DMD/BMDの治験の探し方|募集状況・参加条件・相談前の準備

デュシェンヌ型・ベッカー型筋ジストロフィー/治験と臨床研究

自分に関係する治験を探し、
相談に必要な情報をそろえる

DMDやBMDの新しい治療を調べるときは、薬の名前だけでなく、自分の病型・遺伝子変異・年齢・身体の状態が対象条件に合うかを確認します。

このページでは、治験情報を探す場所、募集状況の読み方、DMDとBMDで確認したい条件、主治医に持参するメモをまとめます。薬剤ごとの開発状況は、DMD/BMDの治療開発パイプラインから確認できます。

病型と変異を確認DMDかBMDか。対象となる遺伝子変異に合うか。
募集と施設を確認新規参加を受け付けているか。どこで実施するか。
資料を持って相談検査報告書・服薬・機能評価を主治医と整理する。

資料・登録情報の確認:2026年10月23日

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承認された治療と、治験への参加は別の相談です

新しい薬の情報を見つけたら、まず日本で承認された治療なのか、治験で調べている候補なのかを確認します。海外での承認を、日本で同じ条件で使えるという意味にはできません。

国内で承認された治療
診療として、自分が対象になるかを主治医に相談します。薬ごとの対象変異、年齢、身体の状態、安全管理などの条件があります。
治験
研究計画に沿って、有効性や安全性を確かめます。対象条件と募集枠があり、参加による効果は保証されません。
自然歴研究・患者登録
病気の経過や評価方法を調べたり、研究に必要な情報を登録したりする取り組みです。新しい薬を使う研究とは目的が異なります。

日本では、対象変異に合うDMDに対するビルトラルセンや、条件及び期限付承認を受けたエレビジスなどがあります。「治験を待つ」相談と、現在の診療で選べる治療の確認を並行して進めましょう。エレビジスでは、投与前後の肝機能などの安全管理も重要です。[1][2]

治験では、何に働きかける方法を調べているのか

治療の仕組みを大まかに知ると、なぜ遺伝子変異や身体の状態で対象が分かれるのかを理解しやすくなります。主な方向には、次のようなものがあります。

同じ方向の治療でも、承認状況と参加条件は薬剤ごとに異なります。
治療研究の方向狙いと、対象条件が分かれる理由
エクソン・スキップRNAの一部を読み飛ばして読み枠を整え、短いジストロフィンを作らせることを狙います。変異の位置や形によって適した標的が異なるため、本人の検査報告書との照合が必要です。[12]
マイクロジストロフィン遺伝子治療短縮したジストロフィンを作る遺伝子を体内に届け、タンパク質の発現を狙います。エレビジスでは、歩行・年齢・抗体などの条件と、投与前後の安全管理を確認します。[2]
筋損傷・炎症・線維化などへの介入筋肉が損傷する過程や、その後の組織変化などに働きかける研究です。ジストロフィンを直接補う方法とは狙いが異なり、DMD・BMDのどちらが対象か、何を評価する試験かを確認します。[4]

薬剤ごとの承認国・開発段階・候補の比較は、DMD/BMDの治療開発パイプラインにまとめています。エレビジスについて対象条件を具体的に確認したい場合は、エレビジスの適応条件へ進んでください。

DMD/BMDの治験を探す手順

まず病型と遺伝子検査報告書を確認し、国内情報から候補を探します。見つかった試験は、薬の名前だけでなくjRCT番号・NCT番号という研究ごとの識別番号を控えると、主治医と同じ情報を確認しやすくなります。

  1. 病型と検査報告書をそろえる
    DMD・BMDの診断、欠失・重複などの変異の記載、年齢、歩行状態を整理します。不明な項目は、主治医に確認する質問にします。
  2. 国内の公的な情報から探す
    jRCTで「デュシェンヌ」「ベッカー」や薬剤名を検索します。NCNPの神経筋疾患ポータルは、開発状況の全体像を知る入口になります。一覧の更新日も確認してください。[3][4]
  3. 研究番号から最新の登録情報を開く
    海外を含めて探す場合は、ClinicalTrials.govで「Duchenne muscular dystrophy」「Becker muscular dystrophy」を検索します。対象条件、募集状況、実施国・施設、更新日を読みます。
  4. 候補を主治医と確認する
    試験名・研究番号・URLを見せ、遺伝子変異や診療情報が条件に合うか相談します。必要に応じて、治験実施施設や担当CRC(治験の調整・相談を担う専門職)につないでもらいます。

検索結果の病名だけで判断しない
関連語に「Duchenne/Becker」が含まれていても、実際の選択基準はDMDに限定される試験があります。正式な対象疾患と、Eligibility Criteria(選択・除外基準)まで確認してください。

神経筋疾患患者登録Remudyでは、DMD・BMDを対象としたジストロフィノパチーの登録が案内されています。情報を研究につなげる仕組みであり、登録と個別の治験参加の決定は別です。[10]

「試験がある」と「今から参加できる」を分けて読みます

Recruitingは募集中、Active, not recruitingは試験継続中・新規募集なし、Completedは試験完了を示します。Enrolling by invitationは招待による登録で、過去の試験の参加者などに対象が限られる場合があります。

