三好型ミオパチーの評価と記録|歩行・疲労・CKの見方と受診メモ

三好型ミオパチー・三好型筋ジストロフィー/評価と記録

歩き方と疲れ方の変化を、
生活の調整と受診に生かす

三好型ミオパチーでは、ふくらはぎの筋力低下に加え、階段、立ち上がり、転倒、外出後の疲労などが生活に影響します。記録では、「何ができたか」と「どんな支えや休憩が必要だったか」を一緒に残します。

このページでは、週ごとの記録、変化した日のメモ、CKなどの検査結果、診察や学校・職場への共有に使える記入例をまとめています。病気の全体像は三好型ミオパチーの総合ガイドで確認できます。

普段の動作を残す歩行・階段・立ち上がりと、必要な支え。
活動後も確認するその日の疲労・痛みと、翌日以降の状態。
検査と生活を合わせるCKの数字と、動作や生活の変化を一緒に読む。

資料確認:2026年10月24日

急な脱力、強い筋肉痛、赤褐色の尿などがある場合は、記録をそろえる前に医療機関へ連絡してください。強い息苦しさ、突然の胸痛、意識の異常など緊急性が高い場合は119です。詳しくは受診を早めたい変化にまとめています。

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週ごとの記録:普段の動作と必要な支えを残す

まずは週1回を目安に、普段の生活を短くまとめる形から始めます。転倒、強い疲労、新しい補助具の使用などがあった日は、追加でメモを残します。記録する頻度は、主治医や理学療法士からの指示と、続けやすさに合わせて調整してください。

以下は受診相談のための家庭用の記入例です。医学的な重症度を判定する尺度ではありません。本人の実感と、普段の行動に現れた変化を具体化するために使います。

毎回そろえると比較しやすい条件

  • いつ:朝・夕方、外出前・外出後などの時間帯。睡眠不足や感染など、普段と違う体調も添えます。
  • どこで:同じ通路、椅子、階段など。距離・段数・坂道・床の状態が違う場合は記録します。
  • 何を使ったか:靴、装具、杖、歩行器、手すり、車いす、介助の有無。
  • どのくらい活動したか:外出や作業の時間、休憩、荷物、活動後に戻るまでの時間。

安全に必要な補助具や介助を使い、その条件も含めて記録します。家族に代筆してもらう場合は、「本人の実感」と「家族が見たこと」を分けると伝えやすくなります。

コピーして使う週ごとの記録

記録日・体調
__年__月__日 時間帯:____ 睡眠・感染・痛みなど普段との違い:____
平地の歩行
いつもの移動で変わったこと:____ 距離や時間が分かれば:____ 休憩:__回
階段・坂道
上り:____ 下り:____ 手すり・介助:____ 避けるようになった場所:____
立ち上がり・移乗
椅子、ベッド、トイレなどで必要な手の支え・介助:____ 前回との違い:____
足の動き
地面を蹴り出しにくい、足先が引っかかる、左右差があるなど、普段の動作で気づいたこと:____
転倒・つまずき
転倒:__回 つまずき・ヒヤリ:____ 場所・状況・けが:____
疲労・回復
どの活動で疲れたか:____ 当日・翌日以降の生活への影響:____ 普段に戻った時期:____
痛み・筋肉痛
部位:____ いつから・どの動作で:____ 続いた時間や日数:____
補助具・介助
使っているもの:____ 新しく使い始めたものや変更日:____
今週の変化
楽になったこと:____ 困るようになったこと:____ 相談したいこと:____

分からない項目は「不明」や空欄で構いません。測定のために、普段より長く歩いたり、階段を何度も往復したりする必要はありません。

歩行・階段・転倒は、場面を分けて記録します

三好型ミオパチーは、DYSF遺伝子に関連するジスフェルリン関連疾患の一型です。ふくらはぎなど下腿後面の筋肉が障害されやすく、経過とともに体の中心に近い筋肉にも弱さが及ぶことがあります。[1]

「歩ける・歩けない」の二択だけでは、生活の負担が伝わらないことがあります。平地、上り、下り、立ち上がりを分け、手すりや介助も一緒に残すと、対策を相談しやすくなります。

