ALS(筋萎縮性側索硬化症)に関する一般的な医学情報をまとめています。
より個別具体的な戦い方や、当研究所(Cell Healing)のアプローチについては、こちらのページをご覧ください。
※本ページは一般的な情報源に基づいて構成されており、当研究所の見解と一部異なる部分も含みます。
1. ALSとは何か?病気の基本を理解する
ALSの正式名称と読み方
ALSとは、「筋萎縮性側索硬化症(きんいしゅくせいそくさくこうかしょう)」の略称です。英語では Amyotrophic Lateral Sclerosis と表記され、それぞれの単語の頭文字を取って「A・L・S」と呼ばれています。
この病名には、以下のような病理学的な意味が含まれています。
- Amyotrophic(無筋萎縮性)
筋肉を動かす神経が障害され、筋肉への命令が届かなくなり、筋肉がやせ細っていく状態。 - Lateral(側索)
脊髄の側面にある運動神経の経路(側索)が変性すること。 - Sclerosis(硬化)
神経線維が破壊された結果、組織が硬くなる病理的変化のこと。
つまりALSとは、筋肉を動かす神経細胞(運動ニューロン)が徐々に壊れていき、筋肉が使えなくなる進行性の難病を指します。
ALSの概要:進行性の神経難病とは?
ALSは中枢神経系の一部である上位運動ニューロン(大脳皮質)と下位運動ニューロン(脊髄・脳幹)が障害されることで、全身の筋肉が萎縮・脱力し、次第に呼吸や嚥下、発話も困難になっていく病気です。
感覚(触覚や痛覚)や意識は最後まで保たれるのが特徴で、身体が動かせなくなっても頭脳は明晰な状態が続きます。
進行速度には個人差がありますが、平均的な経過は発症から3〜5年で呼吸筋が麻痺し、人工呼吸器が必要になると言われています。ただし、10年以上生存される方もおり、「生き方の選択」が極めて重要になる病気です。
筋ジストロフィーやパーキンソン病との違い
ALSは、他の神経・筋肉疾患と混同されがちですが、病態は明確に異なります。
| 疾患名 | 主な障害部位 | 進行性 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| ALS | 上位・下位運動ニューロン | 急速に進行 | 筋力低下、嚥下障害、呼吸障害。 感覚は正常。 |
| 筋ジストロフィー | 筋そのもの(遺伝子異常) | 比較的緩徐 | 筋破壊・再生の繰り返し。 遺伝性疾患である。 |
| パーキンソン病 | 黒質ドパミン神経 | 緩やかに進行 | 手足の震え、動作緩慢。 筋萎縮は主症状ではない。 |
ALSは神経の病気であり、筋肉そのものが先に壊れる筋ジストロフィーとは根本的に異なります。
日本および世界における患者数
厚生労働省の統計等によると、ALSは「特定疾患」に指定されています。
- 日本国内の患者数: 約1万人前後(登録ベース)
- 罹患率: 人口10万人あたり1〜2人程度
- 男女比: およそ 1.5 : 1 (男性にやや多い)
世界では約45万人の患者がいると推定され、高齢化社会に伴い今後さらに増加が予想されています。
社会的認知の背景
- アイス・バケツ・チャレンジ(2014年)
- SNSで拡散されたチャリティ活動。氷水をかぶることで筋硬直を疑似体験し、世界で1億ドル以上の寄付が集まりました。
- ホーキング博士の存在
- 理論物理学者スティーヴン・ホーキング博士は、21歳で発症しながらも50年以上生存し、人工音声と車椅子で研究を続け、患者に大きな希望を与えました。
2. ALSの主な症状と進行パターン
発症から進行、末期に至るまで、身体機能が段階的に奪われていく過程には共通した特徴が見られます。
初期症状:ささいな異変
初期症状は非常に微細です。以下のような兆候から始まります。
筋力低下・筋萎縮
- ペットボトルのフタが開けづらい
- 箸が持ちづらい、落としやすい
- 足のもつれ、階段でつまずく
