ALSの痛みはなぜ起こる?関節拘縮・こむら返り・筋骨格負担への対応
ALSでは、筋力低下や動きにくさが注目されやすい一方で、痛み、こむら返り、こわばり、関節の動かしにくさ、同じ姿勢による不快感が生活を大きく下げることがあります。 「ALSは感覚の病気ではないのに、なぜ痛いのか」と疑問を持つ方もいますが、痛みは珍しい訴えではありません。
ALSの痛みには、筋肉のこむら返り、痙縮、関節拘縮、姿勢の崩れ、首下がり、同じ姿勢による圧迫、車椅子やベッドの設定、便秘や褥瘡など、いくつもの原因が関わります。 このページでは、ALSで痛みが起こる理由を分けて、ストレッチ、ポジショニング、体位変換、車椅子・ベッド調整、薬の相談、受診すべきサインを整理します。
結論
- ALSでは、痛み、こむら返り、痙縮、関節拘縮、姿勢の崩れ、圧迫痛が生活の負担になることがあります。
- 痛みは「ALSだから仕方ない」と放置するものではありません。原因を分けることで、姿勢調整、関節可動域、福祉用具、薬、介助方法の見直しにつながります。
- 肩、股関節、首、腰、お尻、足は、筋力低下、動かしにくさ、同じ姿勢、介助時の引っぱりで痛みが出やすい部位です。
- こむら返りや痙縮の痛み、関節拘縮の痛み、圧迫による痛み、神経痛のような痛みでは、必要な対応が異なります。
- ストレッチや体位変換は、強く伸ばすことではなく、痛みを増やさない範囲で関節を保ち、姿勢を安定させるために行います。
- 痛みで眠れない、介助ができない、赤み・腫れ・熱感がある、急な痛みがある場合は、早めに医療者へ相談してください。
このページで整理すること
ALSの痛みは、単に「病気が進んだから痛い」とひとまとめにすると対策が見えにくくなります。 こむら返りなのか、痙縮なのか、関節が固まっているのか、姿勢が崩れているのか、同じ場所に圧がかかっているのかで、見直す内容が変わります。
このページでは、ALSで起こりやすい痛みを、関節拘縮、筋骨格負担、こむら返り、痙縮、圧迫、神経痛のような痛み、機器や姿勢由来の痛みに分けて整理します。
| テーマ | 主に見ること | このページでの扱い |
|---|---|---|
| ALSの痛み全体 | 痛みの種類、部位、原因、ケア、薬の相談、受診目安。 | このページの中心です。痛みの原因を分けて、次の相談につなげます。 |
| 整体・マッサージ | 痛み・こわばりへの補助的なケア、安全な受け方、避けたい刺激。 | 徒手ケアの位置づけは関連ページで確認します。 |
| 車椅子・シーティング | 座位姿勢、圧分散、ティルト・リクライニング、首・体幹の支え。 | 座位で痛みが出る場合に深く関わります。 |
| 福祉用具・住環境 | 移乗、体位変換、ベッド、手すり、トイレ、介助負担。 | 痛みを減らす土台として確認します。 |
| 夜間のつらさ | 寝返り困難、体位、痛み、呼吸、睡眠の中断。 | 夜の痛みが睡眠や呼吸と関係する場合に確認します。 |
痛みの対策は「痛み止めだけ」でも「ストレッチだけ」でも不十分なことがあります。姿勢、関節、皮膚、介助、福祉用具、薬を分けて見直すことで、負担を下げやすくなります。
ALSで痛みが起こる理由
ALSでは、感覚の低下が主症状として目立つ病気ではありません。 しかし、痛みが起こらないわけではありません。 筋力低下、筋萎縮、こむら返り、痙縮、活動量の低下、姿勢保持の難しさ、同じ姿勢が続くことによって、痛みや不快感が生じます。
1. 筋肉のこむら返り・けいれん
