【DMD】5〜6歳で走れない・転びやすいとき|進行の見方と無理させない考え方

DMD情報 学童初期 転倒・走りにくさ

5〜6歳で走れない・転びやすいとき|進行の見方と無理させない考え方

DMD(デュシェンヌ型筋ジストロフィー)では、5〜6歳前後になると「同年代より走れない」「転ぶ回数が増えた」「階段がつらそう」「床から立つのに時間がかかる」といった変化が、家族や学校から見えやすくなることがあります。 この時期に大切なのは、変化を必要以上に怖がりすぎず、逆に「まだ歩けるから大丈夫」と後回しにしすぎないことです。

走れない、転びやすい、階段が遅いという変化は、本人の努力不足や運動不足だけで説明しない方がよい場面があります。 DMDでは、体幹、股関節まわり、太ももなど身体の中心に近い筋肉の弱さが先に目立ち、走る、跳ぶ、床から立つ、階段を上がる動作で差が出やすくなります。

このページでは、5〜6歳で目立ちやすいサイン、無理を避けたい理由、家庭で残したい記録、学校で先に整えたいこと、受診で伝えるポイントをまとめます。

本ページは一般向けの情報です。DMDの進み方には個人差があり、同じ年齢でも状態は一律ではありません。急な悪化、強い痛み、発熱後の動けなさ、転倒後の歩行拒否、朝の頭痛や強い眠気がある場合は、通常の進行だけで説明せず医療機関へ相談してください。

まず押さえたいこと

  • 5〜6歳で走れない・転びやすいことは、DMDで家族が最初に強く気づきやすい変化の一つです。
  • この時期は、「もっと鍛えれば追いつく」と考えるより、疲労をためすぎず、転倒を減らし、同じ条件で比べられる記録を残す方が大切です。
  • 走る、階段、床から立つ、転倒、午後の疲れは、今後のリハビリ・学校配慮・治療相談の入口になります。
  • 運動は完全に避ける必要はありません。ただし、強い筋トレ、限界まで追い込む反復、ジャンプやダッシュの繰り返しは相談が必要です。
  • まだ歩ける時期でも、心臓・呼吸・リハビリ・学校への共有を少しずつ始めておくと、その後の判断がしやすくなります。
  • 発熱後に急に立てない、転倒後に痛がる、強い眠気や朝の頭痛がある場合は、通常の進行とは分けて相談します。

このページで見る範囲

このページは、DMDの全体像ではなく、5〜6歳前後で目立ちやすい「走れない」「転びやすい」「階段がつらい」「床から立ちにくい」という変化に絞っています。 診断直後にやること、ステロイド治療、年齢ごとの進行、呼吸・心臓、学校生活、車椅子移行は、それぞれ別のページでも詳しく扱っています。

ここで見ること 主な内容 別ページで詳しく見ること
5〜6歳の動きの変化 走りにくさ、転倒、階段、床から立つ動作、つま先歩き 年齢ごとの進行、評価と記録
無理させない考え方 強い運動を避ける理由、疲労を残さない活動、休憩の入れ方 運動・リハ・拘縮・脊柱
学校での配慮 体育、校内移動、階段、外遊び、遠足、転倒時の共有 学校生活・体育・校外学習
受診での伝え方 動画、転倒回数、疲労、階段、学校での様子 診断後の優先順位、評価テンプレ
急ぎの相談 痛み、発熱後の悪化、骨折疑い、呼吸・睡眠の変化 呼吸、心臓、救急時の相談

「走れないからすぐ何かを決める」のではなく、どの動作が、どの場面で、どのくらい負担になっているかを分けて見ることが大切です。

5〜6歳で見えやすい変化

DMDの早期には、筋力が一気になくなるというより、同年代の動きとの差として気づかれることが少なくありません。 とくに5〜6歳前後では、走る、跳ぶ、階段を上がる、床から立つ、長く歩く、急いで方向転換する場面で差が見えやすくなります。

