筋強直性ジストロフィー(DM1)の白内障|見え方の変化・眼科検査・手術の相談

DM1/白内障・眼科・見え方

まぶしさやかすみで、読む・歩く・仕事をすることがつらくなったら。

筋強直性ジストロフィー1型(DM1)では、比較的若い年齢でも白内障が見つかることがあります。「まだ若いから」「筋肉の病気だから」と我慢せず、目の状態を眼科で診てもらうことが大切です。

白内障による見えにくさは、必要に応じて手術などの治療を検討することで、改善を目指せます。DM1の心臓・呼吸の情報と、術後の点眼や通院の準備を共有し、本人に合う治療につなげましょう。

DM1では若い年齢でも白内障が見つかることがある

白内障は、目の中でレンズの役割をしている水晶体が濁る病気です。DM1では眼の合併症として知られており、加齢に伴う白内障より早い時期に現れる場合があります。[1][8]

筋力低下が目立たない人でも、目の変化が受診のきっかけになることがあります。見え方の変化を筋肉の状態だけで判断せず、眼科で白内障の有無や、ほかの目の病気も含めて調べます。

白内障、まぶた、乾燥は、それぞれ対処を相談できる

DM1では、まぶたが下がる眼瞼下垂、目を閉じにくいことによる乾燥、眼球の動きの問題などもあります。白内障だけに原因を決めず、どの変化が見えにくさにつながっているかを診てもらいましょう。[1][8]

視力の数字だけでなく、生活で困る見え方を伝える

白内障では、かすみや視力低下のほか、まぶしさ、だぶって見える症状などが出ることがあります。軽い段階では自覚症状がない場合もあります。[3]

気づきやすい変化 生活への影響の例 眼科で伝えること
かすむ・ぼやける スマートフォン、薬のラベル、仕事の文字が読みにくい。 いつからか。片目か両目か。眼鏡を使っても困るか。
光がまぶしい・にじむ 日差し、夜のライト、明るい場所で見づらい。 特に困る時間帯と場所。移動や運転への影響。
まぶたが下がる・視野を遮る 上の方が見づらい。まぶたを上げようとして疲れる。 左右差、時間帯での変化、目を閉じる力や乾燥。
乾く・目を閉じにくい 目がごろごろする。起床時につらい。 睡眠中の閉じにくさ、使っている点眼薬、痛みや充血。

まぶたや乾燥の問題には、白内障とは別の評価や治療が必要な場合があります。[8]

急な見え方の変化は、次の定期受診まで待たない

急に視力が落ちる、黒い影や光が急に増える、カーテンのように視野が欠けるといった変化は、網膜剥離など別の病気の可能性があります。白内障だと思って様子を見ず、速やかに眼科へ連絡してください。[7]

眼科では水晶体だけでなく、目全体を評価する

白内障の評価には、視力や眼鏡の度数に加え、光を細い帯状に当てて眼を観察する細隙灯検査などを用います。まぶた、目の表面、眼底なども、症状や所見に応じて調べます。[2][8]

成人DM1の国際的なケア推奨では、細隙灯検査を含む年1回の眼科診察が勧められています。実際の受診間隔は、白内障の程度やほかの眼の病気に応じて眼科医と決めてください。見え方が変わったときは、予定の日を待たずに相談できます。[2]

受診時はDM1の診断があること、お薬手帳、以前の目の手術歴を伝えます。診察に必要な姿勢を保ちにくい、横になると苦しい、移動や介助が必要な場合も、予約時から共有しておくと準備しやすくなります。

手術の時期は、見え方と日常生活への影響から相談する

手術を検討するのは、白内障によって読書、仕事、移動などに支障が出てきたときです。視力の数字だけでなく、「何が見えにくく、何をしやすくしたいか」を伝えてください。成人DM1のケア推奨でも、日常生活に支障をきたす白内障は手術を検討する対象とされています。[2]

白内障の手術は、濁った水晶体を取り除き、人工の眼内レンズを入れる方法が一般的です。点眼薬で濁った水晶体を透明に戻すことはできません。[3][4]

「見たい距離」と、眼鏡の使いやすさを伝える

眼内レンズは、目の状態と生活上の希望に合わせて選びます。スマートフォンや本を近くで見たい、パソコン作業をしたい、遠くを見やすくしたいなど、普段の使い方を伝えましょう。手術後も眼鏡が必要になる場合があります。[4][6]