※左右どちらか片方の手足から始まり、徐々に広がるのが特徴です。
神経原性の兆候
- ピクピクと筋肉が細かく動く(線維束性収縮)
- 意図しない筋けいれん
- 筋肉のつっぱり感や硬直
進行期の症状
症状が進行すると、日常生活に明確な支障が出始めます。
- 上肢・下肢の運動障害
- 洋服のボタンが留められない、筆記困難、歩行不能、転倒の増加など。左右非対称に始まり、やがて両側に拡大します。
- 嚥下障害(球麻痺)
- 水や食べ物でむせる、飲み込みに時間がかかる、食後の声枯れ。誤嚥性肺炎のリスクが高まります。
- 発話障害(構音障害)
- 滑舌が悪くなる、声が鼻に抜ける(鼻声)、会話が聞き取りにくくなる。コミュニケーションの断絶は精神的孤立を招きます。
末期症状:呼吸不全
呼吸に必要な筋肉(横隔膜・肋間筋)が麻痺すると、自力での呼吸が困難になります。
- 仰向けになると息苦しい
- 睡眠時の無呼吸、熟睡感の欠如
- CO2蓄積による朝の激しい頭痛
これらは人工呼吸器(NPPVや気管切開TPPV)導入の検討が必要な重要なサインです。
進行速度と予後
ALSの進行には大きな個人差があります。
| タイプ | 特徴 | 平均的期間 |
|---|---|---|
| 急速進行型 | 球麻痺型が多く、呼吸障害が早期に出現 | 約2〜3年 |
| 標準型 | 徐々に四肢麻痺が進行 | 約3〜5年 |
| 緩徐進行型 | 数年かけてゆっくり進行 | 10年以上 |
重要なのは、「治らない」と諦めるのではなく、進行を見越した早めの対応(住環境やコミュニケーションツールの準備)を行うことで、生活の質(QOL)を保つことです。
3. ALSの原因と発症メカニズム
ALSは単一の原因ではなく、遺伝的要素や環境要因、細胞内の代謝異常などが複雑に絡み合って発症すると考えられています。
遺伝性ALSと孤発性ALS
ALSは大きく2つのタイプに分類されます。
- ● 孤発性ALS(Sporadic ALS:sALS)
- 全体の約90〜95%を占めます。家族歴はなく、突発的に発症します。
発症年齢は60歳前後が中心ですが、環境要因や加齢による酸化ストレスの蓄積がトリガーになると推測されています。 - ● 遺伝性ALS(Familial ALS:fALS)
- 全体の約5〜10%程度です。家族内にALS患者がいるケースで、特定の遺伝子変異が関与しています。
発症年齢が30〜50代と若い傾向があるのも特徴です。
関与する主な遺伝子
これまでに30種類以上の関連遺伝子が発見されており、創薬のターゲットになっています。
| 遺伝子名 | 特徴とメカニズム |
|---|---|
| SOD1 | 日本人の遺伝性ALSで最も多い(約20%)。 活性酸素を除去する酵素の異常により、酸化ストレスで神経細胞が死滅する。進行が早い傾向がある。 |
| C9orf72 | 欧米で最も多い原因遺伝子。異常な繰り返し配列により毒性RNAが発生する。 前頭側頭型認知症(FTD)を併発しやすい。 |
| FUS / TARDBP | タンパク質の代謝に関わる遺伝子。異常タンパク質が細胞内に蓄積し、「ゴミ」となって機能を阻害する。 |
神経細胞死の主要メカニズム
なぜ運動神経だけが死んでしまうのか、現在医学的に有力視されているのは以下の3つの説です。
- グルタミン酸の興奮毒性
神経伝達物質「グルタミン酸」が過剰に放出され、受け取り側の神経細胞が興奮しすぎて自滅してしまう現象。(※治療薬リルテックのターゲット) - 酸化ストレス
細胞内の代謝で発生する「活性酸素」を除去できず、神経細胞が内部から錆びついて壊れる。(※治療薬ラジカットのターゲット) - 異常タンパク質の蓄積(TDP-43など)
本来分解されるはずの不要なタンパク質が細胞内に溜まり、神経細胞の機能を窒息させる。
【重要仮説】ウイルス再活性化と神経炎症の連鎖
