【DMD】毎月落ちているように見えるとき|何を記録すると判断しやすいか

DMD情報 記録と評価 学童期・歩行期

毎月落ちているように見えるとき|何を記録すると判断しやすいか

DMD(デュシェンヌ型筋ジストロフィー)では、5〜8歳前後の時期に「先月より歩きにくい」「また転ぶようになった」「去年より疲れやすい」と感じることがあります。 家族の不安が強い時期ほど、「本当に速く進んでいるのか」「疲れや学校行事の影響なのか」「受診で何をどう伝えればよいのか」が分かりにくくなります。

ただ、毎日のように細かく測る必要はありません。 大切なのは、同じ条件で比べられる短い動画と、生活で困ったことを短く残すことです。 「なんとなく悪い」ではなく、「階段」「床から立つ」「転倒」「午後の疲れ」「学校での移動」のように分けると、主治医やリハビリ担当者にも伝わりやすくなります。

このページでは、「毎月落ちているように見える」ときに、何を、どの頻度で、どの形で記録すると判断しやすいかを、家庭で続けやすい形でまとめます。

本ページは一般向けの情報です。DMDの進み方には個人差があり、短期の変化がすべて病気の進行を意味するわけではありません。発熱後の悪化、強い痛み、転倒後の歩きにくさ、朝の頭痛や眠気、急な立てなさがある場合は、通常のゆっくりした変化とは分けて医療機関へ相談してください。

まず押さえたいこと

  • 「毎月落ちているように見える」ときは、感覚だけで不安を広げるより、歩行、立ち上がり、階段、転倒、疲労、学校での負担を分けて記録すると整理しやすくなります。
  • 短期の変化には、成長、体重増加、学校行事、睡眠不足、発熱後、便秘、靴や装具、疲労の蓄積が重なって見えていることがあります。
  • 家庭の記録は、病院と同じ検査を再現する必要はありません。月1回の定点動画と、週1回の短いメモで十分役立ちます。
  • 重要なのは、「悪くなったか」だけではなく、「何が」「どの場面で」「どのくらい変わったか」を残すことです。
  • 前回と変化がない記録も大切です。維持できている期間が分かると、数か月後に振り返りやすくなります。
  • 急な痛み、発熱後の立てなさ、転倒後の歩行拒否、朝の頭痛や眠気、痰が出せないなどは、ゆっくりした進行とは分けて相談します。

このページで整理すること

このページは、DMD全体の進行を説明するページではなく、「最近毎月落ちているように見える」と家族が感じたときの記録方法に絞ったページです。 年齢ごとの全体像、運動・リハ、呼吸、心臓、学校生活、車椅子移行は別ページでも詳しく扱っています。

このページで見ること 主な内容 別ページで詳しく見ること
短期変化の整理 歩行、立ち上がり、階段、転倒、疲労、学校での負担 年齢ごとの進行、評価と記録テンプレ
家庭での記録 月1回の動画、週1回の短いメモ、学校からの気づき 医療機関でのNSAA、タイムテスト、6分間歩行など
悪く見える原因の整理 疲労、感染後、便秘、体重、睡眠、靴、学校行事、痛み 呼吸、心臓、運動・リハ、学校生活
受診での伝え方 「いつ」「何が」「どの場面で」「どれくらい変わったか」 診断後の優先順位、主治医への相談メモ
急ぎの確認 急な立てなさ、痛み、骨折疑い、呼吸・睡眠、感染後の悪化 呼吸ページ、心臓ページ、救急時の相談

このページの目的は、家族の不安を大きくすることではありません。 受診で「何がどう変わったか」を短く伝えられるようにすることです。

なぜ「毎月落ちている」と感じやすいのか

DMDでは、機能の変化はゆっくり進むことが多い一方で、家族にはある時期から急に目立つように感じられることがあります。 とくに学童期は、体重が増える、学校の移動が増える、体育や行事が入る、友達との速度差が広がるなどの要素が重なります。

