ALSで視線入力はいつ始める?AAC・文字盤・ボイスバンク・意思伝達の準備
ALSでは、声が出にくい、言葉が聞き取られにくい、手で書く・スマホを打つ動作が疲れるなど、意思を伝える方法が少しずつ変わっていくことがあります。 視線入力は大切な選択肢の一つですが、いきなり視線入力だけを準備すればよいわけではありません。 紙の文字盤、はい・いいえ、スマホ読み上げ、スイッチ、透明文字盤、ボイスバンク、メッセージバンクを、本人の声・手・視線・疲労・呼吸・介護体制に合わせて組み合わせていくことが重要です。
結論
- ALSの意思伝達は、声が出なくなってからではなく、少し聞き返される・長く話すと疲れる・スマホ入力が遅くなる段階で準備を始める方が選択肢を残しやすくなります。
- 視線入力は有力な方法ですが、紙の文字盤、はい・いいえ、スマホ読み上げ、スイッチ、透明文字盤などと併用する前提で考えると現実的です。
- 緊急時、呼吸、吸引、体位変換、痛み、トイレ、胃ろう、救急受診では、長い文章よりも短い定型文が役立ちます。
- ボイスバンクは将来の合成音声のため、メッセージバンクは本人の声で短い言葉を残すための準備です。どちらも声が比較的安定している時期の方が取り組みやすいことがあります。
- 本人が伝えたい内容を、家族が推測だけで進めないために、はい・いいえ、二択質問、疲れた時間帯の短文、緊急フレーズを家族・支援者で共有しておくことが大切です。
ALSで視線入力はいつ始める?
視線入力は、声や手の動きがかなり使いにくくなってから初めて触るより、必要になる少し前から試しておく方が生活に合わせやすくなります。 ただし、早く購入すればよいという意味ではありません。大切なのは、本人がどの姿勢で、どの時間帯に、どの操作なら疲れにくいかを確認しておくことです。
目安としては、話す・書く・スマホ入力のどれかに「時間がかかる」「疲れる」「伝わりにくい」が出てきた段階で、視線入力を含むAACの相談を始めると準備しやすくなります。
| 変化 | 確認したいこと | 準備の方向 |
|---|---|---|
| 少し聞き返される | 疲れた時間帯、電話、外出先、NPPV中に伝わりにくくないか。 | はい・いいえ、短文カード、スマホ読み上げを用意する。 |
| 長く話すと疲れる | 朝・昼・夜で話しやすさに差があるか。長い説明を家族が代わりにしていないか。 | 定型文、本人の希望メモ、ボイスバンク・メッセージバンクを検討する。 |
| 手書きやスマホ入力が遅くなる | 指、手首、肘、肩、首、足、まばたきなど、どの動きが残っているか。 | スタイラス、固定具、スイッチ、視線入力の試用を相談する。 |
| NPPV・吸引・胃ろうの話が出ている | 息苦しさ、痰、姿勢、痛み、処置の希望を短く伝えられるか。 | 医療・介護用の短文表、緊急時シート、夜間用の呼び出し方法を整える。 |
| 声や手がかなり使いにくい | ベッド上、車椅子上、夜間、NPPV中でも使えるか。家族・支援者が操作を覚えられるか。 | 視線入力、スイッチ、透明文字盤、環境制御、支援者の練習を組み合わせる。 |
「まだ話せるから不要」と考えるより、「今は何で伝えられるか」「次に何が使えそうか」を確認しておく方が、本人の希望を残しやすくなります。
AACとは何か
AACは、補助代替コミュニケーションを意味します。 話し言葉を補ったり、話し言葉の代わりに意思を伝えたりするための方法全体を指します。
ALSで使われるAACには、紙の文字盤、筆談、はい・いいえカード、透明文字盤、スマホやタブレットの読み上げ、スイッチ入力、視線入力、音声生成装置、ボイスバンク、メッセージバンクなどがあります。 どれか一つだけを選ぶというより、場面ごとに使い分けることが多くなります。
紙の文字盤、50音表、透明文字盤、はい・いいえカード、筆談、定型文カードなど。 電源が不要で、浴室、外出先、停電時、機器トラブル時の予備としても役立ちます。
スマホ・タブレットの読み上げ、スイッチ入力、視線入力、音声生成装置、環境制御など。 長い文章、メール、SNS、家電操作、ナースコールとの連携を考えるときに重要になります。