家族や学校が気づきやすいこと 見方のポイント 記録の例
走るのが遅い、途中であきらめる 運動が苦手というだけでなく、脚を素早く出す力や体幹の支えが足りないことがあります。 「友達と走るとすぐ遅れる」「走るより早歩きになる」
転倒が増える 急ぐ場面、方向転換、疲れた午後、段差、人混みで目立ちやすくなります。 「今月は園庭で3回、廊下で1回つまずいた」
階段で手すりが必要になる 下りより上りでつらさが目立つことがあります。片足ずつではなく一段ずつになっていないかも見ます。 「上りで手すりを使う」「途中で止まる」
床から立つのに時間がかかる 手を床、膝、太ももにつきながら起きる動きは、股関節まわりや太ももの弱さを考えるサインになります。 「床から立つ時に、太ももに手をついて登るように立つ」
つま先歩き、腰を振るような歩き方 ふくらはぎの張り、足首の硬さ、体幹の支え方と合わせて見ます。 「夕方になるとつま先寄りになる」「腰を左右に振る」
長く歩くと座りたがる 歩けるかだけでなく、どれくらい疲れるか、翌日に残るかも見ます。 「買い物の後、帰宅してすぐ横になる」
体育や外遊びを嫌がる 本人が怠けているのではなく、走る・跳ぶ・急ぐ場面がつらくなっていることがあります。 「鬼ごっこを避ける」「体育の前に不安そう」

「前から少し不器用だった」が、「最近は園や学校でも目立つ」に変わってきたら、責めるより先に記録と相談の準備を始めます。

なぜ走れない・転びやすいが起きるのか

DMDでは、股関節まわり、太もも、体幹など、身体の中心に近い筋肉の弱さが早めに目立ちやすくなります。 そのため、平地を短く歩くことはできても、走る、跳ぶ、階段、しゃがんだ姿勢から立つ、床から立つといった「少し大きな力」や「すばやい動き」が先に難しくなりやすくなります。

本人は、できないことを隠そうとしたり、周囲に合わせようとして無理に急いだりすることがあります。 その結果、転倒や疲労が増え、「注意が足りない」「運動が苦手」と見えてしまうことがあります。 しかし背景に筋力と疲労の問題がある場合、注意だけでは解決しません。

走りにくさで見えること

股関節、太もも、体幹を素早く支える力が足りず、走るより早歩きに近くなることがあります。

転びやすさで見えること

段差、方向転換、急ぐ場面、疲れた午後に姿勢を立て直しにくくなります。

階段で見えること

体重を片脚で支えながら持ち上げる動きが必要なため、上りで負担が目立ちやすくなります。

床から立つ動作で見えること

太ももや膝に手をついて、手の力を使いながら身体を起こす動きが出ることがあります。

走れない・転びやすいは、本人の気合いや練習不足で説明しない方がよい場面があります。 今の筋力、疲労、転倒しやすい環境を分けて見てください。

床から立つ動作で見たいこと

DMDでよく話題になるのが、床から立つ時に手を床、膝、太ももにつきながら、身体を登るように起こす動きです。 これはGowers徴候と呼ばれることがあります。 股関節まわりや太ももの筋力が足りない時に、手の力を使って立ち上がろうとする動きです。

家庭で大切なのは、専門用語を覚えることではありません。 「床から立つ時に、どこに手をつくか」「何秒くらいかかるか」「前より手を強く使っていないか」を、動画で残すことです。

見るところ 見方 メモの例
手をつく場所 床だけか、膝や太ももまで手をつくかを見ます。 「太ももに両手をつくようになった」
立ち上がる時間 正確な秒数より、前月との違いを見ます。 「前より少し時間がかかる」
反動の使い方 勢いをつけないと立てないかを見ます。 「一度前に倒れ込んでから立つ」
立った後のふらつき 立てても、その後にバランスを崩さないかを見ます。 「立った直後に一歩よろける」
嫌がるか 痛み、疲労、不安があると避けることがあります。 「床に座る遊びを避ける」