上りと下りは、それぞれの困りごとを記録します。表は横にスクロールできます。
場面残したいこと相談する内容
平地蹴り出しにくさ、歩幅、足先の引っかかり、休憩、移動の目的と距離。靴・装具・歩行補助具、外出経路、休憩の取り方。
上り階段・上り坂手すり、足を交互に出せるか、一段ずつか、途中で休むか。段差や移動量の調整、エレベーター、必要な介助。
下り階段・下り坂足を置くときの不安、膝や足首の不安定さ、手すり、荷物、急ぐ必要があったか。安全な動線、手すりを使える環境、移動時間の余裕。
立ち上がり・移乗椅子や便座の高さ、腕で支えるか、介助、ベッドや車いすへの移り方。座面高、手すり、移乗方法、介助者の負担。
転倒・ヒヤリ日時、場所、靴、床、疲労、荷物、どの方向につまずいたか、けが。再発しやすい場面の対策、補助具や環境の再評価。
上肢・身の回りの動作物を持つ、腕を上げる、着替える、車いすを操作する動作の変化。道具、作業姿勢、介助、作業療法での評価。

つま先立ちは、家庭の必須テストにしません

かかとを持ち上げる動作は、ふくらはぎの働きを確認する手がかりになります。ただし、家庭で片足つま先立ちの限界回数を繰り返し測る必要はありません。

リハビリで評価方法を教わっている場合は、支え方・回数・中止条件を担当者と確認します。方法が決まっていない場合は、普段の歩行で蹴り出しにくい、支えが増えた、以前の動作を避けているなどを記録してください。「安全のため実施せず」という情報も、相談に役立ちます。

歩行や運動、装具の詳しい相談は、三好型ミオパチーの歩行・運動ページにまとめています。

疲労・痛みは、活動量と回復までの経過を残します

その場ではできた活動でも、帰宅後や翌日の生活に影響する場合があります。活動の内容、症状が出た時期、普段の状態に戻るまでの経過を残すと、運動や外出の配分を相談しやすくなります。

疲労や痛みの原因には、活動量、睡眠、感染、関節や靴の問題なども関わります。翌日に疲れが残ったことだけで、病気の進行や筋肉の損傷と決めることはできません。

確認すること具体的に残す内容
活動の量と内容外出・作業の時間、階段や坂、荷物、休憩、靴や補助具。運動をした場合は、教わった内容と実施量。
疲労の影響帰宅後に家事を休んだ、翌日の通勤が難しかった、途中から介助が必要だったなど。
痛む場所と経過ふくらはぎ・膝・足首・足裏・腰など。動作中か安静時か、腫れがあるか、どのくらい続いたか。
回復と対応休憩、移動手段の変更、予定の調整、受診など。その後に楽になったか、まだ戻っていないか。

繰り返す疲労や痛みは、主治医・理学療法士と運動内容や活動量を見直す材料になります。運動の計画は、現在の筋力、生活の目標、体調に合わせて個別に相談します。[5]

変化した日の短いメモ

日時・活動
__月__日 何を、どのくらい行ったか:____
条件
靴・補助具・荷物・休憩・睡眠・体調など:____
起きた変化
痛み、疲労、転倒・ヒヤリ、動作の変化:____
対応・その後
何をしたか:____ 当日・翌日以降にどうなったか:____

記入例
駅の階段でつまずきそうになった。手すりはあったが、荷物で片手がふさがっていた。帰宅後はふくらはぎが痛み、翌朝も立ち上がりに時間がかかった。荷物の運搬を家族に頼み、繰り返す痛みについて主治医に相談した。

靴・装具・杖・通勤経路・リハビリ内容などを変えた時期は、変更日と、その後の変化を少し詳しく残します。記録する期間は、相談する内容に合わせて担当者と決めてください。

CK・検査結果・画像は、日付と症状を一緒に保管します

CKは筋肉などに含まれる酵素で、筋肉の障害を調べる手がかりになります。三好型ミオパチーでは高値がみられますが、CKの数値は、筋力や歩く能力をそのまま表す数字ではありません。[1][2]

ジスフェルリン関連疾患の国際研究では、年齢や症状の続いた期間が長いほどCKが低くなる傾向も報告されています。CKが下がったときも、歩行、立ち上がり、疲労、筋力評価などを合わせて意味を確認します。[2]

検査の頻度は主治医と決め、検査を受けた日に結果を残します。
資料・結果残すもの確認すること
CK採血日、数値、単位、施設の基準範囲。採血前の普段と違う活動、筋痛、発熱、けが、服薬変更。前回との違いを、採血条件と症状・機能の変化に照らして解釈します。
AST・ALTなどCKと同じ日の検査報告書を、そのまま保管。筋疾患でも高くなることがあります。筋肉由来か肝臓などの問題かは、ほかの所見も合わせて医師が判断します。[2]
DYSF遺伝子検査正式な検査報告書、結果の説明、検査を担当した施設。診断根拠、家族への説明、研究情報の照合で使えるよう保管します。
筋MRI・CT検査日、撮影した部位、画像データ、所見報告書。以前と比較する際に、撮影範囲や方法も確認します。
筋生検・蛋白評価病理報告書、ジスフェルリンの染色や蛋白評価の結果。診断の説明や、別の施設への相談時に役立ちます。
服薬・サプリ・取り組み名称、量、開始日・変更日、同じ時期に変えたこと。症状や採血値の変化と、時期を照らし合わせます。