AACは「特別な機器を買うこと」ではありません。本人が今の体の使い方で、希望・不快感・緊急サインを伝え続けるための準備です。
最初に準備したい意思伝達の優先順位
ALSのコミュニケーション支援では、機器を増やす前に「何を伝える必要があるか」を整理します。 最初は、日常会話よりも、生活の安全に関わる短い言葉を優先した方が使いやすくなります。
息苦しい、むせた、痰がある、痛い、トイレ、止めて、呼んで、はい・いいえ。
- 苦しい
- 吸引して
- 痛い
- 姿勢を変えて
- トイレ
- 止めて
症状の場所、処置の希望、マスクのずれ、体位変換、薬、食事、睡眠、疲労の程度。
- 右肩が痛い
- マスクがずれた
- 水分がほしい
- 今日は疲れている
お願い、感謝、気持ち、予定、雑談、家族に伝えたいこと。短文から始めると残しやすくなります。
視線入力、スイッチ、音声生成装置、ボイスバンク、メッセージバンク、環境制御などを少しずつ確認します。
「緊急時」「医療・介護」「日常会話」「将来の選択肢」の順に整えると、本人と家族の負担を減らしながら準備しやすくなります。
ALSで使う意思伝達手段の役割
同じALSでも、声が先に変わる人、手の動きが先に難しくなる人、疲労や呼吸状態によって使える時間帯が変わる人がいます。 そのため、意思伝達手段は「機器の性能」だけでなく、「生活のどの場面で使うか」で選びます。
| 方法 | 役割 | 注意したいこと |
|---|---|---|
| はい・いいえ | 最も基本になる意思表示。緊急時、処置中、疲労時にも使いやすい。 | まばたき、視線、指、足、表情など、本人が一番疲れにくい合図を決める。 |
| 文字盤・50音表 | 紙で使えるため、停電・機器不調・外出先・浴室でも予備になる。 | 支援者が読み取り方を覚える必要がある。本人の視線や首の疲労も見る。 |
| 透明文字盤 | 視線で文字を選びやすい。声や手が使いにくい時期の低テクAACとして役立つ。 | 使う人の練習が必要。照明、姿勢、眼鏡、目の乾きも影響する。 |
| 筆談・メモ | 手が使える時期には早くて自然。受診時のメモにも使いやすい。 | 手指や肩が疲れる場合は、短文・太いペン・ボード固定などを工夫する。 |
| スマホ・タブレット読み上げ | 文字入力した内容を音声で伝えられる。日常会話、電話代替、外出先で使いやすい。 | 指入力が難しくなる場合は、スタイラス、固定具、スイッチ、予測入力を検討する。 |
| スイッチ入力 | 小さな動きで入力できる。指、足、頬、頭、まばたきなど、残っている動きを使う。 | スイッチの場所、固定方法、誤作動、疲労、ベッド上での位置を調整する。 |
| 視線入力 | 手が使いにくい場合でも、視線で文字入力・読み上げ・環境操作を行える可能性がある。 | 姿勢、画面位置、眼鏡、眼瞼下垂、目の乾き、疲労、NPPVマスクとの相性を確認する。 |
| 音声生成装置 | 入力した文章を音声で出す。長い会話、医療説明、外部とのやりとりに役立つ。 | 本人だけでなく、家族・支援者が起動、充電、固定、トラブル対応を覚える必要がある。 |
| ボイスバンク | 将来、合成音声として自分に近い声を使うための収録。 | 声が保たれている時期の方が取り組みやすい。収録量や方法はサービスで異なる。 |
| メッセージバンク | 本人の声で短い言葉や大切な言葉を録音して残す。 | 少数でも意味がある。「ありがとう」「大丈夫」「愛している」など個人的な言葉も対象になる。 |
高機能な機器でも、寝ている姿勢、夜間、NPPV中、吸引前後、トイレ、浴室では使いにくいことがあります。 低テクの方法を予備として残すことも大切です。
声・手・視線・疲労に合わせた準備の順番
ALSの意思伝達は、進行段階だけで一律に決まるものではありません。 声が保たれていても手が使いにくい場合、手は使えても発話が疲れる場合、日中は使えても夜間は難しい場合があります。 そのため、声・手・視線・姿勢・疲労・呼吸を分けて見ます。
1. 声がまだ使える時期
- 聞き返されやすい場面を確認する。
- 長い説明を短文に分ける。
- スマホ読み上げや定型文を試す。