床から立つ動作を何度も繰り返して練習させる必要はありません。

記録目的なら月1回、1回だけで十分です。疲れるまで反復させるより、変化を比べられる形で残してください。

「鍛えれば追いつく」と考えにくい理由

転ぶ、走れない、階段が遅いという変化を見ると、「もっと運動させた方がよいのでは」と考えたくなります。 しかしDMDでは、筋肉そのものが傷つきやすい状態にあります。 一般的な子ども向けの筋トレや、同年代に追いつかせるための反復練習をそのまま当てはめると、疲労や痛み、転倒を増やすことがあります。

避けたい考え方

  • 転ぶたびに「足腰を鍛えればよい」と考える。
  • 走れるようにするため、ダッシュやジャンプを何度も練習させる。
  • 階段を嫌がるのに、毎日階段練習を増やす。
  • 疲れているのに、体育や外遊びを最後までやり切らせる。
  • 転倒を「注意していないだけ」と片づける。
  • 翌日まで疲れが残っているのに、同じ量の活動を続ける。

考えたい方向

  • 楽しめる範囲の軽い活動を続ける。
  • 疲れ切る前に休む。
  • 痛みや翌日の反動が出る運動は見直す。
  • 転倒しやすい場面を先に減らす。
  • 足首や股関節の硬さを確認し、必要なストレッチを相談する。
  • 体育や外遊びは、参加の仕方を変える。

「頑張ればできるはず」という励ましが、本人にとっては疲労と転倒の増加につながることがあります。

DMDでは、できることを守るために、あえて活動量を調整する考え方が必要です。

活動量はどう考えるか

DMDだからといって、身体活動をすべて避ける必要はありません。 遊び、学校生活、友達との関わりは、身体だけでなく気持ちの面でも大切です。 ただし、限界まで頑張る運動、強い筋トレ、疲労が翌日まで残る活動は見直します。

活動の種類 考え方 見直すサイン
自由遊び 本人が楽しめる範囲で、休みながら行います。 途中で座り込む、翌日まで疲れる、転倒が増える。
体育 全部休むより、内容を分けて参加を考えます。 走る競争、反復ジャンプ、長距離移動で強く崩れる。
階段 日常で必要な範囲にとどめ、連続使用や急がせる移動は見直します。 手すりが必要、途中で止まる、転びそうになる。
外出 目的地で楽しむ体力を残すため、移動距離を減らす工夫をします。 帰宅後にぐったりする、翌日まで疲れが残る。
ストレッチ 反動をつけず、痛くない範囲で行います。方法はリハビリ担当に確認します。 痛がる、嫌がる、強く押している、翌日痛みが残る。
水中活動 軽い活動として合う場合がありますが、疲労と安全を見ます。 長時間で疲れる、冷える、移動や着替えで疲れ切る。

判断の目安は、「その場でできたか」だけではありません。 その日の夜、翌日、2日後に痛み・疲労・動きの悪化が残らないかを見てください。

家庭で残したい記録

5〜6歳の変化は、家族の感覚だけでは「急に悪くなった」と見えやすくなります。 しかし、記録があると、何がどのくらい変わったのかを落ち着いて見やすくなります。 毎日細かく測る必要はありません。 月1回の短い動画と、週1回のメモで十分役立ちます。

月1回の動画で残したい動作

撮る動作 見るポイント 撮り方
平地を歩く 歩幅、腰の揺れ、つま先、左右差、足先の引っかかり。 全身が入るように10〜20秒。
走ろうとする 走れているか、早歩きになっているか、片脚支持が不安定か。 無理に競争させず、短い距離で1回だけ。
床から立つ 手をどこにつくか、何秒くらいかかるか、立った後にふらつくか。 疲れないよう1回だけ。
階段 手すり、足の出し方、途中休憩、上り下りの違い。 数段だけで十分。
方向転換 急に向きを変えた時に足がもつれるか。 走らせず、ゆっくりでよい。

週1回のメモで残したいこと

  • 転倒した回数と場所。
  • つまずいたが転ばなかった場面。
  • 体育や外遊びの後の疲れ。
  • 階段や長い廊下で遅れたか。
  • 帰宅後に横になるか、翌日まで疲れが残るか。
  • 痛み、便秘、睡眠不足、発熱後など、悪く見えた理由がありそうか。
  • 先生から言われた変化。

