パーキンソン病の受診メモ・服薬日誌|オン・オフと症状の変化を記録する

パーキンソン病|診察に持っていく記録

薬を飲んだ時刻と、暮らしの中で困ったことを一緒に残す

「午後は動きにくい」「薬を飲んでも効いた感じがしない」「体が勝手に動いて食べにくい」。診察室では伝えきれない変化を、時刻と生活の場面で整理するページです。

まずは受診前メモに、いちばん困ることを一つ。詳しく伝えたい場合は1日分の日誌、診察で決まったことには受診後メモを使えます。

コピー先のメモアプリ、または印刷した用紙に記入します。ボタンが使えない場合も、コピー欄の文字を選択できます。印刷用シートは未記入の用紙です。

急な症状は、記録の完成を待たずに連絡してください。
突然片側の手足に力が入らない、強い息苦しさ、意識がおかしいなどの場合は、日本国内では119番へ連絡してください。薬や水分が飲めない、嘔吐が続く、発熱と強いこわばりが重なって急に動けなくなった場合も、次の定期受診を待たず医療機関へ急いで連絡します。[1][6]
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受診前に渡す短いメモ

診察の最初に伝えたいことをまとめる用紙です。「今日いちばん困ること」「前回からの変化」「聞きたいこと」から書いてください。日誌やお薬手帳が別にあれば、一緒に持参します。

薬の名前や量が分からない場合は推測せず、お薬手帳や処方内容の控えを添えます。家族が代筆するときは、本人の言葉と家族の観察を分けてください。

1日分の服薬・症状日誌

実際に薬を飲んだ時刻と、気になった出来事を並べる日誌です。記録欄は必要な回数だけ追加できます。診療先から記録する時刻や日数を指定されている場合は、その方法に合わせてください。

「何時から何時までか」が分からなくても、気づいた時刻と出来事だけで構いません。普段どおりの日も同じ項目で残すと、困った日と比べられます。

「いつ」「何が」「生活でどう困ったか」を書く

記録するのは、普段の生活で起きた出来事です。正確な分数が分からなければ「朝食の後」「昼の薬の前」「夕方ごろ」でも構いません。

書くこと 残し方 書き方の例
薬を使った時刻 予定の時刻と、実際に使った時刻を区別する 朝の薬は予定より遅れて内服。実際の時刻を記入。
動きにくい場面 症状と、難しかった動作を一緒に書く 昼食の準備中に足が出にくく、台所への移動に介助が必要だった。
動きやすい場面 何ができたかと、その時刻を残す 午前中は一人で着替えられた。直前の服薬時刻も記入。
体が勝手に動く症状 部位、時間帯、本人の困り具合を残す 食事中に体幹が揺れ、コップを持ちにくかった。
ほかに気になる症状 気づいた時期と、以前との違いを書く 最近、昼間に眠り込むことが増えた。薬の変更日も確認。

上の例は書き方を示したものです。服薬時刻や回数は、ご自身への処方に合わせて記録してください。

負担が大きいときは、困った場面を一つだけ。
スマートフォンへ短い音声メモを残す、家族に代筆してもらう、お薬手帳に気づいた時刻を添える方法もあります。後から思い出して書いた場合は「およそ」と付けておきます。

オン・オフが分からなくても、自分の言葉で書ける

薬が効いて動きやすい時間を「オン」、効果が弱まり症状が戻る時間を「オフ」と呼びます。ただし、日常の動きにくさをすべてオフと決める必要はありません。分類に迷うときは、起きたことを具体的に残してください。[2][3]

動きにくい時間

「足が出ない」「寝返りが難しい」「手が動かしにくい」など、困る動作と時刻を書きます。薬の前後でどう変わったかも、分かる範囲で添えます。

動きやすい時間

「着替えができた」「買い物へ行けた」など、生活でできたことを残します。本人が望む生活を相談する材料にもなります。

体が勝手に動く時間

くねる、揺れる、手足が勝手に動くなどの様子と、本人がどのくらい困るかを分けて書きます。動きやすさと不随意な動きは、両方を記録できます。

判断できない時間

「不明」で構いません。痛み、疲労、不安、めまいなど、本人の感じ方をそのまま残して、診察で見てもらいます。

家庭での自己評価と医療者の観察が一致しない場合もあります。本人の感じ方と家族が見た動きが違うときは、両方を別々に残すと説明の手がかりになります。[3]