そのため、「病気が急に進んだのでは」と感じても、実際には疲労、感染後、睡眠不足、便秘、靴の違い、学校行事、日課の変化が重なって見えていることがあります。 もちろん、本当に機能低下が進んでいる場合もあります。 どちらに近いかを見やすくするには、同じ条件で比べられる記録が必要です。

家族には急に見える

毎日見ていると、小さな変化が積み重なり、ある日急に大きな変化として感じられます。

学校生活で差が見えやすい

友達と同じ速度で歩く、急ぐ、階段を使う、体育をする場面で差が出やすくなります。

疲労で日によって変わる

午前と午後、平日と休日、体育や遠足の前後で動き方が変わります。

体調で一時的に落ちる

発熱、便秘、睡眠不足、食欲低下、痛みがあると、数日から数週間悪く見えることがあります。

「本当に悪くなったのか」を1日で判断しようとせず、1か月単位で同じ条件の記録を比べると落ち着いて見やすくなります。

まず分けて見たい6つの変化

「落ちている感じ」をそのまま記録しても、後で比べにくくなります。 まずは、動き、疲れ、安全、学校生活、全身状態を分けて見てください。

分けて見ること 具体的に見る動作・場面 メモの例
移動の変化 平地歩行、走る、方向転換、外出時の歩ける距離 「学校から帰ると歩き方が揺れやすい」
立ち上がりの変化 床から立つ、椅子から立つ、膝や太ももに手をつく動作 「床から立つ時に、太ももに手を強くつくようになった」
階段の変化 上り、下り、手すり、足の出し方、途中休憩 「階段上りで手すりを使う回数が増えた」
疲れ方の変化 午後、体育後、遠足後、休日の回復、翌日の反動 「遠足の翌日も疲れが残った」
安全性の変化 転倒、つまずき、急いだ時の危なさ、人混み、段差 「平らな廊下でもつまずいた」
全身状態の変化 睡眠、朝の頭痛、便秘、食欲、体重、発熱後の戻り 「便秘が続いた週は立ち上がりが悪かった」

「全体的に悪い」ではなく、「階段」「床から立つ」「午後の疲れ」「転倒」のように分けると、受診で相談しやすくなります。

月1回の動画で残したいこと

家庭での記録は、病院の評価表をそのまま真似る必要はありません。 毎月同じ条件で短い動画を残すだけでも、数か月後に振り返ると変化が分かりやすくなります。

動画で残したい動作

撮る動作 見るポイント 撮影時間の目安
平地を歩く 歩幅、左右差、体幹の揺れ、足先の引っかかり、腕の振り 10〜20秒
走ろうとする 走れるか、早歩きになるか、片脚支持が不安定か 10秒程度
床から立つ 手をつく位置、膝・太ももを使うか、時間がかかるか 1回
椅子から立つ 手すりや机に頼るか、反動を使うか、立った後にふらつくか 1〜2回
階段を上る・下りる 手すり、足の出し方、左右差、途中で止まるか 数段で十分
方向転換 急に向きを変えた時のふらつき、足のもつれ 10秒程度

スマホで撮る時のコツ

  • 月1回、同じ場所、同じ靴、同じ時間帯で撮る。
  • できれば午前と午後を分けるのではなく、毎月同じ時間帯にそろえる。
  • 足元だけでなく、頭から足先まで全身を入れる。
  • 大人の目線から見下ろさず、腰〜胸の高さで水平に撮る。
  • 動画の名前に「2026年5月_歩行」「2026年5月_床から立つ」のように月と動作名を入れる。
  • 専用アルバムを作り、受診時にすぐ出せるようにする。
  • 失敗した動画も消さず、「この日は疲れていた」など一言メモを添える。

