインで作用しているものにはなりますが、重症筋無力症に関しては長期で受けることで、服薬量が減らすことができるというコメントもいただき、重症筋無力症の薬の副作用(ツライものとして薄毛等)などにも効果が期待できるため、おすすめです。

 

最後に


免疫はとても強力で頼もしい機能で、生きている限りずっと付き合うものです。その免疫機能を適切に働かせることで、ガンなどの予防から、特定の疾患の予防までうまくコントロールしていただけたらと思います。

できる限りのことを当院でもお手伝いさせていただいています。

 

 

参考リンク: