Cell Healing代表・日原成智による 『FSHDと診断されたときに最初に読む本』第2巻を、 日本語版と英語版のKindle書籍として刊行しました。
第2巻のテーマは、 「なぜ変わり得るのか――機序・評価・症状別」です。
FSHDは、遺伝子に関わる進行性の筋疾患です。 しかし、遺伝子の状態が変わらないことと、 現在の筋肉量・筋力・動作が一切変化しないことは同じではありません。
それでも、身体は変わり得る。
なぜ筋肉量、筋力、動作に変化が起こり得るのか。 その変化を、単なる体感ではなくどのように記録し、評価するのか。 顔、まぶた、肩甲骨、上肢、体幹、歩行、呼吸など、 症状ごとに何を確認すればよいのか。
本書では、この三つの問いを「機序・評価・症状別」の順に整理しています。
第2巻のテーマは「機序・評価・症状別」
遺伝子疾患であっても、筋肉量・筋力・動作が変化し得る理由を、 三つの作用仮説から考えます。
回復、改善、維持、代償を分け、 動画、筋力、筋肉量、可動域、生活動作をどう記録するかを整理します。
顔、まぶた、肩甲骨、腕、体幹、歩行、疲労、呼吸、睡眠などを、 症状ごとに分けて見ていきます。
第1巻では、FSHDの症状、診断、遺伝、標準ケア、新薬・治験など、 病気そのものの全体像を扱いました。
第2巻では、その医学的な基礎を踏まえたうえで、 「身体の中で何が変わり得るのか」 「その変化をどう確かめるのか」という実践的な段階へ進みます。
機序:なぜ身体は変わり得るのか
FSHDでは、D4Z4領域、4qA許容ハプロタイプ、 DUX4の異常発現などが病態の中心にあります。 施術によって、これらの遺伝学的な土台が修復されたと示されたわけではありません。
一方で、Cell Healingの継続的な観察では、 筋肉量、筋力、可動域、動作、生活機能に変化がみられた事例があります。
第2巻では、その変化を説明するための作業仮説として、 次の三つを整理しています。
-
抗炎症
筋肉や周囲組織の炎症様環境が変化することで、 筋出力、疲労、痛み、可動域、代償動作に変化が起こる可能性を考えます。 -
異常たんぱく質の分解
筋肉や神経筋機能を妨げる異常反応や処理不全が変化し、 筋肉が再構築される余地が生まれる可能性を考えます。 -
電磁気的な刺激による細胞惹起
生体磁気、誘導電流、電磁気的刺激によって、 筋肉、神経筋機能、細胞の反応性が引き出される可能性を考えます。
本書で示す三つの作用は、現時点ではCell Healingにおける作業仮説です。 FSHDの遺伝子を修復したこと、DUX4を直接抑制したこと、 FSHDに対する確立治療であることを示すものではありません。
観察された身体変化と、それを説明するための仮説を分けて記載しています。
評価:「よくなった」をどう確かめるか
FSHDでは、体調、疲労、姿勢、測定時間、測定方法によって、 動きやすさや数値が変わることがあります。
そのため、一度の体感や一つの数値だけで、 「回復した」「進行した」と判断することはできません。
第2巻では、次の言葉を区別します。
- 回復:原則として筋肉量と筋力の増加がともに確認された変化
- 改善:痛み、疲労、可動域、動作などがよい方向へ変化した状態
- 維持:進行性疾患において、機能低下を大きく進ませず保っている状態
- 代償:本来使いたい筋肉ではなく、別の筋肉や姿勢で動作を成立させている状態
- 同じ角度・距離・姿勢で撮影した動画
- 同じ測定条件での筋力評価
- 上腕、大腿、下腿などの周囲径
- 体組成計による筋肉量の推移
- 関節可動域
- 歩行、階段、洗髪、着替えなどの生活動作
- 疲労、痛み、翌日への影響
すべての方が、すべての測定を行う必要はありません。 大切なのは、続けられる方法を選び、 できるだけ同じ条件で比較することです。
症状別:生活の中で何を見るか
FSHDでは、同じ診断名でも、困っている部位や進行の仕方が異なります。 肩や腕だけでなく、顔、体幹、下肢、呼吸、疲労まで分けて見る必要があります。
第2巻では、主に次の症状と生活上の問題を扱います。
- 顔が動かしにくい、笑いにくい
- まぶたが閉じにくい、目が乾く
- 肩甲骨が浮く、腕が上がらない
- 洗髪、歯磨き、着替え、荷物を持つ動作
- 左右差が強いとき
- 体幹、腹筋、姿勢保持
- 腰痛、背部痛、代償動作