動画は、本人を責めたり、毎回点数をつけたりするためのものではありません。

本人が嫌がる場合は、撮影する動作を減らす、月1回だけにする、本人にも目的を説明するなど、負担を下げてください。

週1回の短いメモで残したいこと

動画は月1回で十分ですが、疲れ方や学校での困りごとは動画だけでは分かりません。 週1回だけ、短くメモを残しておくと、受診時に「いつから変わったか」を説明しやすくなります。

記録したいこと 具体例 書き方の例
転倒・ヒヤリ 週に何回、どこで、急いだ時か疲れた時か 「木曜、校内の廊下でつまずいた。転倒なし」
疲労 午後に崩れる、遠足後は翌日もつらい、休日でも回復しにくい 「体育の翌日、朝から階段を嫌がった」
学校での困りごと 体育、校庭移動、階段、行事、教室移動、トイレ 「音楽室への移動で友達より遅れた」
呼吸・睡眠 朝の頭痛、眠気、いびき、風邪後の咳や痰 「朝の頭痛あり。昼まで眠そう」
体重・食事・便通 急な体重増加、食欲低下、便秘の持続 「便秘3日。歩き方も重そう」
痛み 膝、足首、股関節、腰、転倒後の痛み 「右足首を痛がり、歩きたがらない」
生活の変化 新学期、教室変更、通学距離、靴変更、装具変更 「新しい靴にしてからつまずきが増えたかも」

メモは長く書かなくて大丈夫です。 「いつ、どこで、何が起きたか」が分かる短い言葉だけで十分役立ちます。

同じ条件で比べるコツ

家庭で記録する時に一番大切なのは、細かさではなく、条件をそろえることです。 靴、床、時間帯、疲れ方が違うと、同じ子でも動き方が変わります。 できる範囲で条件をそろえると、数か月後に見返した時に判断しやすくなります。

場所をそろえる

廊下、リビング、玄関前など、毎月同じ場所で撮ります。床の滑りや段差が変わると比べにくくなります。

靴をそろえる

裸足、室内履き、外靴で歩き方が変わります。できるだけ同じ靴で記録します。

時間帯をそろえる

午前と午後では疲労が違います。毎月同じ時間帯に撮ると比べやすくなります。

前日の負担をメモする

遠足、体育、発熱、睡眠不足があると動きが悪く見えます。一言だけ添えてください。

記録がぶれやすい条件

ぶれやすい条件 なぜ影響するか メモの例
発熱後・風邪後 体力低下、咳、睡眠不足で一時的に落ちることがあります。 「風邪明け3日目」
体育・行事の翌日 疲労が残り、立ち上がりや階段が悪く見えることがあります。 「前日遠足」
靴・装具変更 足の上がり方、つまずきやすさ、歩幅が変わります。 「新しい靴」
便秘・食欲低下 お腹の張りや体調不良で動きが重く見えることがあります。 「便秘4日」
体重増加 立ち上がり、階段、歩行距離に影響することがあります。 「体重が2か月で増えた」
睡眠不足 眠気、集中力低下、足のもつれとして見えることがあります。 「夜中に何度か起きた」

学校から拾いたい情報

家では見えない変化が、学校で先に見えることがあります。 とくに、教室移動、体育、校庭、階段、友達と一緒に急ぐ場面、給食、トイレ、校外学習では負担が出やすくなります。

学校で見てもらいたいこと 理由 先生への聞き方
教室移動で遅れるか 学校内の距離や階段で疲れやすさが出ます。 「移動で遅れる場面が増えていませんか」
体育後の疲れ その場では参加できても、後で崩れることがあります。 「体育後に疲れが強く出ていませんか」
転倒・つまずき 家では転ばなくても、急ぐ場面で起きることがあります。 「転びそうになった場面があれば教えてください」
階段・トイレ 本人が我慢して言わないことがあります。 「階段やトイレ移動で困っていませんか」
校外学習・行事後 待ち時間、移動距離、暑さで強く疲れることがあります。 「行事後の疲れが強い場合は共有してください」
本人の表情・参加 疲労や不安が、参加を控える形で出ることがあります。 「最近、参加を避ける様子はありますか」