検査日に添える短いメモ

採血日:__月__日/CK:____、単位:____/普段と違う活動・体調:____/筋痛や脱力:____/尿の色など気になったこと:____/同じ時期の歩行・生活の変化:____

検査結果の詳しい意味は、三好型ミオパチーの診断・CK高値・DYSF遺伝子検査で確認できます。

医療機関での評価と合わせて、変化を読みます

家庭では普段の生活を残し、医療機関では、方法をそろえた筋力・運動機能などの評価を組み合わせます。ジスフェルリン関連疾患の研究でも、歩行だけでなく、立ち上がり、階段、上肢の機能などが調べられています。[2][4]

家庭から伝えること医療機関で相談する評価
蹴り出し、階段、立ち上がりの変化筋力、関節の動き、姿勢・歩行、運動機能。必要に応じてNSADなどの尺度や時間を測る評価を使います。
車いす・移乗・上肢の動作移乗、座位、腕や手の機能、日常生活、補助具や介助方法。歩行が難しくなった後も、評価する項目があります。
転倒、靴や装具の変更後の困りごと足の状態、歩行、バランス、補助具の適合、生活環境。
疲労、痛み、活動後の生活への影響活動量・回復の経過、筋肉や関節などの状態、運動計画、休憩や移動手段。
息切れ、動悸、睡眠中の呼吸など必要な呼吸機能や心臓の評価、次の確認時期。自覚症状の記録と定期的な診療を組み合わせます。

NSADは、ジスフェルリン関連疾患の研究で検証された運動機能の評価尺度です。歩行可能な人と、歩行が難しい人の機能を評価できるよう開発されています。家庭の記録欄とは役割が異なり、担当者が本人の状態に合わせて評価を選びます。[3]

楽になった変化も、条件を添えて残します

歩きやすくなった、同じ外出後の疲れが減った、移乗が楽になったといった変化は、生活上の大切な情報です。そのときの靴・装具・介助・移動距離・体調も残すと、どこが変わったのかを相談しやすくなります。

  • 同じ移動が楽になった:休憩、疲労、痛み、必要な支えがどう変わったかを残す。
  • 転倒が減った:歩いた量、階段を使う機会、補助具や環境の変更も合わせて残す。
  • CKが変わった:症状・機能と採血条件を合わせ、検査値だけで改善・悪化を決めない。
  • 新しい取り組みを始めた:開始日と、同時期の変更も残す。前後の変化だけで、その取り組みが原因と確定することはできません。

安全な補助具や環境の調整は優先して進め、その内容を記録します。評価の間隔や運動内容は、本人の目標と負担を踏まえて主治医・リハビリ担当者と決めてください。

受診を早めたい変化

新しい症状を、いつもの疲労や病気の進行だけで説明しないことが大切です。次のような場合は、記録の完成や次回予約を待たずに連絡してください。

119を要請する状態
強い呼吸困難、突然の強い胸痛、意識の異常・反応がない状態など。呼吸と意識の状態を伝え、通信指令員の指示に従ってください。[7]
速やかに連絡する変化
急な脱力、普段と違う強い筋肉痛や腫れ、赤褐色の尿、尿が明らかに少ないなど。筋肉や腎臓の状態を確認する必要があります。横紋筋融解症なども含め、医療機関で判断します。[6]
転倒後に確認すること
頭を打った、強い痛みや腫れがある、体重をかけられない、普段の動作が急にできなくなった場合は、けがの評価を相談します。意識がおかしいなど緊急性が高い場合は119です。
予定より早い相談
転倒・ヒヤリが増えた、疲労や痛みが繰り返し生活を妨げる、手すりや介助が増えた、装具で新しい痛みが出た、感染後に普段の状態へ戻らないなど。

赤褐色の尿などの症状がある場合に、家庭の記録やCKの過去の数値だけで様子を見るかを決めることはできません。いつから、どんな症状があり、直前に何をしていたかを伝えてください。