記録の目的は、本人に点数をつけることではありません。 受診で「何が変わったか」を短く伝え、必要な支援につなげるためです。

学校で先に整えたいこと

5〜6歳では、家庭より学校で困りごとが先に見えることがあります。 友達と同じ速度で移動する、体育で走る、校庭で遊ぶ、階段を使う、集合時間に遅れないよう急ぐ場面では、転倒や疲労が出やすくなります。

学校で見直したい場面 困りやすいこと 伝え方の例
体育 走る競争、反復ジャンプ、長距離走、急な方向転換。 「参加できる内容と、負担が大きい内容を分けたいです」
校内移動 階段、長い廊下、移動時間が短い場面。 「急がせると転倒しやすいので、移動に余裕を持たせたいです」
外遊び 鬼ごっこ、競争、段差、人混み、疲れた午後。 「疲れた時に休める場所を決めたいです」
遠足・行事 長距離歩行、待ち時間、暑さ、帰宅後の反動。 「移動距離と休憩場所を事前に確認したいです」
転倒時 骨折や痛みを見落としやすい。 「転倒後に痛みが続く時は早めに連絡してください」
友達との関係 遅れる、からかわれる、本人が我慢する。 「本人が嫌がらない範囲で、説明の仕方を相談したいです」

学校へ伝える短い文章例

「DMDのため、走る、階段、長距離移動、急いで動く場面で転倒や疲労が出やすくなっています。体育や外遊びをすべて禁止したいわけではありませんが、走る競争、反復ジャンプ、長距離移動は負担が大きくなりやすいため、本人が参加できる内容に調整したいです。転倒、痛み、強い疲労がある時は保護者へ共有をお願いします。」

学校への説明では、「できないから休ませる」より、「転倒と疲労を減らして、参加できる形に変える」と伝える方が話し合いやすくなります。

家庭で見直したい生活動線

家庭では、走る練習を増やすより、転びやすい場面と疲れやすい場面を減らす工夫が役立ちます。 小さな段差、床からの立ち座り、靴、階段、浴室、トイレ、外出後の休憩を見直します。

床生活

床から立つのがつらい場合、椅子や台を使う場面を増やすと負担を減らせます。

階段

急がせず、手すりを使い、荷物を持たせすぎないようにします。

重い靴、滑りやすい靴、脱げやすい靴で転倒が増えることがあります。

段差

玄関、浴室、外出先の小さな段差でつまずきやすくないか見ます。

外出

目的地で楽しめるように、移動距離を減らし、休憩場所を先に決めます。

疲労後の時間

体育や外出後は、その日の夜と翌日の疲れ方まで見ます。

本人が「できる」と言っても、翌日まで疲れが残る場合は、活動量が合っていないことがあります。

その場でできたかではなく、帰宅後と翌日の様子まで見てください。

受診で伝えたいこと

5〜6歳で走れない・転びやすいこと自体は、DMDで見えやすい変化です。 ただ、受診では「走れません」だけでなく、どの場面で、どのくらい困っているかを伝えると話が進みやすくなります。

受診で伝えたいこと 具体例 持っていくとよいもの
走る・歩く変化 去年より走れない、すぐ座りたがる、遠足後に強く疲れる。 歩く動画、走ろうとする動画。
転倒 週何回くらい、どこで、どんな場面で転ぶか。 転倒メモ、学校からの連絡。
階段 手すりが必要、途中で止まる、上りが特につらい。 階段を上る短い動画。
床から立つ 太ももに手をつく、時間がかかる、床遊びを避ける。 床から立つ動画。
学校生活 体育、移動、校庭、行事で困ること。 担任・養護教諭からのメモ。
疲労 午前はよいが午後に崩れる、休日は回復に時間がかかる。 1週間の疲労メモ。
痛み・体調 転倒後の痛み、発熱後の悪化、便秘、睡眠不足。 体調メモ、発熱・転倒の日付。