- ボイスバンク、メッセージバンクに関心があれば早めに相談する。
- 受診時に、本人が何をどこまで家族に代弁してほしいかを確認しておく。
2. 手や指が使いにくくなってきた時期
- スマホやタブレットを置く角度、固定具、スタイラスを確認する。
- 疲れにくい入力方法を探す。
- スイッチに使えそうな動きがあるか確認する。
- 手指入力だけに頼らず、視線入力や透明文字盤の試用を相談する。
- 車椅子上、ベッド上、リクライニング時で同じ方法が使えるかを見る。
3. 呼吸・嚥下・吸引の対応が増えてきた時期
- 息苦しい、痰がある、むせた、姿勢がつらい、痛いなどの短文を準備する。
- NPPVマスクを着けた状態でも伝えられるか確認する。
- 吸引の強さ、タイミング、止めてほしい時の合図を決める。
- 夜間の呼び出し方法を決める。
- 救急時に本人の希望が伝わるメモを作る。
4. 視線入力やスイッチを本格的に考える時期
- 画面を見る姿勢を保てるか確認する。
- 目の疲れ、乾き、まぶたの重さ、眼鏡、照明の影響を見る。
- 入力速度より、疲れた時でも確実に伝えられるかを確認する。
- 家族・介護者・訪問看護が、起動、充電、固定、トラブル時の対応を覚えられるか確認する。
- 機器が使えない場面のために、紙の文字盤やはい・いいえを残す。
準備は「機器を決める」より、「本人が伝えたい内容を、どの姿勢・どの時間帯・誰の支援で伝えるか」を確認する作業です。
視線入力を導入する前に確認すること
視線入力は、手を使わずに文章入力や読み上げができる可能性がある一方、画面位置、姿勢、目の状態、疲労、支援者の理解に大きく左右されます。 導入前には、次の項目を確認しておくと、生活に合わせて選びやすくなります。
- まばたき、視線、首、頬、指、足など、どの動きが残っているか。
- その動きが朝・昼・夜で変わるか。
- 疲れた時にも同じ合図が出せるか。
- ベッド上で使えるか。
- 車椅子上で使えるか。
- NPPV中、食後、夜間でも使えるか。
- 目の乾き、涙、まぶたの重さがないか。
- 眼鏡や照明で反応が変わらないか。
- 長時間画面を見ると疲れすぎないか。
- 家族や支援者が操作を覚えられるか。
- 訪問看護や介護者が夜間にも扱えるか。
- 故障、充電切れ、固定具のずれに対応できるか。
試用時に確認したい場面
| 場面 | 確認したいこと |
|---|---|
| 日中の車椅子上 | 画面までの距離、視線の反応、入力速度、肩や首の疲労。 |
| ベッド上 | 仰向け・側臥位・リクライニングで画面位置を保てるか。 |
| NPPV中 | マスク、固定ベルト、加湿、空気漏れが画面操作や視線に影響しないか。 |
| 夜間 | 暗さ、眠気、介護者の対応、呼び出し方法、短文入力のしやすさ。 |
| 外出・受診 | 持ち運び、車椅子固定、バッテリー、周囲の音、診察室での使いやすさ。 |
視線入力が合わない場合でも、意思伝達そのものができないという意味ではありません。 透明文字盤、スイッチ、はい・いいえ、定型文カードなど、他の方法を組み合わせて考えます。
ボイスバンクとメッセージバンクの違い
ボイスバンクとメッセージバンクは、どちらも「声を残す」方法ですが、目的が違います。 本人にとって意味があるか、収録の負担に見合うかを確認しながら進めます。
将来、音声生成装置やアプリで自分に近い合成音声を使うために、声を収録する方法です。 収録する文の数、必要な時間、使える機器やサービスは方法によって異なります。
- 声が比較的安定している時期の方が取り組みやすい。
- 将来、入力した文章を自分に近い声で読み上げたい場合に検討する。
- 疲労が強い場合は、短時間に分けて行えるか確認する。
本人の声そのものを、短い言葉や大切なメッセージとして録音して残す方法です。 合成音声ではなく、録音した言葉をそのまま使う点が特徴です。
- 「ありがとう」「おはよう」「大丈夫」など、少数でも価値がある。
- 家族、友人、介護者に伝えたい言葉を残せる。
- 笑い声、呼びかけ、名前を呼ぶ声など、本人らしい音も対象になる。
残しておきたい言葉の例
- ありがとう