ALSでは、筋肉が急に強く収縮してつるような痛みが出ることがあります。 ふくらはぎ、足、手、太もも、体幹などに出ることがあり、夜間や疲労時に強く感じることもあります。 こむら返りは、痛みだけでなく、睡眠を妨げる原因にもなります。
2. 痙縮・こわばり
痙縮は、筋肉の緊張が高くなり、関節を動かしにくくなる状態です。 足が突っ張る、腕が曲がりにくい、動かそうとすると抵抗が強い、介助で着替えや移乗が難しい、といった形で現れることがあります。 こわばりが強いと、関節や筋肉に痛みが出やすくなります。
3. 筋力低下による関節の支え不足
肩、股関節、首、腰などは、周囲の筋肉が関節や姿勢を支えています。 筋力が落ちると、関節が安定しにくくなり、肩が引っぱられる、腕の重さで痛む、座位で腰が崩れる、首を支えきれないといった負担が出やすくなります。
4. 動かない時間が増えることによる拘縮
自力で寝返りを打つ、手足を動かす、立ち上がる、歩くといった動作が減ると、関節周囲の組織が固まりやすくなります。 関節拘縮が進むと、少し姿勢を変えるだけでも痛みが出る、着替えや清拭で痛む、移乗時に関節が引っぱられる、といった問題につながります。
5. 同じ姿勢による圧迫・皮膚への負担
ベッドや車椅子で同じ姿勢が続くと、お尻、仙骨、かかと、肘、肩甲骨まわりなどに圧が集中します。 皮膚の赤みや褥瘡の前段階として痛みやヒリヒリ感が出ることがあります。 皮膚が見えにくい場所の痛みは、早めに確認することが大切です。
ALSの痛みは一つの原因だけで起こるとは限りません。こむら返り、痙縮、関節拘縮、姿勢、圧迫、既存の関節疾患が重なっていることもあります。
痛みを分けて考える
痛みの対策を考えるときは、「どこが痛いか」だけでなく、「どんな痛みか」「いつ痛いか」「何をすると強くなるか」を分けます。 痛みの種類が変われば、姿勢、ストレッチ、薬、福祉用具、受診先も変わります。
| 痛みの種類 | よくある見え方 | 見直したいこと |
|---|---|---|
| こむら返り・筋けいれん | 急につる、強く縮む、夜間や疲労時に起きる。 | 水分、疲労、姿勢、冷え、薬の相談、睡眠への影響。 |
| 痙縮・こわばり | 突っ張る、動かそうとすると抵抗が強い、介助時に曲げ伸ばししにくい。 | ゆっくりした関節運動、ポジショニング、薬、リハビリ評価。 |
| 関節拘縮 | 肩、股関節、膝、足首、肘、手首などが動かしにくく、動かすと痛い。 | 関節可動域、着替えや移乗の介助方法、痛みを増やさない動かし方。 |
| 筋骨格負担 | 首下がり、肩の引っぱられ、腰痛、座位崩れ、腕や脚の重さによる痛み。 | 首・体幹支持、車椅子、クッション、アームサポート、ベッド環境。 |
| 圧迫痛・皮膚の痛み | お尻、仙骨、かかと、肘、肩甲骨まわりが痛い、赤い、ヒリヒリする。 | 体位変換、除圧、クッション、マットレス、皮膚観察、訪問看護。 |
| 神経痛のような痛み | ビリビリ、ジンジン、焼ける、刺すような痛み。しびれを伴うこともある。 | ALS以外の頚椎症、腰椎症、末梢神経障害も含めて評価。 |
| 機器・介助由来の痛み | NPPVマスクの鼻根部痛、車椅子の当たり、移乗時に肩を引っぱられる。 | 機器調整、介助方法、クッション、ベルト、リフトやスライディングボード。 |
| 内科的な痛み | 腹痛、胸痛、発熱を伴う痛み、片脚の腫れや熱感。 | 便秘、感染、血栓、心肺疾患などの確認。早めの医療相談。 |
「痛いから動かさない」が続くと拘縮や圧迫が進み、さらに痛みが増えることがあります。一方で、無理に伸ばすと痛みが悪化することもあります。痛みを増やさない範囲で、専門職と調整することが大切です。