受診で聞きたいこと

  • 今の走りにくさ・転倒は、年齢とDMDの経過としてどう見るか。
  • 運動量は多すぎないか。減らした方がよい活動はあるか。
  • 足首、膝、股関節の硬さは出ていないか。
  • 家庭でのストレッチや活動量は、今の状態に合っているか。
  • ステロイド治療の開始・継続・見直しについて相談すべき時期か。
  • 学校の体育や移動について、主治医から説明文が必要か。
  • 呼吸・心臓の基準となる検査は済んでいるか。
  • 転倒後の痛みがある時、どのタイミングで整形外科に相談すべきか。

受診での一言例

「5〜6歳になってから、走る、階段、床から立つ動作で差が目立つようになりました。転倒は今月○回あり、特に午後や急ぐ時に増えます。学校でも体育と移動で疲れが出ています。動画とメモを持ってきたので、運動量、学校で避けた方がよい活動、リハビリ、呼吸・心臓の検査について相談したいです。」

歩ける時期でも呼吸・心臓を見ておく理由

5〜6歳では、家族の関心はどうしても歩行、走り方、転倒に向きやすくなります。 ただ、DMDの管理では、歩ける時期から呼吸と心臓の基準値を作ることも大切です。 まだ症状がない時期の検査結果があると、後で変化を比べやすくなります。

見ておきたいこと なぜ早めに見るか 家族が確認したいこと
呼吸 睡眠中の呼吸、咳の力、肺活量は後から比較するための基準になります。 肺活量、咳の力、朝の頭痛、眠気、風邪後の戻り。
心臓 症状が出る前から心電図・心エコーなどで追うことがあります。 心電図、心エコー、心臓MRIの予定、心臓の主治医。
骨・関節 転倒やステロイド治療との関係で、骨や拘縮の確認が必要になります。 足首の硬さ、痛み、骨折歴、ビタミンD、整形外科。
学校生活 疲労と転倒を減らすには、学校側の理解が必要です。 体育、校内移動、階段、行事、休憩場所。

歩ける時期の呼吸・心臓検査は、「今すぐ悪いから受ける」だけではありません。 後から比べるための基準づくりとして考えると分かりやすくなります。

急ぎで相談したい場面

走れない・転びやすい変化が少しずつ出ている場合と、急に状態が変わった場合は分けて考えます。 次のような場合は、通常の進行だけで説明せず、早めに主治医や医療機関へ相談してください。

  • 発熱や感染のあと、急に立てない・歩けない。
  • 転倒後に強い痛みがある。
  • 足、膝、股関節、腰、背中に腫れや痛みがある。
  • 片脚だけを強くかばう。
  • 急に転倒が増えた。
  • 朝の頭痛、強い眠気、いびき、呼吸の浅さが目立つ。
  • 咳が弱い、痰が出せない、風邪が長引く。
  • 息切れ、動悸、むくみ、顔色不良がある。
  • 食欲が急に落ちた、便秘が続いて動きが悪い。
  • 本人が強く「痛い」「歩きたくない」と訴える。

DMDの変化として見えることもありますが、感染、脱水、骨折、捻挫、睡眠や呼吸の問題が重なっていることもあります。

急な変化は、記録を続けて様子を見るだけでなく、早めの相談が必要です。

そのまま使えるメモ

家庭、学校、受診前に使えるように、短く書ける形にしています。 すべて埋める必要はありません。今困っているところから使ってください。

5〜6歳の走りにくさ・転倒メモ

【DMD 走りにくさ・転倒メモ】

記録日:
   年   月   日

1. いま気になること
走れない・転びやすい・階段がつらい・床から立ちにくい・疲れやすい・体育を嫌がる・その他
(                         )

2. 走る様子
走れる・早歩きに近い・途中で止まる・嫌がる・友達よりかなり遅れる

3. 転倒
この1か月の転倒回数:
   回
転びやすい場面:
急ぐ時・午後・階段・段差・校庭・廊下・外出先・その他
(                         )