学校へ送る短い文章例

「最近、歩行や疲労の変化を月ごとに確認しています。教室移動、体育後、階段、校外学習、転倒しそうな場面で変化があれば、短く教えていただけると受診時に助かります。」

病院の検査と家庭の記録をつなげる

医療機関では、NSAA、10メートル歩行/走行、床から立ち上がる時間、6分間歩行、関節可動域、上肢機能などを使って評価することがあります。 家庭で同じ検査を正確に再現する必要はありません。 家庭では、病院の検査だけでは見えにくい「生活の中で何が困っているか」を補う役割があります。

病院で見ること 家庭で補えること つなげ方
NSAA 実生活での立つ・歩く・階段・走る場面 「検査ではできたが、学校では午後に崩れる」などを伝える。
10メートル歩行/走行 廊下、校内移動、通学、外出の速度 毎月の歩行動画と、学校で遅れる場面を合わせる。
床から立ち上がる時間 家で床遊び後に立てるか、手をどこにつくか 動画で手の使い方や反動の変化を見せる。
6分間歩行 遠足、買い物、病院内移動後の疲れ 歩ける距離だけでなく、翌日の疲労を伝える。
関節可動域 階段、しゃがみ、靴の脱ぎ履き、座位姿勢 硬さが生活でどう困っているかを説明する。
呼吸・心臓検査 朝の頭痛、眠気、風邪の長引き、動悸、むくみ 運動機能の落ち方だけでなく、全身状態も一緒に伝える。

家庭の記録は、病院の検査の代わりではありません。 病院の数値に、生活での困りごとを重ねるための材料です。

進行以外で悪く見えること

毎月悪くなっているように見える時でも、すべてが病気の進行とは限りません。 もちろんDMDそのものの変化はありますが、短い期間で急に落ちたように見える時は、他の要因も確認します。

悪く見える原因 起きやすい見え方 確認したいこと
感染後・発熱後 急に立ち上がれない、歩きたがらない、疲れが強い 発熱日、回復までの日数、食欲、咳や痰。
疲労の蓄積 午後に崩れる、遠足後に数日戻らない 体育、行事、通学、睡眠時間。
骨折・捻挫・痛み 転倒後から歩かない、片脚をかばう、触ると痛がる 転倒歴、腫れ、熱感、痛む場所。
便秘・腹部不調 動きが重い、食欲が落ちる、立ち上がりを嫌がる 便の回数、お腹の張り、食欲。
体重増加 階段、立ち上がり、歩行距離が急に厳しく見える 体重の変化、食事、ステロイドの影響。
睡眠・呼吸 朝の頭痛、眠気、集中力低下、歩き方のふらつき いびき、夜間覚醒、SpO2、二酸化炭素、咳の力。
心臓・全身状態 だるい、息切れ、むくみ、動悸、顔色不良 心エコー、心電図、内服、むくみ、体重急増。
靴・装具・環境 つまずき、歩幅の変化、階段の不安定さ 靴変更、装具、床、通学路、教室変更。

急に歩けない、強い痛みがある、転倒後から様子が違う場合は、「DMDの進行」と決めつけないでください。

骨折、捻挫、感染後の体力低下、呼吸・睡眠の問題が隠れていることがあります。

受診でどう伝えるか

受診の際、「なんだか悪くなっている気がします」だけだと、背景がつかみにくくなります。 次の形で整理しておくと、主治医やリハビリ担当者に伝えやすくなります。

伝えたいこと 伝え方の例
何が変わったか 「階段を上るのが先月より遅いです」「床から立つ時に太ももに手を強くつくようになりました」
いつ目立つか 「午前はまだよいですが、午後や体育の後に崩れます」
安全面 「平坦な場所での転倒が、週1回から週3回に増えました」
全身状態 「便秘が続いた週と、風邪の後に特に悪く見えました」
学校生活 「教室移動で友達から遅れるようになり、体育後に強く疲れます」
動画 「3か月分の歩行と床から立つ動画があります。比較して見てほしいです」

