DMD/BMDの運動は「鍛えて強くする」よりも、拘縮を防ぐ/転倒と痛みを減らす/座位と呼吸を守るための設計が中心です。 やり過ぎは筋損傷を増やす可能性があるため、原則を押さえた上で必要なところだけ実践できるように整理しました。
「運動」は単独で考えると迷いやすいので、記録(評価)とセットで回すと判断が早くなります。
DMD/BMDの運動・リハは、一般的な筋トレの発想と逆になります。
目的は「筋肉を壊さずに、生活機能を長く保つ」ことです。
特に優先されるのは、(1)拘縮の予防、(2)転倒と痛みの抑制、(3)座位・呼吸を守る環境調整です。
参考:DMD Care Considerations 2018(整形/リハ)
Care Considerations 2018 Part 2(PDF)
筋ジストロフィーでは、筋細胞膜が傷つきやすく、負荷のかけ方によっては筋損傷が増える可能性があります。 特に注意されるのが筋肉を伸ばしながら力を出す運動(強いエキセントリック負荷)です。
- 重い負荷の筋トレ(限界まで追い込む)
- 坂道ダッシュ/ジャンプ反復など衝撃が大きい運動
- 強いストレッチを反動でかける
- 軽い有酸素(疲労が翌日に残らない範囲)
- 関節可動域の維持(ゆっくり・痛みなし)
- 水中運動(転倒リスクを抑えやすい)
判断のコツ:「その日できた」ではなく、翌日〜2日後に疲労・痛み・動きの悪化が残らない範囲に抑えます。
拘縮は「一度進むと戻しにくい」ため、予防が最重要です。 歩行が可能な時期はもちろん、車いす期でも、拘縮は座位・介助量・痛み・呼吸に影響します。
- 足関節(アキレス腱):尖足・つま先歩き、転倒リスク、装具適合に直結
- 膝・股関節:立ち上がり・移乗・座位姿勢に影響
- 肩:更衣・整容(洗髪)・介助のしやすさに影響
- 痛みが出ない範囲で、ゆっくり・反動なし
- 「毎日少し」が基本(ゼロの日が続くと硬くなりやすい)
- 装具や夜間スプリントは、適合と皮膚トラブル確認が前提
装具は「我慢して歩く」ための道具ではなく、転倒・痛み・疲労を減らし、日常生活を回すための道具です。 状態によっては、歩行の“量”を減らすことで、結果として生活全体の可動域が保たれることがあります。
- 足関節を安定させ、つまづきを減らす
- 膝折れや過伸展を抑え、痛みを減らす
- 拘縮の進行を抑える(夜間装具など)
- 合わない装具は皮膚トラブル・痛みで継続できない
- 成長や体型変化で適合が変わる(定期見直しが必要)
- 歩行の安全は「装具+環境(手すり・段差)」で決まる
車いす期に重要度が跳ね上がるのが座位(座りの土台)です。 座位が崩れると、食事・呼吸・介助のしやすさ・痛みが連鎖的に悪化します。 側弯は「見た目」ではなく、生活機能と呼吸の問題として扱う必要があります。
- 骨盤が傾いていないか(左右差)
- 背もたれで体幹が支えられているか
- 長時間座ると痛い部位がないか(褥瘡の予防)
- 呼吸が浅くなる姿勢になっていないか
- 座位保持装置(クッション・背もたれ)を段階的に調整
- 移乗(ベッド⇄車いす)で姿勢が崩れない工夫
- 痛みが増える前に専門職へ相談(装具・福祉用具の見直し)
迷いやすい点だけを、診察室で確認できる形にしました。
- 足首・膝・股関節・肩の可動域はどう変化している?
- 家庭でのストレッチ頻度は適切?(やり過ぎ/不足)
- 痛みが増えた部位はどこ?姿勢・装具が原因か?
- 装具は合っている?(皮膚トラブル・痛み・疲労)
- 転倒が増えていない?(環境調整が必要か)
- 歩行量の調整(減らす方が安全な場面は?)
- 座位保持装置(クッション等)の見直し時期?
- 長時間座った後の痛み・疲労は?
- 呼吸が浅くなる姿勢になっていない?
※本ページは一般情報です。運動量・装具・手術などは個別に異なるため、必ず主治医と相談してください。