手の使いにくさがあり眼鏡の掛け外しが負担になる場合や、介助で生活している場合も、その条件を含めて相談できます。

DM1では、手術前に心臓・呼吸・薬の情報を共有する

白内障手術は局所麻酔で行われることが多い手術ですが、DM1では心臓・呼吸・嚥下の状態や、鎮静薬・麻酔薬への反応にも配慮が必要です。目の状態と全身の状態を合わせて、実施する施設、麻酔方法、術後の観察を検討します。[4][5]

共有する領域 伝える情報の例
心臓 最近の心電図などの検査、動悸・失神の有無、ペースメーカー等の使用。
呼吸・睡眠 呼吸機能の検査、NPPVなどの使用、横になったときの息苦しさ、日中の強い眠気。
嚥下・薬・過去の麻酔 むせ、薬の一覧、過去に麻酔から覚めにくかったことや、呼吸管理が必要になった経験。
姿勢・移動・介助 横になっていられる姿勢、首や体幹の支え、車椅子からの移乗、付き添いの必要性。

日帰りか入院か、追加の検査や麻酔科との連携が必要かは、病状に応じて眼科と主治医が判断します。手術を予約する前に、DM1を診ている医師から情報提供を受ける方法も相談してください。[5]

手術や検査全般で共有したい内容は、DM1で麻酔を受ける前の準備にもまとめています。

術後の点眼・介助・通院を、手術前から整える

術後は点眼や定期診察などのケアが必要です。点眼の回数・期間、目を保護する方法、洗顔や活動を再開する時期は、手術を担当する眼科の指示に従います。[6]

  • 点眼:容器を握る、まぶたを開ける、薬を取り違えずに使うことができるか。必要な介助者や補助具を相談する。
  • 通院:移動手段、付き添い、診察時の姿勢、待ち時間の休憩を準備する。
  • 生活:一時的な見え方の変化を考え、段差や転倒しやすい場所、仕事の負担を見直す。
  • 連絡先:術後に見え方が悪くなったり、目に強い症状が出たりしたとき、どこへ連絡するかを控える。

点眼が難しい場合は、術後になってから困るより、手術前の診察で実際の動作を見てもらうと、介助の準備につなげやすくなります。

受診や手術相談に使えるメモ

分かる項目だけで構いません。見え方と、日常で使いやすくしたい場面を短く書いて持参できます。

【DM1・白内障の相談メモ】
診断名/DM1の主治医:
気づいた時期/右・左・両目:
困る見え方:かすみ・まぶしさ・だぶる・まぶた・乾燥
特に困る場面:読書・スマートフォン・仕事・移動など
前回の眼科受診/目の手術歴:
心臓・呼吸の検査/ペースメーカー・NPPV等:
使っている薬/過去の麻酔で起きたこと:
診察や手術中の姿勢・移乗・介助の希望:
術後の点眼を担当できる人:
治療でいちばん改善したいこと:

【医師と決めたいこと】
次の眼科受診:
手術を考える目安:
DM1の主治医との情報共有方法:
術後の通院・点眼・困ったときの連絡先:

よくある質問

まだ見えていても、眼科に行った方がよいですか?

定期的な眼科受診が勧められます。軽い白内障には自覚症状がない場合があり、DM1ではまぶたや目の表面などの変化も診てもらう意義があります。受診間隔は眼科医と決めてください。[1][2]

DM1だと白内障手術は受けられませんか?

DM1があることだけで手術を受けられないわけではありません。白内障による生活上の支障と、心臓・呼吸・嚥下、鎮静・麻酔の条件を評価し、眼科と主治医が連携して方法や術後管理を検討します。[2][5]

手が使いにくく、自分で点眼できない場合はどうしますか?

家族などの介助、点眼補助具、点眼しやすい姿勢を眼科で相談できます。誰が、どの時間に介助できるかを手術前に伝え、指示された点眼を続けられる段取りを整えましょう。

見えやすさを、読む・移動する・生活する力につなげる

DM1に伴う見えにくさのうち、白内障は眼科で治療を検討できる合併症です。原因を見極めて治療と生活の調整を進めることで、文字を読む、仕事をする、周囲や段差を見るといった動作を、しやすくできる可能性があります。

「どの文字を読みたいか」「どんな場所で見づらいか」を、治療の目標にする。

見え方を改善するメリットは、視力の数字だけでなく、本人が続けたい生活のしやすさにもあります。眼科の治療、DM1の全身管理、点眼や移動の支援をつなぎ、本人に合う方法を相談していきましょう。