受診前に聞いておきたいこと

  • 今の変化は、年齢的に見られやすい範囲か。
  • 歩行、床から立つ、階段のどれが一番変わっているか。
  • ステロイド、体重、疲労、学校負荷の見直しが必要か。
  • 骨折や痛み、関節拘縮、装具・靴の影響はないか。
  • 呼吸・睡眠や心臓の検査を早める必要はないか。
  • 学校での移動、体育、校外学習の調整が必要か。
  • 車椅子併用を考え始める時期か。

受診での一言例

「ここ2〜3か月で、床から立つ動作と階段が気になります。午前より午後に崩れやすく、体育や行事の翌日に疲れが残ります。月1回の動画と、転倒・疲労のメモを持ってきました。進行なのか、疲労や学校負荷、呼吸や体調の影響もあるのかを相談したいです。」

急ぎで相談したい場面

「毎月少しずつ変わる」という緩やかな変化ではなく、次のような急な変化がある場合は、通常の進行とは分けて考え、早めに医療機関へ相談してください。

  • 発熱や感染症のあと、急に立ち上がりにくくなった。
  • 転倒したあとから痛がって歩かない。
  • 脚、足首、膝、股関節に強い痛みや腫れがある。
  • 片脚だけを強くかばう。
  • 急に歩行距離が大きく落ちた。
  • 朝の頭痛、強い眠気、いびき、呼吸の浅さが目立つ。
  • 咳が弱い、痰が切れにくい、風邪が長引いて戻りが悪い。
  • 息切れ、動悸、むくみ、顔色不良がある。
  • 食事量が急に減った、急激に体重が増減した、頑固な便秘が続いている。
  • 本人が強く「歩きたくない」「痛い」と訴える。

家族には「急に進んだ」ように見えても、感染後の体力低下、疲労の蓄積、軽い骨折、痛み、呼吸や睡眠の問題が重なっていることがあります。

急な変化は、記録を続けて様子を見るだけではなく、医療機関へ相談する目安になります。

そのまま使える記録テンプレ

スマートフォンのメモ、紙、学校共有、受診前メモに使える形です。 すべて埋める必要はありません。続けやすいところだけ使ってください。

月1回の動画チェックメモ

【DMD 月1回 動画記録メモ】

記録日:
   年   月   日

撮影条件:
場所:
靴:
時間帯:朝・午前・午後・夕方
前日の負担:なし・体育・行事・外出・発熱後・睡眠不足・その他
(                         )

撮影したもの:
□ 平地歩行
□ 走ろうとする動作
□ 床から立つ
□ 椅子から立つ
□ 階段の上り下り
□ 方向転換
□ その他
(                         )

先月と比べて気になること:
1.
2.
3.

本人の様子:
嫌がった・普通・疲れていた・痛がった・機嫌が悪かった・眠そうだった

メモ:
(                         )

週1回の短いメモ

【DMD 週1回メモ】

記録した週:
   年   月   日〜   月   日

歩行:
いつも通り・少し遅い・かなり遅い・歩きたがらない

床から立つ:
いつも通り・少し時間がかかる・手を強くつく・かなり難しい

階段:
いつも通り・手すりが必要・途中で止まる・避けている

転倒・ヒヤリ:
なし・あり
場所:
(                         )

疲労:
その日で回復・翌日まで残る・2日以上残る・かなり強い

学校で困ったこと:
なし・あり
内容:
(                         )

呼吸・睡眠:
朝の頭痛・眠気・いびき・風邪後の咳/痰・特になし

体重・食事・便通:
食欲低下・便秘・体重増加・体重減少・特になし

痛み:
なし・あり
場所:
(                         )

今週の一言:
(                         )

受診前にまとめる3行メモ

【受診前 3行メモ】

1. この1〜3か月で一番変わったこと
(                         )

