筋ジストロフィー総合案内:分類・病型一覧・遺伝の基礎

筋ジストロフィーとは

筋ジストロフィー(Muscular Dystrophy)とは、遺伝子の変異により、筋肉の細胞を支えるタンパク質(ジストロフィンなど)が作れなくなったり機能しなくなったりすることで、筋肉が壊れやすくなる疾患の総称です。
「筋肉そのもの」が病変の主体である点が、神経の病気であるALS(筋萎縮性側索硬化症)とは異なります。

主要な病型と詳細ページ

当ライブラリでは、以下の病型について詳細な医学情報(症状・遺伝・最新の管理法)をまとめています。
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筋強直性ジストロフィー
(Myotonic Dystrophy / DM)
  • ✔ 成人で最も多いタイプ
  • ✔ 手が開きにくい(ミオトニア)
  • ✔ 全身性疾患(白内障・心疾患)

 

顔面肩甲上腕型
(FSHD)
  • ✔ 顔・肩・腕の筋肉が痩せる
  • ✔ 左右差があるのが特徴
  • ✔ 進行は比較的緩やか

 

デュシェンヌ型 / ベッカー型
(DMD / BMD)
  • ✔ 小児期に発症する代表的な型
  • ✔ ジストロフィン欠損が原因
  • ✔ 男性に多い(X連鎖性)

 

肢帯型(したいがた)
(LGMD)
  • ✔ 腰や肩(体幹に近い筋肉)
  • ✔ 多くのサブタイプが存在
  • ✔ 歩行機能への影響が大きい

 

共通するメカニズム

私たちの筋肉の細胞は、収縮と弛緩を繰り返すたびに強い負荷がかかります。通常、筋肉の細胞膜は「裏打ちタンパク質(ジストロフィンなど)」によって頑丈に守られていますが、筋ジストロフィーの患者さんは遺伝子の変異により、この守る仕組みが弱くなっています。

その結果、「筋肉を動かすたびに細胞膜が傷つき、壊れてしまう(壊死)」という現象が起こります。再生能力を超えて壊死が進むと、筋肉が脂肪や線維組織に置き換わり、徐々に筋力が低下していきます。

遺伝形式について

病型によって遺伝の仕方が異なります。正しい知識を持つことが大切です。

■ 常染色体優性遺伝(じょうせんしょくたい・ゆうせい)
両親のどちらかが病気の場合、性別に関係なく50%の確率で子供に遺伝します。
(該当:筋強直性ジストロフィー、顔面肩甲上腕型など)
■ X連鎖劣性遺伝(えっくすれんさ・れっせい)
性染色体(X)に関連するため、基本的に「男性」に発症します。女性は保因者となりますが、症状が出る場合もあります。
(該当:デュシェンヌ型、ベッカー型)
■ 常染色体劣性遺伝(じょうせんしょくたい・れっせい)
両親が保因者の場合、25%の確率で子供に発症します。両親に症状がない場合が多いです。
(該当:肢帯型の一部、福山型など)

Q. 「筋ジストロフィー」と「ミオパチー」は何が違うのですか?

広義には、筋肉の病気全体を「ミオパチー(Myopathy=筋疾患)」と呼びますが、医学的な分類では「筋肉が壊れていく性質(変性・壊死)」が強いものを筋ジストロフィーと呼び、それ以外の「生まれつき筋肉の構造に特徴があるもの」などを狭義のミオパチー(先天性ミオパチーなど)として区別します。

分類 特徴と主な違い
筋ジストロフィー 進行性
筋肉の細胞膜などが弱いために、日常生活の中で「筋肉の破壊(壊死)と再生」が繰り返され、徐々に筋肉が減っていく疾患群です。
(例:デュシェンヌ型、筋強直性、顔面肩甲上腕型など)
その他のミオパチー
(先天性・代謝性など)
非進行性 または 緩徐
筋肉が壊れるというよりは、「筋肉の構造そのものの異常」や「エネルギーを作る力の不足」が原因です。
乳児期から筋力低下があるものの、筋ジストロフィーに比べて進行がゆっくり、あるいは進行しない(非進行性)ケースも多く見られます。
(例:ネマリンミオパチー、ミトコンドリア病など)

先天性ミオパチー・ミトコンドリア病などの詳細はこちら


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