- 大丈夫
- 痛い
- 少し待って
- もう一度言って
- おはよう
- おやすみ
- 愛している
- 今日は疲れている
- 姿勢を変えて
どちらも必須ではありません。本人が望むか、今の声の状態で負担なく行えるか、家族にとってではなく本人にとって意味があるかを大切にします。
医療・介護場面で必要になる短い言葉
ALSの意思伝達は、会話だけでなく、医療・介護の安全にも関わります。 NPPV、吸引、胃ろう、食事、体位変換、夜間介護、救急受診では、本人が短く確実に伝えられる言葉を準備しておくことが重要です。
| 場面 | 必要になりやすい言葉 | 準備したい方法 |
|---|---|---|
| 呼吸・NPPV | 苦しい、マスクがずれている、空気が漏れる、外したい、加湿、姿勢を変えたい。 | 短文カード、スマホ定型文、視線入力の定型文、夜間用の合図。 |
| 痰・吸引 | 痰がある、吸引してほしい、強すぎる、痛い、奥まで入れないで、止めて。 | 緊急カード、はい・いいえ、透明文字盤、介護者間で共通の合図。 |
| むせ・食事 | むせた、疲れた、飲み込みにくい、もう少し、止めたい、姿勢がつらい。 | 食事用フレーズ表、食事姿勢の合図、嚥下相談時のメモ。 |
| 胃ろう・栄養 | お腹が張る、気持ち悪い、速度がつらい、休みたい、姿勢を変えたい。 | 胃ろう管理用の短文、体調メモ、訪問看護への共有メモ。 |
| 体位変換 | 右を向きたい、左を向きたい、背中が痛い、肩が痛い、足を動かしてほしい。 | 体位変換表、部位別の痛みカード、はい・いいえ確認。 |
| 夜間介護 | 呼んで、トイレ、暑い、寒い、布団、吸引、苦しい、眠れない。 | 呼び出しスイッチ、ナースコール、短文表、介護者が見える位置のカード。 |
| 救急・入院 | 本人の希望、呼吸器、胃ろう、吸引、薬、苦痛の場所、してほしくないこと。 | 緊急時シート、受診メモ、本人の希望メモ、家族共有メモ。 |
長い説明が難しい時期でも、短い言葉が用意されているだけで、本人の希望を確認しやすくなります。
家族がそろえたい確認方法
家族が本人を理解しようとするほど、先回りして推測してしまうことがあります。 しかし、医療・介護の判断が関わる場面では、推測だけで進めると本人の希望とずれることがあります。 そのため、家族・介護者・訪問看護などで、同じ確認方法を使うことが大切です。
はい・いいえ確認
- 「はい」はまばたき1回、「いいえ」は視線を横に動かす、など本人が疲れにくい方法を決める。
- 確認する人によって合図の解釈が変わらないようにする。
- 疲れている時、眠い時、吸引前後でも同じ合図が出せるか確認する。
- 大事な内容は、時間を置いて再確認する。
二択質問
体調が悪い時や夜間は、長い質問よりも二択が使いやすくなります。
- 右?左?
- 暑い?寒い?
- 吸引する?待つ?
- ベッドを上げる?下げる?
- 今話す?あとで話す?
疲れた時間帯の短文
夜、食後、入浴後、リハビリ後、NPPV中などは、普段より伝えにくいことがあります。 疲れた時用の短文を別に準備しておくと、本人も支援者も確認しやすくなります。
- 今日はもう疲れた
- あとで話したい
- 短く聞いて
- はい・いいえで聞いて
- 休ませて
緊急フレーズ
緊急フレーズは、本人が見える位置、家族がすぐ手に取れる位置、夜間介護者が分かる位置に置きます。
- 息が苦しい
- 痰がつまった
- 吸引して
- 救急車
- 痛い
- 止めて
- 家族を呼んで
「家族なら分かるはず」と考えすぎないことも大切です。 疲労、眠気、呼吸苦、処置中の不安があると、いつもの合図が分かりにくくなることがあります。
本人の希望を残すメモ
ALSでは、NPPV、胃ろう、吸引、夜間介護、救急受診、入院、在宅療養など、本人の希望を確認したい場面が増えることがあります。 意思伝達が難しくなる前に、本人の言葉でメモを残しておくと、家族や支援者が迷った時の助けになります。
| 項目 | 書いておきたい内容 |
|---|---|
| 呼吸 | NPPVについて聞いておきたいこと、苦しい時にしてほしいこと、マスクで困ること。 |