2. 変化が目立つ場面
朝・午後・体育後・行事後・階段・床から立つ時・学校移動・外出後・その他
(                         )

3. 医師に相談したいこと
進行か・疲労か・体重/便秘か・痛み/骨折か・呼吸/睡眠か・心臓か・学校配慮か・車椅子併用か
(                         )

学校へ共有する短い文章例

【学校への共有文例】

最近、DMDによる歩行・疲労・転倒の変化を月ごとに確認しています。

学校で以下の変化があれば、短く教えていただけると受診時に助かります。
・教室移動で遅れる
・階段や長い廊下で疲れる
・体育後に強く疲れる
・転倒しそうになる
・校外学習や行事後にぐったりする
・保健室で休む回数が増える
・本人が移動や体育を嫌がる

病気の進行だけでなく、疲労や学校での負担を分けて考えたいので、気づいた範囲で構いません。

記録を続けるためのチェック表

確認すること メモ
毎月撮る動画の場所を決めた
同じ靴・同じ時間帯で撮ることにした
スマホに専用アルバムを作った
週1回だけ短いメモを残す形にした
学校から気づきをもらう項目を決めた
急ぎで相談するサインを家族で確認した
受診前に3行でまとめる欄を用意した

よくある質問

本当に毎月進んでいるのか、家族の気にしすぎなのか分かりません。

どちらか一方とは限りません。 機能に変化が見え始める時期は、家族の不安も強くなります。 感覚だけで判断せず、同じ条件で撮った動画と短いメモを続けると、主観的な印象と実際の変化を分けて見やすくなります。

家庭でも病院と同じように秒数を測った方がよいですか?

毎回厳密に測る必要はありません。 家庭での測定は、床の状態、靴、その日の疲労、本人の気分でばらつきが出やすく、数秒の違いに不安が強くなることがあります。 家庭では、同じ条件で撮影した動画と、生活で困ったことのメモを残す方が続けやすいです。

動画を撮ると、本人が嫌がります。

無理に撮り続ける必要はありません。 撮る動作を1〜2個に減らす、月1回だけにする、本人に「病院で説明するため」と伝える、本人が見たくない時は見せないなど、負担を下げてください。 記録は本人を評価するためではなく、必要な支援につなげるためのものです。

記録していても、前回と変化がなければ意味はありませんか?

意味があります。 「先月と変化がない」「今の状態を維持できている」ことも大切な情報です。 継続した記録があると、後から「いつ頃から変わり始めたか」をたどりやすくなります。

毎日記録した方が安心ですか?

毎日細かく記録すると、家族の負担が大きくなり、不安が強くなることがあります。 月1回の動画と、週1回の短いメモで十分役立つことが多いです。 急な変化がある時だけ、追加でメモしてください。

歩き方が悪い日は、すぐ進行と考えるべきですか?

1日だけでは判断しにくいです。 発熱後、睡眠不足、便秘、体育後、靴の変更、痛みなどで一時的に悪く見えることがあります。 ただし、強い痛み、転倒後の歩行拒否、急な立てなさ、呼吸や眠気の変化がある場合は早めに相談してください。

学校にはどこまで伝えればよいですか?

病気の詳しい説明をすべて伝える必要はありません。 教室移動、階段、体育、校外学習、転倒、疲労、休憩、保護者への連絡など、学校で実際に関係する場面に絞って伝えると話が進みやすくなります。

記録を始めると、現実を見るのがつらくなりそうです。

その感覚は自然です。 記録は、現実を突きつけるためではなく、本人に必要な支援を早めに整えるための道具です。 家族の負担が大きい場合は、動画を月1回だけにする、メモを3行にするなど、最小限で続けてください。