食事・便通・睡眠は、時刻と普段との違いを添える

日誌では、症状が出た前後の出来事も並べます。その場で原因を決めず、診察で確認したい情報として残してください。

  • 食事:時刻、だいたいの内容、食べにくさ、薬との前後関係。
  • 便通・胃腸:普段との違い、排便、胃もたれ、腹部の張り、嘔吐。
  • 睡眠:前夜の眠り、夜間に起きたこと、日中の強い眠気。
  • 体調・活動:発熱、食事・水分が取れないこと、外出、運動、リハビリ、疲れが残った場面。

食事との関係を確かめようとして、食事を抜いたり、たんぱく質を大きく減らしたりせず、普段の内容を記録します。食事や服薬のタイミングを変えたいときは、主治医・薬剤師・管理栄養士へ相談してください。[1]

気になる症状の詳しい考え方は、薬が効きにくい日の食事・便秘・体調の整理で確認できます。

薬は名前・規格・量・実際の時刻を分けて残す

薬の一覧はお薬手帳を添えても構いません。名前・規格(1錠あたりの成分量など)・1回量は、お薬手帳や処方内容の表記に合わせます。日誌には、実際に使った時刻、飲めなかったこと、処方が変わった日を残します。

項目 残すこと
薬の名前・規格・量 お薬手帳や処方内容を確認して記入。分からないときは推測せず、薬局へ確認します。
実際の時刻 予定どおりか、遅れたか、飲めなかったか。嘔吐や飲み間違いに気づいた場合も残します。
変更した日 開始、増減、中止、薬の形(錠剤・貼付剤など)の変更について、医療者から指示された内容と日付。
ほかに使うもの 他院の薬、市販薬、サプリメント、健康食品の名称と使い始めた日。
貼付薬・持続投与・脳深部刺激療法(DBS)など 治療・機器の名称と困っていること。記録する項目は担当の医療者と確認します。
記録のために、薬を抜いたり服薬時刻をずらしたりしないでください。
パーキンソン病の薬を急に中止すると、重い症状が起こることがあります。飲めない、吐いた、飲み忘れた、重複して飲んだ場合の対応は、主治医・薬剤師へ確認します。[1]

薬の変更後に気づいた眠気、幻覚、ふらつき、買い物や賭け事などの行動の変化も、本人・家族の言葉で相談できます。強い眠気や突然眠り込む症状がある場合は、運転や危険な作業を避け、医療者へ相談してください。[1]

本人の言葉・家族の観察・動画を組み合わせる

本人は「楽に動けた」と感じ、家族は「体が大きく揺れていた」と気づくこともあります。どちらかを消さず、本人のつらさと周囲が見たことを分けて書いてください。

  • 本人の言葉:いちばんつらいこと、楽にできたこと、続けたい生活。
  • 家族・支援者の観察:転びかけた、食事でこぼした、介助が増えたなど、具体的な出来事。
  • 動画がある場合:本人の同意を得て、撮影時刻、直前の服薬時刻、どの場面かを添える。

動画は普段の安全な場面で撮ります。撮影のために一人で歩かせる、無理な立ち上がりや方向転換を繰り返す、といった確認は不要です。

運動、リハビリ、施術などの前後を比較したい場合も、服薬からの時間、食事、睡眠、動作や撮影の条件を一緒に残します。良くできた場面と困った場面の両方を残し、変化の理由は記録と診察をもとに検討します。