部位別に見たい痛み
ALSの痛みは、部位ごとに背景が異なります。 「肩が痛い」「腰が痛い」だけでなく、姿勢、介助、車椅子、ベッド、呼吸、食事との関係を見ます。
| 部位 | 考えやすい背景 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| 肩 | 腕の重さを支えにくい、移乗時に腕を引っぱる、肩関節の支持低下、拘縮。 | 腕をぶら下げたままにしていないか、肘や前腕を支えているか、介助で肩を引いていないか。 |
| 首 | 首下がり、頭部保持の低下、車椅子や枕の高さ、視線入力の姿勢。 | ヘッドサポート、枕、画面の高さ、食事姿勢、長時間同じ向きになっていないか。 |
| 腰・背中 | 体幹保持低下、座位崩れ、車椅子の角度、ベッド上での姿勢、長時間座位。 | 骨盤の前滑り、左右への傾き、クッション、背もたれ、ティルト・リクライニング。 |
| 股関節 | 座位時間、股関節拘縮、移乗時のねじれ、寝た姿勢の偏り。 | 膝下や太ももの支え、寝返り、足の開き、移乗時の脚の位置。 |
| 膝・足首 | 動かす機会の減少、尖足傾向、足置きの高さ、ふくらはぎのこむら返り。 | 足が浮いていないか、足首の角度、装具、フットサポート、夜間のつり。 |
| お尻・仙骨 | 圧迫、前滑り、同じ姿勢、クッション不適合、皮膚トラブル。 | 赤み、熱感、皮膚の傷、座れる時間、除圧、マットレス、クッション。 |
| 手・指 | こわばり、拘縮、握り込み、爪の食い込み、手首の位置。 | 手の開きやすさ、爪、手首の支え、夜間の姿勢、装具の必要性。 |
急に強くなった痛み、転倒後の痛み、片脚だけの腫れや熱感、発熱を伴う痛み、皮膚が赤く戻らない痛みは、通常の筋骨格負担だけで考えず、医療者へ相談してください。
痛みを軽くするための対応
ALSの痛みは、姿勢、関節、皮膚、薬、福祉用具、介助方法を組み合わせて整えることが大切です。 どれか一つで解決しない場合も、原因を分けて少しずつ負担を減らすと、眠りや介助のしやすさが変わることがあります。
1. ポジショニングで関節と筋肉の負担を減らす
ポジショニングは、体の隙間を埋め、関節が引っぱられない姿勢を作ることです。 肩、肘、手首、膝、足首、股関節、首の位置が安定すると、痛みやこわばりが軽くなることがあります。
- 腕がぶら下がる場合は、肘や前腕をクッションで支える。
- 膝裏や足首に過剰な圧がかからないように支える。
- 横向きでは、上側の腕や脚が落ちないようにクッションを入れる。
- 首が落ちる場合は、枕やヘッドサポートの高さを見直す。
- ベッド上と車椅子上で、楽な姿勢が同じとは限らないと考える。
2. 関節可動域を保つ
関節拘縮を防ぐには、痛みを増やさない範囲で関節を動かすことが大切です。 ただし、強く引っぱる、反動をつける、痛みを我慢して伸ばす方法は避けます。 主治医、理学療法士、作業療法士に、本人に合う動かし方を確認してください。
- 痛みが出る手前で止める。
- 急に引っぱらず、ゆっくり動かす。
- 呼吸が苦しくなる姿勢では行わない。
- 関節だけでなく、本人の表情、声、緊張、疲労を見ながら行う。
- 終わった後に痛みが増える場合は、回数・角度・力を見直す。
3. 車椅子・ベッド・クッションを見直す
痛みが長く続く場合、本人の体だけでなく、車椅子やベッドの設定が合っていないことがあります。 クッション、背もたれ、足置き、肘掛け、ヘッドサポート、ティルト・リクライニング、マットレスを見直すことで、痛みの原因が減ることがあります。