| 吸引 | 吸引してほしい合図、苦手なやり方、痛い時の合図、訪問看護に伝えたいこと。 |
| 食事・胃ろう | 食べることへの希望、胃ろうについて確認したいこと、無理に続けたくない場面。 |
| 体位・痛み | 痛くなりやすい部位、楽な姿勢、体位変換の希望、触ってほしくない部位。 |
| 会話 | 家族に代わりに説明してほしい範囲、自分で確認されたい内容、聞かれ方の希望。 |
| 救急・入院 | 持参したい情報、連絡してほしい人、医療者に必ず伝えたいこと。 |
| 生活 | 家で大切にしたい時間、会いたい人、避けたいこと、好きな音楽や過ごし方。 |
メモは一度作って終わりではありません。体の変化、介護体制、本人の気持ちに合わせて、何度も書き直して構いません。
相談先と制度の確認
視線入力や意思伝達装置は、本人と家族だけで選ぶより、医療・リハビリ・介護・制度の担当者と一緒に確認した方が進めやすくなります。 特に、重度障害者用意思伝達装置、補装具費、福祉用具、訪問看護、介護体制が関係する場合は、早めの相談が必要になることがあります。
| 相談先 | 相談したい内容 |
|---|---|
| 主治医・脳神経内科 | ALSの進行、呼吸・嚥下、NPPV、胃ろう、吸引、診断書や制度利用に関する確認。 |
| 言語聴覚士 | 発話、嚥下、文字盤、AAC、ボイスバンク、メッセージバンク、視線入力の相談。 |
| 作業療法士 | 手指入力、スイッチ、固定具、姿勢、車椅子・ベッド上での機器配置、環境制御。 |
| 理学療法士 | 座位、頭部・体幹の保持、ベッド上姿勢、疲労、呼吸しやすい姿勢の確認。 |
| 訪問看護 | 吸引、NPPV、胃ろう、夜間対応、緊急時の意思確認、家族への共有。 |
| 相談支援専門員・ケアマネジャー | 障害福祉サービス、介護保険、重度訪問介護、訪問看護、家族負担、事業所調整。 |
| 市区町村の障害福祉窓口 | 補装具費、重度障害者用意思伝達装置、日常生活用具、申請手続き、自己負担の確認。 |
| 機器業者・支援機器相談機関 | 視線入力、スイッチ、固定具、試用、保守、トラブル時の対応。 |
制度相談で確認したいこと
- 視線入力や意思伝達装置が、どの制度で相談できるか。
- 補装具費支給制度、重度障害者用意思伝達装置、日常生活用具のどれに当てはまる可能性があるか。
- 申請前に試用できるか。
- 診断書、意見書、見積書、身体状況の評価が必要か。
- 修理、スイッチ交換、固定具、支援者の練習はどう扱われるか。
- 進行性疾患として、早めに相談できるか。
制度や申請手続きは自治体や状況によって扱いが変わることがあります。 具体的な申請は、主治医、リハビリ職、市区町村の障害福祉窓口、相談支援専門員などに確認してください。
次に確認したい内容
意思伝達は、呼吸、吸引、胃ろう、夜間介護、住環境、家族支援と切り離して考えにくいテーマです。 必要に応じて、次の内容もあわせて確認してください。
胃ろう、NPPV、吸引、視線入力、介護体制をどの順番で確認するかを整理します。
詳しく見る声や手が使いにくくなる前に、視線入力をいつ試すかを確認します。
詳しく見る朝の頭痛、眠気、息苦しさ、NPPV、呼吸器の相談目安を確認します。
詳しく見る吸引器、夜間対応、訪問看護、家族負担、意思確認の準備を整理します。
詳しく見る夜間見守り、吸引、呼吸器、家族の睡眠、申請時に整理したいことを確認します。
詳しく見る体重、嚥下、呼吸、本人の希望、PEG/RIG/PIG、在宅管理を整理します。
詳しく見るベッド、車椅子、移乗、トイレ、入浴、夜間対応、呼び出し方法を確認します。
詳しく見る症状、治療、生活設計、家族で確認したいことを全体から確認できます。
詳しく見るよくある質問
ALSで視線入力は早く始めた方がよいですか?
早く購入することが目的ではありません。 ただし、声・手・スマホ入力のどれかが使いにくくなってきたら、試用や相談を始めておくと、必要になった時に慌てにくくなります。 視線入力が必要になる前に、姿勢、目の疲れ、画面位置、家族の操作練習を確認することが大切です。
まだ話せる場合でもAACを準備してよいですか?