4. 階段
手すりなしで可能・手すりが必要・一段ずつ上る・途中で止まる・避けている

5. 床から立つ
スムーズ・少し時間がかかる・太ももに手をつく・かなり難しい・嫌がる

6. 疲労
その日で回復・翌日まで残る・2日以上残る・午後に崩れやすい

7. 学校で困っていること
体育・校内移動・階段・外遊び・遠足/行事・転倒・友人との速度差・その他
(                         )

8. 受診で聞きたいこと
運動量・リハビリ・学校配慮・ステロイド・呼吸・心臓・骨/整形・その他
(                         )

月1回の動画チェック

【月1回 動画チェック】

撮影日:
   年   月   日

撮影条件:
場所:
靴:
時間帯:朝・午前・午後・夕方
前日の負担:なし・体育・外出・発熱後・睡眠不足・その他
(                         )

撮った動作:
□ 平地歩行
□ 走ろうとする動作
□ 床から立つ
□ 階段
□ 方向転換

先月と比べて気になること:
1.
2.
3.

本人の様子:
普通・疲れていた・嫌がった・痛がった・眠そうだった・その他
(                         )

学校へ共有する短い文章例

【学校への共有文例】

DMDのため、走る、階段、長距離移動、急いで動く場面で、疲労や転倒が出やすくなっています。

体育や外遊びをすべて禁止したいわけではありませんが、本人が疲れ切る活動や転倒しやすい内容は調整したいです。

特に次の点を共有いただけると受診時に助かります。
・体育後の疲れ
・校内移動で遅れる場面
・階段で困る場面
・転倒やつまずき
・遠足や行事後の疲労
・本人が嫌がる活動

転倒後に痛みが続く、強く疲れている、顔色が悪い、発熱や嘔吐がある場合は、保護者へ早めに連絡をお願いします。

受診前チェック表

確認すること メモ
走る・歩く動画を撮った
床から立つ動画を撮った
転倒回数と場面を書いた
階段で困る場面を書いた
体育や外遊び後の疲れを書いた
学校からの気づきを聞いた
痛み・発熱・睡眠・便秘の有無を書いた
運動量や学校配慮について聞きたいことをまとめた
呼吸・心臓の検査予定を確認する

よくある質問

5〜6歳で走れないのは、もうかなり進んでいるということですか?

年齢だけでは判断できません。 5〜6歳は走る、階段、床から立つ動作で差が見えやすくなる時期ですが、状態には個人差があります。 走り方、転倒、階段、床から立つ動作、疲労を記録し、主治医やリハビリ担当に見てもらう方が判断しやすくなります。

転ぶたびに、もっと運動させた方がよいのでしょうか?

必ずしもそうではありません。 DMDでは、強い負荷や疲労が残る運動は合わないことがあります。 転倒が増えている時は、運動量を増やす前に、どの場面で転ぶのか、疲労が残っていないか、靴や段差、学校で急がされる場面がないかを見ます。

体育は休ませた方がよいですか?

一律に休むのではなく、内容を分けて考えることが多いです。 走る競争、反復ジャンプ、長距離走、急な方向転換は負担が大きくなりやすい一方、座位での役割、軽い活動、記録係、無理のない参加方法を選べる場合があります。

まだ呼吸や心臓は早い気がします。

症状がない時期でも、基準となる検査結果を作っておく意味があります。 DMDでは、歩行の変化が目立つ時期から、呼吸・心臓も定期的に見ていく準備を始めると、後の変化を比べやすくなります。

本人が「できる」と言うなら、やらせてもよいですか?

本人がやりたい気持ちは大切です。 ただし、その場でできても、帰宅後や翌日に強く疲れる場合は負担が大きすぎることがあります。 「できたか」だけでなく、「疲れがどのくらい残ったか」「転倒が増えたか」を見てください。

走れないことを本人にどう説明すればよいですか?

「頑張ればできる」ではなく、「疲れやすい動きがあるから、上手に休みながら参加しよう」と伝える方がよいです。 本人を責めず、できる活動を残しながら、疲れすぎる場面を減らす説明が大切です。

転倒した後、どのくらいで受診すべきですか?