上記の標準的なメカニズムに加え、当研究所(Cell Healing)および一部の先端研究において、「潜伏ウイルスの再活性化」と、それが引き起こす「終わらない炎症」が病態の本質である可能性が指摘されています。
- ① ヘルペスウイルス等の関与
- 一部の研究では、神経細胞内に潜伏していたヘルペスウイルス(HHV)やレトロウイルスが、免疫低下や加齢をきっかけに再活性化し、神経破壊のスイッチを入れているのではないかと推測されています。
実際、ALS患者の脊髄組織からウイルスの痕跡が検出されるケースも報告されています。 - ② 炎症の連鎖を断ち切る(サイトカインストーム)
- ウイルス等の刺激に対し、脳内の免疫細胞(ミクログリア)が暴走し、慢性的な「神経炎症」が続いている状態です。
「この連鎖的な炎症さえ沈静化できれば、神経細胞死は食い止められ、リバーサル(回復)への道が開ける」
という仮説に基づき、当研究所では独自の対策を提唱しています。
環境要因説
遺伝だけでなく、生活環境も発症のトリガーになると考えられています。
- 重金属の蓄積
- 農薬・化学物質
- 激しい運動負荷(プロ選手など)
- 喫煙習慣
- 頭部外傷歴
4. ALSの診断方法と検査
ALSの診断は非常に難しく、「除外診断(他の病気の可能性を消していく作業)」が中心となります。そのため、確定診断まで平均で6〜12ヶ月かかることも珍しくありません。
診断のステップ
STEP 1:神経学的診察
医師がハンマーで腱反射を見たり、筋肉のピクつき(線維束性収縮)や萎縮を目視で確認します。ALS特有の「上位・下位運動ニューロン障害の混在」を探します。
STEP 2:電気生理学的検査(重要)
針筋電図(EMG):筋肉に針を刺し、神経が壊れている波形が出るか確認します。痛みを伴いますが、診断には不可欠です。
神経伝導検査:電気を流して神経の反応速度を測ります。ALSでは速度が比較的保たれるのが特徴です。
STEP 3:除外診断(MRI・血液検査)
頸椎症、脳腫瘍、多発性硬化症など、似た症状を出す病気がないか画像で確認します。ALSでは画像上の明らかな異常がないことが所見となります。
STEP 4:経過観察と基準判定
症状が進行性であるか、身体の複数箇所(球・頸・胸・腰)に広がっていくかを確認し、国際的な基準(El Escorial基準など)に照らして確定します。
誤診されやすい疾患(鑑別疾患)
ALSと似た症状を持ち、治療法が異なる以下の病気との区別が極めて重要です。
| 疾患名 | ALSとの違い |
|---|---|
| 頸椎症性脊髄症 | MRIで神経の圧迫が見える。手足のしびれ(感覚障害)がある。手術で治る可能性がある。 |
| 多発性硬化症(MS) | 視力障害などが起きる。MRIで脳や脊髄に病変が映る。再発と寛解を繰り返す。 |
| CIDP (慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー) |
感覚障害がある。神経伝導速度が著しく遅くなる。治療(免疫グロブリン等)で改善する。 |
| 重症筋無力症(MG) | 夕方に症状が悪化する(日内変動)。まぶたが下がる(眼瞼下垂)などの特徴がある。 |
ALSの診断は「除外と証明の積み重ね」です。即断せず、専門医による慎重な判断が必要です。
5. ALSの治療法と現在の限界
ALS(筋萎縮性側索硬化症)は、現時点では根本的な「完治」に至る治療法は確立されていません。しかし、病気の進行を遅らせる薬剤や、苦痛を和らげる対症療法は着実に進化しています。
1. 現在の標準治療薬(進行抑制薬)
日本国内で保険適用されている、ALSの進行を抑えるための主要な3薬剤について解説します。
① リルゾール(商品名:リルテック)
- 機序:グルタミン酸の放出を抑制し、神経細胞への興奮毒性を軽減します。
- 効果:生存期間を数ヶ月単位(平均3〜6ヶ月)で延長する効果が世界的に認められています。
- 用法:1日2回、経口内服します。