- 歩行、つまずき、下垂足、階段
- 疲労、過用、活動量の低下
- 呼吸、睡眠、寝苦しさ
- 遠方通院、海外渡航、短期間の集中介入
たとえば、まぶたが閉じにくい場合には角膜の保護、 呼吸や睡眠に変化がある場合には呼吸機能・睡眠中の換気評価など、 施術や生活上の工夫だけで済ませず医療へ相談すべき状況があります。
日本語版・英語版をKindleで刊行
FSHDと診断されたときに最初に読む本
第2巻:なぜ変わり得るのか――機序・評価・症状別
身体が変化し得る理由、回復の評価と記録、 顔・肩甲骨・上肢・体幹・歩行・呼吸などの症状別の見方をまとめた日本語版です。
日本語版をAmazonで見るFSHD: The First Book to Read After Diagnosis
Book 2: Why the Body Can Still Change
The English edition examines why muscle mass, strength, and movement can still change, how recovery should be evaluated, and how to approach FSHD symptom by symptom.
View the English edition on Amazon第1巻と第2巻の違い
どちらから読むか迷う場合は、 現在知りたい内容に合わせて選ぶことができます。
| 第1巻 |
FSHDという病気を知るための巻 症状、診断、遺伝、D4Z4・DUX4、標準ケア、 リハビリ、装具、手術、新薬・治験の現在地を扱います。 |
|---|---|
| 第2巻 |
身体の変化を理解し、記録するための巻 三つの作用仮説、回復評価、動画や測定、 顔・肩甲骨・上肢・体幹・歩行・呼吸などの症状別の見方を扱います。 |
| おすすめの順番 | 診断や病気の全体像から知りたい方は第1巻から。 身体の変化、評価方法、症状別の実践を先に知りたい方は、 第2巻からでも読める構成です。 |
FSHDを知る
症状・診断・標準ケア・治験の現在地をまとめた、 全3巻シリーズの第1巻です。
日本語版・第1巻を見るUnderstanding FSHD
An introduction to FSHD symptoms, diagnosis, genetics, standard care, and the current state of clinical trials.
View Book 1 in English全3巻シリーズの構成
『FSHDと診断されたときに最初に読む本』は、 読者が必要な情報を段階的に確認できるよう、全3巻に分けています。
症状、診断、遺伝、標準ケア、新薬・治験など、 FSHDという病気の全体像を整理します。
身体が変化し得る理由、三つの作用仮説、 回復の評価と記録、症状別の見方を扱います。
施術プロセス、補助的アプローチ、 国内外の記録とその限界、情報を判断する視点を扱います。
第3巻および紙書籍版の刊行後には、 Kindle日本語版・英語版・紙書籍版の違いと、 どの巻から読むべきかをまとめたシリーズ総合ページを公開する予定です。
FSHDについて詳しく確認したい方へ
身体の変化を、感覚だけで終わらせないために
第2巻では、なぜ変化し得るのかという仮説と、 その変化をどう測り、どう判断するかを一冊にまとめています。
日本語版・第2巻 English Edition・Book 2本書および本記事は、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)に関する 一般的な医学・健康情報、Cell Healingにおける観察記録および施術理論を 整理することを目的としています。
医師による診断、治療、投薬、リハビリテーション、 遺伝カウンセリングその他の医療行為に代わるものではありません。 具体的な症状、検査、治療、薬剤、装具、手術、呼吸管理、 遺伝に関する判断は、主治医その他の有資格の医療専門職へご相談ください。
本書で紹介する身体変化は観察記録であり、 対照群を置いた臨床試験の結果ではありません。 記載された変化には個人差があり、 すべての方に同様の結果を保証するものではありません。 また、FSHDの完治、遺伝子修復、DUX4の直接抑制を示すものではありません。