以下は、募集表示と参加条件を一緒に読むための例です。各試験の登録情報を2026年10月23日に確認しています。

募集状況は変わります。相談時にはリンク先の最新情報を確認してください。
試験と登録の更新日確認した表示読み取ること
DMD:AOC 1044/SAFARI44
NCT07587242
2026年10月13日更新
第3相
Recruiting
エクソン44スキッピングに適した変異を持つDMDが対象です。登録には7〜16歳の歩行可能な男児などの条件があります。募集表示だけで日本での参加可否は決まらず、実施国・施設の確認が必要です。[5]
DMD:NS-050/NCNP-03/Meteor50
jRCT2041240060
2026年6月12日公表
NCT06053814
2026年6月16日更新
第1/2相
jRCT:募集中
ClinicalTrials.gov:Active, not recruiting
エクソン50スキッピングに適した変異を持つDMDが対象です。国内外の登録で募集表示が異なるため、掲載情報だけでは現在の国内の受付状況を確定できません。主治医を通じて実施施設・治験窓口に確認します。[6][11]
BMD:sevasemten/CANYON・GRAND CANYON
NCT05291091
2026年9月21日更新
第2相
Completed
試験完了の表示です。新規参加の募集とは異なります。また、完了したこと自体が、有効性の証明や薬の承認を意味するわけではありません。[7]
BMD:sevasemtenの継続研究/MESA
NCT06066580
2026年9月17日更新
第2相
Enrolling by invitation
ARCH、CANYON/GRAND CANYON、DUNEなど、先行試験への参加歴などの条件を満たす人を対象とする継続研究です。初めて薬を使う人の一般募集とは読めません。[8]

試験全体が募集中でも、希望する施設で募集しているとは限りません。掲載先によって表示が異なる場合も、自己判断で参加可能・不可能と決めず、実施施設の受付状況、枠、紹介の方法を確認します。そのうえで、通院や渡航の準備を進めましょう。

DMDとBMDで、本人の条件を確認する

DMDでは、対象変異と現在の機能が大切です

エクソン・スキップを目的とする薬では、本人の遺伝子変異がその治療に適していることが前提です。欠失しているエクソンの番号と、薬が読み飛ばすエクソンの番号は別です。報告書の数字だけで自己判定せず、検査報告書全体を専門医に確認してもらいます。[1]

同じ対象変異でも、年齢、歩行、立ち上がり、機能評価の点数、ステロイドの使用状況、過去の治療などで参加条件が変わります。AOC 1044の登録では、ステロイドの安定使用期間や、過去の細胞・遺伝子治療なども条件に含まれています。[5]

BMDでは、BMDを対象とする試験かを確認します

DMD向けの薬や治験を、そのままBMDに当てはめることはできません。BMDの試験でも、年齢や歩行機能に加え、心臓・呼吸の状態や治療歴が評価されます。

例えばGRAND CANYONの登録には、成人BMDの歩行・NSAA(歩行機能をみる評価尺度)だけでなく、心臓の駆出率、肺活量、ステロイド使用歴などの基準が記載されています。歩けるかどうかだけでは判断できません。[7]

参加条件を読む際の確認項目
①病型・遺伝子変異 ②年齢・歩行・上肢機能 ③心臓・呼吸・採血 ④服薬と過去の治療 ⑤通院・検査を続けられる条件。

薬、市販薬、サプリメント、機器、施術など、現在利用しているものは一覧にして申告します。参加条件に合わせるために薬を自己中止せず、変更が必要かは主治医と治験チームに相談してください。

研究結果は「何が変わったか」と「何と比べたか」を確認する

第1相・第2相・第3相は、薬の効果の強さを表す番号ではなく、開発の段階です。安全性、用量、有効性など、試験で主に確かめることが異なります。[12]

DMD/BMDでは、次の評価を分けて読むことが大切です。

  • 安全性と体内での動き:どのような有害事象があり、薬が体内でどう動くか。
  • タンパク質や採血の変化:ジストロフィンの発現、筋損傷に関係するCKなどがどう変わるか。
  • 本人の機能:立ち上がり、歩行、上肢などの機能が、比較対象とどの程度違うか。

例えばNS-050/NCNP-03の登録には、安全性・薬物動態・ジストロフィン発現などの評価があります。一方、AOC 1044の第3相試験では54週時点の立ち上がり速度、GRAND CANYONでは18か月時点のNSAAが主要評価項目に含まれています。[5][6][7]

「何を評価する計画か」と「どんな結果が出たか」は別です。
タンパク質や検査値の変化は重要な手がかりですが、生活機能への影響も別に確認します。結果が公表されたら、主要評価項目、対照群との差、観察期間、安全性を合わせて読みましょう。

参加を決める前に、治療内容と生活への負担を確認します

治験では、期待される効果や副作用だけでなく、検査、通院、参加しない場合の治療などの説明を受けます。説明文書を持ち帰り、本人と家族で考えることもできます。[9]