受診前の1枚と、学校・職場への共有

診察前には、前回からの変化を1枚にまとめます。細かい日々の記録や検査報告書は、必要なときに見せられるよう添えてください。

コピーして使う受診前の要約

今回いちばんの相談
____________
比較する期間
__月__日〜__月__日 変化が始まった時期:____
歩行・階段
平地:____ 上り:____ 下り:____ 以前との違い:____
移乗・上肢
立ち上がり、ベッドやトイレへの移動、着替えや物を持つ動作:____
転倒・ヒヤリ
回数が分かれば:____ 多い場所・状況:____ けが:____
疲労・痛み
活動の内容:____ どこが、いつから、どのくらい続くか:____ 翌日以降の影響:____
支えと生活環境
靴・装具・杖・車いす・手すり・介助の変更と日付:____
検査・体調
採血日・CK:____ 採血前の活動や症状:____ 発熱・感染・尿の変化など:____
楽になったこと
____________
生活への影響
通勤通学・仕事・家事・入浴・外出などで困ること:____ 希望すること:____
確認したいこと
筋力・運動機能評価/運動量/痛み/装具・移動手段/環境調整/検査結果/呼吸・心臓/制度/研究情報/その他:____
持参する資料
服薬一覧、検査報告書、DYSF検査の結果、画像や病理の資料、家庭の記録など。

例えば、「歩けますが、駅の階段で手すりが必要になりました。帰宅後の痛みが翌日も残ります。装具と活動量を相談したいです」のように、動作・生活への影響・相談したいことをセットにすると伝わりやすくなります。

学校・職場には、困る場面と希望する配慮を伝えます

  • 階段や移動:「手すりが必要」「移動に時間がかかる」→エレベーター、移動時間の余裕、階段の少ない経路。
  • 荷物:「荷物を持つと手すりを使いにくい」→運搬の補助、荷物を置ける場所、持ち運ぶ量の調整。
  • 体育・立ち仕事・外出:「長時間続くと翌日の生活に影響する」→内容や作業姿勢の調整、座れる場所、休憩、移動手段の相談。

共有した配慮が役立ったか、新たな困りごとが出たかも記録し、必要な時期に見直します。書式が必要な場合は、筋ジストロフィーの学校・職場共有シートを使えます。

よくある質問

片足つま先立ちは、毎週測った方がよいですか?

家庭の必須項目ではありません。医療者から方法や実施条件を決めてもらっている場合は、それに従います。ふらつきや痛みがあるときに無理に試す必要はありません。普段の歩行、階段、必要な支えの変化も評価の材料になります。

歩く機会が減って転倒がゼロになったら、改善と考えてよいですか?

転倒が減ったことは大切ですが、移動する機会や環境も一緒に確認します。「外出を控えて転倒が減った」「杖を使い、同じ外出をより安全に行えた」では意味が異なります。本人ができること、必要な支え、生活の広がりも合わせて残してください。

CKが下がったら、筋肉が回復したということですか?

CKの低下だけでは判断できません。ジスフェルリン関連疾患では、年齢や病気の経過が長いほどCKが低くなる傾向も報告されています。症状、活動量、採血条件と、筋力・機能の評価を合わせて主治医と確認します。[2]

車いすを使うようになっても、記録する意味はありますか?

あります。移乗、立ち上がり、腕や手の動作、疲労、痛み、必要な介助、外出のしやすさなどが相談につながります。歩行が難しい人にも対応する運動機能尺度が研究されています。[3]

装具や杖を使い始めた後は、どのくらい記録しますか?

導入日、使用場面、痛み、疲労、転倒・ヒヤリ、外出のしやすさを残します。確認する期間や項目は担当者と決めてください。痛みや皮膚の問題、歩きにくさが新しく出た場合は、次の予定日を待たず相談します。

参考資料

  1. 難病情報センター.遠位型ミオパチー(指定難病30):診断・治療指針.三好型ミオパチーの症状、DYSF、検査所見を参照。
  2. Harris E, et al. The Clinical Outcome Study for dysferlinopathy: An international multicenter study. Neurol Genet. 2016;2:e89. 臨床像、CK・AST・ALTなどの検査と機能評価を調べた研究。
  3. Jacobs MB, James MK, et al. Assessing Dysferlinopathy Patients Over Three Years With a New Motor Scale. Ann Neurol. 2021;89:967–978. NSADの開発・検証と、運動機能の経過を調べた研究。
  4. Moore U, et al. Assessment of disease progression in dysferlinopathy: A 1-year cohort study. Neurology. 2019. 方法をそろえた運動機能評価による経過観察。
  5. Jain Foundation.Symptoms and Care Management.個別の理学療法・作業療法や生活管理に関する案内。
  6. 厚生労働省.重篤副作用疾患別対応マニュアル:横紋筋融解症.筋肉痛、脱力、尿の変化など、早期に相談すべき症状を参照。
  7. 総務省消防庁.救急車利用マニュアル.救急要請を考える症状と119番通報の案内。

本ページの記録欄は、生活の変化を医療者に伝えるための記入例です。診断、運動量、検査結果、治療効果、補助具の適合などは、診察と必要な評価を合わせて確認してください。