- 副作用:肝機能障害、吐き気、倦怠感などが報告されています。
② エダラボン(商品名:ラジカット)
- 機序:フリーラジカル(活性酸素)を除去し、酸化ストレスによる神経細胞死を防ぎます。
- 効果:特に病初期の患者において、身体機能の低下を抑制する効果が確認されています。
- 用法:点滴(1日1回60分、14日間投与+14日間休薬のサイクル)または経口懸濁液。
③ ロゼバラミン(一般名:メコバラミン)
高用量のメコバラミン(活性型ビタミンB12)製剤です。ホモシステイン代謝を促進し、神経保護および軸索再生を促す可能性が示唆されています。
- 臨床試験結果(JETALS):発症早期〜中期の患者を対象とした試験で、ALSFRS-R(重症度スコア)の低下を約43%抑制し、生存期間(または呼吸補助開始までの期間)を中央値で600日以上延長しました。
- 用法:週2回、筋肉内注射(50mg)。
- 副作用:注射部位の痛み、発疹など。比較的安全性が高いとされています。
2. 対症療法:症状ごとの緩和ケア
ALSのQOL(生活の質)を維持するためには、現れている症状に対するきめ細やかな対処が不可欠です。
| 症状 | 主な対応・治療法 |
|---|---|
| 痙縮(つっぱり) | バクロフェン、チザニジンなどの筋弛緩薬の内服。リハビリテーション。 |
| 有痛性筋痙攣 | 芍薬甘草湯(漢方)、カルバマゼピンなどの抗てんかん薬、温熱療法。 |
| 嚥下障害 | 食事のトロミ調整、嚥下リハビリ。進行時はPEG(胃ろう)造設による栄養管理。 |
| 呼吸障害 | NPPV(マスク型人工呼吸器)の導入、排痰補助装置(カフアシスト)、気管切開TPPV。 |
| 発話障害 | 文字盤、PCやタブレットの読み上げ機能、視線入力装置の活用。 |
| 精神的不安・不眠 | 抗不安薬、睡眠導入剤、カウンセリング、ピアサポート(患者会)。 |
3. 新薬開発の最前線
現在も世界中で治験が進んでおり、新たな選択肢が登場しつつあります。
- ● トフェルセン(Tofersen)
- SOD1遺伝子変異を持つALS患者向けの「核酸医薬(ASO)」。
米国FDAで条件付き承認済。原因となるタンパク質の生成を遺伝子レベルで抑制します。 - ● AMX0035
- ミトコンドリア保護と小胞体ストレス軽減を目的とした合剤。米国・カナダ等で使用されています。
- ● 先進医療(幹細胞・iPS)
- 自己骨髄由来の幹細胞投与や、iPS細胞を用いた創薬スクリーニング(京大など)による既存薬転用(ドラッグリポジショニング)の研究が進んでいます。
4. 代替療法とCell Healingの位置づけ
標準治療以外にも、様々な補完・代替療法が存在します。
- 高濃度ビタミン療法
- 鍼灸・マッサージ
- 独自の物理療法(Cell Healingなど)
【注意点】
代替療法の中には科学的根拠に乏しいものも存在します。導入にあたっては主治医と相談し、標準治療を継続しながら「補完的」に行うことが推奨されます。
当研究所(Cell Healing)では、医学的根拠に基づかないスピリチュアルな施術は行わず、「物理的なエネルギー介入による細胞活性」という仮説検証モデルを提供しています。
6. ALS患者の生活と介護の現実
ALSは身体の自由が制限されていく病気ですが、適切な支援とテクノロジーを活用することで、自分らしい生活を維持することは十分に可能です。
生活の変化と必要な支援
進行段階に応じて、必要となるサポートは変化します。
| 段階 | 生活への影響 | 必要な支援・ツール |
|---|---|---|
| 初期 | 手先の不器用さ、転倒リスク、疲れやすさ | 自助具(太柄のスプーン等)、手すりの設置、短下肢装具 |
| 中期 | 歩行困難、食事に時間がかかる、発話が不明瞭 | 車椅子、リフト、コミュニケーション機器、食事形態の調整(トロミ) |