  • 治験薬を使う条件:プラセボや比較薬があるか。どのように割り付けられるか。継続投与の機会がある場合も、条件は何か。
  • 何を確かめる試験か:タンパク質や採血の変化だけでなく、歩行・上肢・生活機能など、どの結果を主に評価するか。
  • 検査と通院:点滴、採血、MRI、筋生検、入院の有無。学校・仕事・介助者の付き添いへの影響。
  • 費用と支援:診療費、交通費、宿泊費など、自己負担と支給される費用の範囲。
  • 体調変化と終了後:緊急時の連絡先、健康被害への対応、途中でやめる場合や試験終了後の診療。

参加するかどうかは本人の自由な意思で決められ、同意後に取りやめることもできます。子どもの参加では、保護者の説明・同意に加え、本人の理解に応じた説明についても相談しましょう。[9]

主治医に持参する、治験の相談メモ

試験のURLだけを見せるより、検査報告書と現在の状態を一緒にそろえると相談が進みやすくなります。分からない欄は空欄のままで構いません。

本人の情報
DMD/BMD/診断確認中:________
年齢:____ 歩行・車いすの状況:________
遺伝子検査
報告書の写し:あり/取り寄せ予定
変異の記載・検査日:________
相談したい試験
試験名・薬剤名:________
jRCT/NCT番号:________
募集表示・確認日:________
服薬・治療歴
ステロイド・心臓薬などの薬名と用量:________
過去の治験・遺伝子治療など:________
サプリ・機器・施術など:________
最近の評価
心臓・呼吸の検査日と結果:________
歩行・上肢などの評価と検査日:________
生活上の条件
通院できる範囲・付き添い:________
学校・仕事・費用で確認したいこと:________
次の相談
主治医に聞きたいこと:________
紹介先・問い合わせ窓口・次の確認時期:________

家庭で記録する場合は、無理に歩行テストを繰り返すのではなく、普段の移動、立ち上がり、上肢、疲労、転倒などを残します。DMD/BMDの評価と記録も利用できます。治験で指定された機能評価は、担当チームの方法に従います。

よくある質問

歩けなくなると、治験には参加できませんか?

試験ごとに異なります。歩行可能な人を対象とする試験と、非歩行の人を対象とする試験では、評価項目や条件が異なります。「非歩行だからすべて対象外」と決めず、病型と現在の状態に合う研究を主治医と確認します。

日本に住んでいても、海外の試験に参加できますか?

実施施設、居住条件、言語、通院回数、長期滞在、安全管理などで変わります。「Recruiting」の表示は、日本からの受け入れを保証するものではありません。実施施設から具体的な説明を受けてから、渡航や滞在の準備を進めます。

患者登録をすれば、治験の案内が必ず届きますか?

登録は治験参加や案内の保証ではありません。登録内容の更新や連絡先の管理を行い、主治医との相談、公的な登録情報の確認も続けます。Remudyでは、登録手順と対象疾患を確認できます。[10]

参考資料・登録情報

  1. PMDA:ビルトラルセンの使用上の注意改訂資料。対象変異と投与開始・継続の評価について。
    PMDA資料(PDF)
  2. 厚生労働省/PMDA:医薬品・医療機器等安全性情報 No.426(2026年2月)。エレビジスの国内承認条件と肝機能障害に関する安全対策について。
    安全性情報 No.426(PDF)
  3. 厚生労働省:治験等の情報について。国内の治験・臨床研究情報の公開先について。
    厚生労働省の案内/jRCT
  4. 国立精神・神経医療研究センター:神経筋疾患ポータル。筋ジストロフィーの国内外の開発状況について。
    筋ジストロフィーに関する医薬品の治験状況
  5. ClinicalTrials.gov:AOC 1044/SAFARI44。対象変異、年齢、機能、治療歴などの参加条件。
    NCT07587242(登録更新:2026年10月13日)
  6. ClinicalTrials.gov:NS-050/NCNP-03/Meteor50。エクソン50スキッピングに適したDMDを対象とする試験。
    NCT06053814(登録更新:2026年6月16日)
  7. ClinicalTrials.gov:sevasemten/CANYON・GRAND CANYON。BMDを対象とする試験の参加条件と実施状況。
    NCT05291091(登録更新:2026年9月21日)
  8. ClinicalTrials.gov:MESA。BMDの先行試験参加者を対象とするsevasemtenの継続研究。
    NCT06066580(登録更新:2026年9月17日)
  9. 厚生労働省:インフォームド・コンセント。説明文書、参加の意思決定、撤回について。
    治験について:説明と同意
  10. 国立精神・神経医療研究センター:神経筋疾患患者登録Remudy。DMD・BMDの患者登録について。
    Remudy公式サイト
  11. jRCT:NS-050/NCNP-03の国内登録。ClinicalTrials.govと募集表示が異なるため、実際の受付は実施施設で確認が必要です。
    jRCT2041240060(最終公表:2026年6月12日)
  12. NCNP/AMED:ビルトラルセンの製造販売承認に関する発表(2020年)。エクソン・スキップの仕組みと、治験の相の説明を参照。
    ビルトラルセンの開発と用語説明