準備して構いません。 AACは「話せなくなった人だけのもの」ではなく、話すと疲れる、電話がつらい、聞き返される、医療場面で短く正確に伝えたい時にも役立ちます。
文字盤と視線入力はどちらがよいですか?
どちらか一方だけで考えない方が実用的です。 視線入力は長い文章や音声出力に役立つことがありますが、浴室、夜間、停電時、機器トラブル時には紙の文字盤やはい・いいえが役立つことがあります。
ボイスバンクは全員やるべきですか?
必須ではありません。 自分に近い声を将来使いたいという希望がある場合に検討します。 声が比較的安定している時期の方が収録しやすいことがありますが、本人の負担や希望を優先します。
メッセージバンクは少しだけでも意味がありますか?
意味があります。 「ありがとう」「おはよう」「大丈夫」「愛している」など、短い言葉でも本人の声で残ることに価値を感じる方もいます。 数を増やすことより、本人が残したい言葉を選ぶことが大切です。
家族が分かるなら機器は不要ですか?
家族の理解は大切ですが、それだけでは限界があります。 疲労、夜間、吸引中、NPPV中、救急時には、家族でも読み取りにくいことがあります。 紙、定型文、はい・いいえ、機器を併用すると、本人の希望を確認しやすくなります。
まず一つだけ始めるなら何がよいですか?
まずは、はい・いいえの合図、緊急フレーズ、50音文字盤の3つを準備すると実用性があります。 そのうえで、スマホ読み上げ、ボイスバンク、視線入力、スイッチなどを必要に応じて相談します。
視線入力が使えなかったら意思伝達は難しいですか?
そうとは限りません。 透明文字盤、スイッチ、二択質問、はい・いいえ、定型文カード、支援者による読み上げなど、他の方法を組み合わせることがあります。 目の状態、疲労、姿勢によって視線入力が合いにくい場合もあるため、複数の方法を残しておくことが大切です。
参考文献・参考情報
- 日本神経学会:筋萎縮性側索硬化症(ALS)診療ガイドライン2023
- Mindsガイドラインライブラリ:筋萎縮性側索硬化症(ALS)診療ガイドライン2023
- Urushitani M, et al. The clinical practice guideline for the management of amyotrophic lateral sclerosis in Japan – update 2023. Clinical Neurology. 2024.
- NICE guideline NG42:Motor neurone disease: assessment and management
- MND Association:AAC pathway for Motor Neurone Disease
- The ALS Association:Augmentative and Alternative Communication
- Beukelman DR, Fager S, Nordness A. Communication Support for People with ALS. Neurology Research International. 2011.
- 厚生労働省:補装具費支給制度の概要
- 「重度障害者用意思伝達装置」導入ガイドライン
参考情報は、ALSの診療、AAC、意思伝達装置、制度に関する一般的な情報確認のために掲載しています。 個別の医療判断、制度申請、機器選定は、主治医、言語聴覚士、作業療法士、市区町村の障害福祉窓口などに確認してください。
まとめ
ALSの意思伝達は、視線入力だけを入れるかどうかではなく、声、手、視線、疲労、呼吸、姿勢、介護体制に合わせて、複数の方法を重ねていく準備です。
早い段階では、はい・いいえ、緊急フレーズ、文字盤、スマホ読み上げが役立ちます。 声が残っている時期には、ボイスバンクやメッセージバンクを検討できることがあります。 手や声が使いにくくなってきたら、視線入力、スイッチ、透明文字盤、音声生成装置などを、生活場面に合わせて試します。
特に、NPPV、吸引、胃ろう、夜間介護、救急受診が関係する時期には、本人の希望を短く確実に伝えられる方法が重要になります。 家族や支援者が推測だけで進めないためにも、本人の合図、短文、希望メモを共有しておくことが大切です。
- 本ページは、ALSの意思伝達、AAC、視線入力、文字盤、ボイスバンク、メッセージバンクに関する一般情報です。個別の評価、機器選定、制度申請、医療判断を指示するものではありません。
- コミュニケーション手段は、発話、手指、視線、疲労、姿勢、呼吸、嚥下、認知面、家族・介護者の支援体制によって変わります。
- 話しにくさ、入力困難、呼吸・嚥下の変化、夜間介護、吸引、胃ろう、視線入力の導入を考える場合は、主治医、言語聴覚士、作業療法士、訪問看護、相談支援専門員、市区町村の障害福祉窓口などと相談してください。