診察では、何を楽にしたいかも伝える

症状の名前に加え、「朝の着替えを一人でしたい」「食事中の揺れを減らしたい」「夕方の移動が不安」など、優先して相談したい生活の場面を伝えます。

  • この時間帯の動きにくさは、何を確認するとよいか。
  • 動きにくさと、体が勝手に動く症状の両方をどう相談すればよいか。
  • 次回まで、どの項目を、いつ・どのくらい記録すればよいか。
  • 薬を飲めないとき、飲み忘れたときは、どこへ連絡するか。
  • どのような変化があれば、予定の受診より前に連絡するか。

質問が多い場合は、まず話したいことに順番を付けます。扱いきれなかった内容は、次に誰へ・いつ相談するかも確認してください。

受診後に残すメモ

説明された内容、指示された変更、確認が必要な点を分けて残します。薬の規格・量・時刻や変更の開始日が曖昧な場合は、受診先や薬剤師へ確認してください。

本人と共有する範囲を確認し、家族・訪問看護・薬局など必要な相手へ伝えます。指示内容が変わったら、古いメモと取り違えないよう日付を付けて更新してください。

医療機関の用紙や、ほかの記録ツールも使える

診療先から日誌や評価票を渡されている場合は、その用紙と記入方法を使ってください。このページのメモは、困った場面や質問を添えるためにも利用できます。

外部サービスを使う場合は、利用条件や記録した情報の扱いも確認してください。チェック票の結果だけで診断や薬の変更を決めず、診察で相談します。

よくある質問

何日分を記録すればよいですか?

主治医から日数や時間帯を指定されている場合は、それに合わせます。指定がなければ、いちばん困る場面を一つ書くところから始めてください。必要な受診や連絡を、記録がそろうまで待つ必要はありません。

「薬が効いた時刻」が分かりません。

「何時ごろ着替えられた」「昼食前に歩きにくかった」など、生活の出来事で書いて構いません。分からない時間帯は空欄や「不明」とし、後から時刻を決めつけないようにします。

毎日ずっと記録し続ける必要がありますか?

長い記録が負担になる場合は、診療先と必要な期間や項目を相談してください。いつもの日と困った日の違いを、同じ項目で短く残す方法もあります。

家族が代わりに書いてもよいですか?

代筆できます。本人に確認できた内容と、家族が見た内容を区別し、記入した人と日付を添えてください。本人が伝えたいことや、共有してよい範囲も確認します。

日誌を見て、薬の量や時刻を調整してよいですか?

日誌は医療者へ状態を伝えるために使います。薬の量・回数・時刻を変える前に、主治医・薬剤師へ確認してください。記録のために薬を抜くこともしません。

このページに直接入力して保存できますか?

コピー欄はひな形を取り出すためのものです。メモアプリなどへ貼り付けて記入するか、印刷用シートを開いて用紙へ記入してください。

参考資料

記録欄は、診察での相談内容を整理するために当サイトで作成しています。医療機関で指定された日誌や評価票がある場合は、その方法を使ってください。

  1. NICE. Parkinson’s disease in adults. NG71, 2017. 薬の急な中止、運動症状の変動、眠気などの相談、栄養に関する推奨を参照。
    NICE公式PDF
  2. Hauser RA, Deckers F, Lehert P. Parkinson’s disease home diary: further validation and implications for clinical trials. Movement Disorders. 2004;19:1409–1413. doi:10.1002/mds.20248.
    出版社の論文概要
  3. Löhle M, et al. Validation of the PD home diary for assessment of motor fluctuations in advanced Parkinson’s disease. npj Parkinson’s Disease. 2022;8:69. doi:10.1038/s41531-022-00331-w.
    PubMedの論文概要
  4. 小野薬品工業「ウェアリングオフを見逃さないために」。
    チェック票の案内
  5. 武田薬品工業「ポケットPD」。
    記録機能・利用方法の案内
  6. 厚生労働省「こんな時は迷わず119へ」。
    緊急時の症状と救急要請

参考情報確認日:2026年10月24日。記録は受診時の情報共有に使い、症状の診断や薬の調整は医療者と相談してください。