強い痛み、腫れ、片脚をかばう、歩きたがらない、痛みが続く場合は早めに相談してください。 DMDでは骨の問題も考える必要があり、「いつもの転倒」と決めつけない方が安全です。

家庭で毎日記録した方がよいですか?

毎日細かく記録すると、家族も本人も負担が大きくなります。 月1回の動画と、週1回の短いメモで十分役立つことが多いです。 急な変化や痛みがある時だけ、追加で残してください。

参考文献・参考情報

  1. Birnkrant DJ, et al. Diagnosis and management of Duchenne muscular dystrophy, part 1: diagnosis, neuromuscular, rehabilitation, endocrine, gastrointestinal and nutritional management. Lancet Neurology. 2018. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29395989/
  2. Birnkrant DJ, et al. Diagnosis and management of Duchenne muscular dystrophy, part 2: respiratory, cardiac, bone health, and orthopaedic management. Lancet Neurology. 2018. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29395990/
  3. Mercuri E, et al. Detecting early signs in Duchenne muscular dystrophy. Muscle & Nerve. 2023. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10667703/
  4. Muscular Dystrophy Association: Signs and Symptoms of Duchenne Muscular Dystrophy. https://www.mda.org/disease/duchenne-muscular-dystrophy/signs-and-symptoms
  5. Parent Project Muscular Dystrophy: Care Guidelines. https://www.parentprojectmd.org/care/care-guidelines/
  6. Parent Project Muscular Dystrophy: Physical Therapy and Stretching. https://www.parentprojectmd.org/care/care-guidelines/by-area/physical-therapy-and-stretching/
  7. Hammer S, et al. Exercise Training in Duchenne Muscular Dystrophy: A Systematic Review and Meta-Analysis. Journal of Rehabilitation Medicine. 2022. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8862644/
  8. NCNP 神経筋疾患ポータルサイト:DMD デュシェンヌ型筋ジストロフィー. https://nmdportal.ncnp.go.jp/information/dmd/index.html
  9. GeneReviews: Dystrophinopathies. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK1119/
  10. 小児慢性特定疾病情報センター:デュシェンヌ型筋ジストロフィー. https://www.shouman.jp/disease/details/11_21_047/

参考情報は、DMDの早期サイン、走りにくさ、転倒、Gowers徴候、運動負荷、リハビリ、呼吸・心臓を含む長期管理の考え方を確認するために掲載しています。個別の運動量、学校対応、治療方針は、主治医やリハビリ担当者の評価をもとに調整してください。

まとめ

5〜6歳で走れない・転びやすいことは、DMDで家族が変化を強く感じやすい場面です。 ここで大切なのは、本人を追い込むことではなく、疲労をためすぎず、転倒を減らし、今の状態を比べられる形で残すことです。

走る、階段、床から立つ、転倒、午後の疲れは、運動・リハビリ、学校配慮、ステロイド治療、呼吸・心臓の確認へつながる大事な情報です。 まだ歩ける時期でも、受診と学校の両方で少しずつ共有しておくと、その後の判断がしやすくなります。

その場でできたかどうかだけでなく、帰宅後や翌日に疲れが残らないか、痛みや転倒が増えていないかを見てください。 無理に追いつかせるより、本人が安全に参加できる形を作ることが、5〜6歳の時期には特に大切です。

  • 本ページは一般向けの情報であり、個別の診断・治療方針・運動量を決めるものではありません。
  • DMDの進み方には個人差があり、同じ年齢でも状態は一律ではありません。
  • 運動量、体育、学校対応、リハビリ、装具、ステロイド治療の判断は、主治医やリハビリ担当者と相談してください。
  • 発熱後の急な悪化、転倒後の強い痛み、骨折が疑われる症状、急な立てなさ、朝の頭痛や強い眠気、息切れ、むくみがある場合は、通常の記録継続だけでなく医療機関へ相談してください。
  • 学校へ共有する内容は、本人と家族の希望を確認し、担任、養護教諭、体育担当、支援者など必要な相手に必要な範囲で伝えてください。