| 進行期 | 寝たきり、呼吸苦、全面的な介助が必要 | 電動ベッド、吸引器、NPPV(呼吸器)、視線入力装置、訪問看護・介護 |
在宅療養と施設入所
「どこで暮らすか」は本人と家族にとって大きな選択です。
在宅療養(自宅)
- 住み慣れた環境で家族と過ごせる。
- 生活リズムや面会時間が自由。
- 課題:家族の介護負担が大きい(※重度訪問介護の利用で軽減可能)。
施設入所・病院
- 医療スタッフが常駐し、急変時に安心。
- 家族の身体的負担がない。
- 課題:集団生活のルールがあり、自由度が下がる場合がある。入所待ちが多い。
利用できる制度(日本)
ALSは公的支援が手厚い疾患です。診断を受けたらすぐに申請の準備を進めましょう。
- 特定医療費(指定難病)受給者証
- 医療費の自己負担が軽減されます(月額上限あり)。
- 身体障害者手帳
- 医療費助成、税金の減免、交通機関の割引、補装具(車椅子等)の助成などに必要です。
- 介護保険・障害福祉サービス
- 「重度訪問介護」を利用すれば、長時間のヘルパー派遣(最大24時間)が受けられ、家族の負担を劇的に減らすことができます。
テクノロジーによる意思伝達
身体が動かなくなっても、「伝える」ことは可能です。
- 視線入力装置(Tobii, OriHime Eyeなど): 目の動きだけでPC操作、会話、メール、SNSが可能です。
- ボイスバンク: 声が出しにくくなる前に自分の声を録音・合成し、PC上で「自分の声」で会話する技術です。
- 分身ロボット: 自宅にいながら、遠隔操作ロボットを通じてカフェで働いたり、社会参加するALS患者さんもいます。
7. ALSに関する最新研究・希望の光
かつて「手立てがない」と言われたALSですが、現在は分子生物学の発展により、治療のブレイクスルーが近づいています。
iPS細胞を用いた創薬
京都大学iPS細胞研究所(CiRA)などが世界をリードしています。
【仕組み】
患者さんの皮膚や血液からiPS細胞を作り、それを「運動神経」に変化させて病気の状態を再現します。
そこに数千種類の既存薬を投与し、「神経細胞が死ななくなる薬」を探し出します(ドラッグリポジショニング)。
【成果】
白血病の薬「ボスチニブ」などがALSに有効である可能性が見つかり、治験が進められています。
遺伝子治療・核酸医薬
原因遺伝子が特定されている場合、その遺伝子の働きを直接止める治療です。
- アンチセンス核酸(ASO): 異常なタンパク質を作る設計図(mRNA)を分解します。トフェルセン(SOD1変異用)が代表例です。
- アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター: 正常な遺伝子を運び込む治療法なども研究されています。
幹細胞治療(再生医療)
失われた神経を「再生」させる、あるいは残った神経を「保護」する試みです。
| 種類 | 目的・現状 |
|---|---|
| 間葉系幹細胞 (MSC) |
自分の骨髄などから採取。神経保護因子を出し、進行を遅らせる効果を期待。米国や韓国で製品化の動きあり。 |
| 神経幹細胞 | 神経そのものを補充する完全な再生医療。まだ基礎研究・初期治験の段階。 |
研究は「希望」から「現実」へ
ALSはもはや「何もできない病気」ではありません。世界中の研究者が挑み、治療の選択肢は年々増えています。
「治る日」が来るまで、今の機能を守り、生活をつないでいくことが、現代のALSとの戦い方です。
8. ALSと向き合うために(心と選択)
ALSは身体の自由を奪いますが、「思考する力」「感じる心」は奪えません。診断後の精神的なプロセスと、人生の選択(ACP)について解説します。
告知の受容プロセス
「なぜ自分が?」という怒りや否認から始まり、深い悲しみを経て、やがて「病気と共に生きる」受容へと至る心理的段階(キューブラー・ロスモデルなど)があります。
大切なこと:
本人だけでなく、家族も同様に傷つき、混乱します。焦って結論を出そうとせず、医療スタッフやカウンセラー、ピアサポート(患者会)の力を借りて、気持ちを整理する時間を持つことが重要です。
ACP(アドバンス・ケア・プランニング)
「人生会議」とも呼ばれます。意識がはっきりしているうちに、将来の医療やケアについて家族や医療チームと話し合っておくプロセスです。
- 呼吸器の選択: 気管切開をして人工呼吸器をつけるか、つけないか。これは「延命治療」の選択であり、一度つけたら日本では原則外せません。
- 栄養の選択: 口から食べられなくなった時、胃ろう(PEG)を作るか。
- 療養場所: 最期まで自宅で過ごしたいか、施設に入りたいか。
これらは正解のない問いですが、早めに話し合っておくことで、本人の尊厳を守り、家族の迷いを減らすことができます。
孤立しないために
ALSは希少疾患ゆえに孤独を感じやすい病気です。
- ● ピアサポート(患者会)
- 日本ALS協会などの患者団体や、SNS上のコミュニティでは、同じ悩みを持つ仲間と繋がれます。「先輩患者」の知恵は、医療者以上に役立つことがあります。
- ● 社会との接点
- 分身ロボットや視線入力を使い、仕事を続けたり、クリエイティブな活動をする患者さんも増えています。「役割」を持ち続けることが生きる力になります。
9. よくある質問(Q&A)
診察室では聞きにくい疑問について、一般的な回答をまとめました。
現時点の西洋医学では「完治(Cure)」させる方法は確立されていません。しかし、「進行を遅らせる」ことは可能です。
また、当研究所(Cell Healing)を含む一部のアプローチでは、可動域の改善や筋反応の変化といった「リバーサル(回復傾向)」を目指す取り組みも行われています。
ALSには特有のマーカーがないため、頚椎症や多発性硬化症など「治療可能な他の病気」をすべて除外する必要があるからです。誤診を防ぐための慎重なプロセスであり、確定まで半年〜1年以上かかることもあります。
ALSの90〜95%は遺伝しない「孤発性」です。血縁者にALS患者がいない場合、遺伝の心配はほとんどありません。家族性の場合でも、遺伝子変異があるから必ず発症するとは限りません。
気管切開を行うと声帯を通る空気がなくなるため、発声は難しくなります。しかし、「スピーチカニューレ」の使用や、視線入力装置の音声読み上げ機能を使うことで、コミュニケーションを維持することは十分に可能です。
24時間のケアが必要になるため、家族だけで抱え込むと共倒れになります。「重度訪問介護」などの公的制度を利用し、他人(プロのヘルパー)の手を借りることが、長く在宅生活を続ける秘訣です。
10. まとめと今後への展望
ALSは「変わる」病気へ
かつては治療の手立てが乏しかったALSですが、現在は以下の3つの柱によって「希望」が見える病気へと変わりつつあります。
- 医療の進化:新薬、遺伝子治療、iPS創薬など、選択肢が増えています。
- テクノロジー:視線入力やロボット技術で、身体の制約を超えられるようになりました。
- 社会の支援:重度訪問介護などの制度が整い、地域で暮らす土台ができています。
Cell Healing(生体磁気研究所)の役割
私たちは、標準治療を否定するものではありません。薬物療法や適切なケアは、ALSと戦うための不可欠な「盾」です。
しかし、「盾」だけでは現状維持が精一杯です。
私たちCell Healingは、そこに「物理的なエネルギー介入」という「矛(攻め)」を加えることで、現代医療の空白地帯にある「回復への可能性」を追求しています。
「治らない」という常識に対し、論理と物理学で挑み続ける。それが私たちのミッションです。
より具体的な「戦い方」を知りたい方へ
本ページの情報は一般的な概論です。
当研究所代表・日原による著書では、より実践的なアプローチや、実際の回復記録について詳細に解説しています。
『ALSリバーサル完全ガイド』
当研究所の「物理的アプローチ」の詳細はこちら