参考文献・参考情報

  1. Birnkrant DJ, et al. Diagnosis and management of Duchenne muscular dystrophy, part 1: diagnosis, neuromuscular, rehabilitation, endocrine, gastrointestinal and nutritional management. Lancet Neurology. 2018. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29395989/
  2. Birnkrant DJ, et al. Diagnosis and management of Duchenne muscular dystrophy, part 2: respiratory, cardiac, bone health, and orthopaedic management. Lancet Neurology. 2018. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29395990/
  3. Birnkrant DJ, et al. Diagnosis and management of Duchenne muscular dystrophy, part 3: primary care, emergency management, psychosocial care, and transitions of care across the lifespan. Lancet Neurology. 2018. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29398641/
  4. Pod-NMD: North Star Ambulatory Assessment. https://www.pod-nmd.org/assessment/nsaa/
  5. Mazzone E, et al. North Star Ambulatory Assessment, 6-minute walk test and timed items in ambulant boys with Duchenne muscular dystrophy. Neuromuscular Disorders. 2010. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20634072/
  6. McDonald CM, et al. The 6-minute walk test and other clinical endpoints in Duchenne muscular dystrophy. Muscle & Nerve. 2013. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23674289/
  7. Pane M, et al. The 6 Minute Walk Test and Performance of Upper Limb in Ambulant Duchenne Muscular Dystrophy Boys. PLOS Currents. 2014. https://currents.plos.org/md/article/the-6-minute-walk-test-and-performance-of-upper-limb-in-ambulant-duchenne-muscular-dystrophy-boys/
  8. Stimpson G, et al. Understanding North Star Ambulatory Assessment total scores and their implications for standards of care using observational data. European Journal of Paediatric Neurology. 2024. https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1090379824001478
  9. Parent Project Muscular Dystrophy: Care Guidelines. https://www.parentprojectmd.org/care/care-guidelines/
  10. NCNP 神経筋疾患ポータルサイト:DMD デュシェンヌ型筋ジストロフィー. https://nmdportal.ncnp.go.jp/information/dmd/index.html
  11. GeneReviews: Dystrophinopathies. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK1119/
  12. 小児慢性特定疾病情報センター:デュシェンヌ型筋ジストロフィー. https://www.shouman.jp/disease/details/11_21_047/

参考情報は、DMDの歩行期評価、NSAA、タイムテスト、6分間歩行、上肢機能、呼吸・心臓を含む長期管理の考え方を確認するために掲載しています。家庭の記録は診断や治療方針を決めるものではなく、主治医やリハビリ担当者へ生活上の変化を伝えるための補助として使ってください。

まとめ

DMDで「毎月落ちているように見える」ときは、家族の不安が大きくなりやすい時期です。 ただ、短期の変化には、病気の進行だけでなく、疲労、学校行事、発熱後、便秘、体重、睡眠、靴や環境の変化が重なって見えることがあります。

家庭でできることは、毎日細かく測ることではありません。 月1回、同じ条件で歩行・床から立つ・階段などを短く動画に残し、週1回、転倒・疲労・学校での困りごとを数行だけメモします。

受診では、「なんとなく悪い」ではなく、「何が」「いつ」「どの場面で」「どのくらい変わったか」を伝えてください。 動画と短いメモがあると、主治医やリハビリ担当者が、進行、疲労、体調、呼吸・心臓、学校負荷、車椅子併用の必要性を整理しやすくなります。

  • 本ページは一般向けの情報であり、個別の進行判断や治療方針を決めるものではありません。
  • DMDの進み方には個人差があり、短期の変化だけで予後を判断することはできません。
  • 発熱後の急な悪化、転倒後の強い痛み、骨折が疑われる症状、急な立てなさ、朝の頭痛や強い眠気、息切れ、むくみがある場合は、通常の記録継続だけでなく医療機関へ相談してください。
  • ステロイド、心臓薬、呼吸管理、運動量、装具、車椅子などの開始・変更・中止は自己判断せず、主治医や専門職に相談してください。
  • 学校へ共有する内容は、本人と家族の希望を確認し、担任、養護教諭、体育担当、支援者など必要な相手に必要な範囲で伝えてください。