4. 介助方法を見直す
移乗や着替えで、肩、腕、股関節、膝を引っぱると強い痛みの原因になります。 腕を持って引き上げる、脇を強く抱える、脚をねじる介助が続く場合は、スライディングボード、介護リフト、移乗用具、ベッド高さの調整を含めて相談してください。
痛みを減らすためのケアは、本人に我慢させて動かすことではありません。痛みが少ない姿勢、少ない力で移乗できる条件、支えられる道具を探すことが大切です。
日常のケアで見直したいこと
痛みは、診察室では見えにくく、日常の姿勢や介助の中で強く出ることがあります。 毎日のケアでは、同じ姿勢、圧迫、冷え、無理な移乗、夜間の寝返り、車椅子姿勢を確認します。
| 見直すこと | 確認する内容 | 相談につなげる目安 |
|---|---|---|
| 体位変換 | 同じ姿勢が長く続いていないか。痛い側を下にし続けていないか。 | 自力で寝返りできない、夜間に痛みで起きる、皮膚が赤い。 |
| 皮膚観察 | 仙骨、かかと、肘、肩甲骨、耳、鼻根部に赤みや傷がないか。 | 赤みが戻らない、熱感がある、皮膚がむける、痛みが続く。 |
| 車椅子姿勢 | 前滑り、横倒れ、首下がり、足の浮き、肘の落ち込みがないか。 | 座ると痛い、食事しにくい、会話しにくい、呼吸が苦しい。 |
| ベッド環境 | マットレス、枕、クッション、足の位置、腕の置き場が合っているか。 | 朝に痛みが強い、夜間に同じ部位が痛む、寝返り介助が難しい。 |
| 移乗 | 腕を引っぱっていないか。肩や股関節をねじっていないか。 | 移乗のたびに痛む、介助者が力任せになっている、転倒不安がある。 |
| こむら返り | 起こる時間帯、部位、回数、疲労や冷えとの関係。 | 睡眠が妨げられる、頻回に起こる、薬の相談が必要。 |
| 便秘・尿路症状 | 腹痛、張り、排便間隔、尿の痛みや発熱。 | 腹部の強い痛み、発熱、食欲低下、排便困難が続く。 |
痛みは本人が遠慮して言わないことがあります。介助時の表情、体のこわばり、呼吸の変化、夜間の目覚め、食欲低下も手がかりになります。
薬を相談するときの考え方
物理的なケアだけで痛みが軽くならない場合や、痛みが強くて眠れない、リハビリや介助ができない場合は、主治医へ薬の相談をします。 薬は痛みの種類によって選び方が変わるため、「痛いです」だけでなく、痛みの性質を伝えることが大切です。
| 痛み・症状 | 医療者に相談されやすい方向 | 注意点 |
|---|---|---|
| 関節痛・筋肉痛 | 鎮痛薬、外用薬、炎症の有無、姿勢や介助方法の見直し。 | 腎機能、胃腸、出血リスク、併用薬などを確認します。 |
| こむら返り | こむら返りに対する薬、疲労や冷え、水分、睡眠の見直し。 | 薬の選択は国や施設で異なります。自己判断で市販薬やサプリを追加しないでください。 |
| 痙縮・こわばり | 筋緊張を下げる薬、リハビリ、ポジショニング、装具の相談。 | 眠気、脱力、ふらつきが出ることがあり、量の調整が必要です。 |
| ビリビリ・焼けるような痛み | 神経障害性疼痛の薬、頚椎症・腰椎症・末梢神経障害の確認。 | ALS以外の原因が重なっていないか評価します。 |
| 強い痛み・終末期の痛み | 緩和ケア、鎮痛薬の段階的調整、呼吸・不安・睡眠への配慮。 | 呼吸状態、眠気、便秘、意思決定を含めてチームで確認します。 |
筋弛緩薬、鎮痛薬、神経障害性疼痛の薬、睡眠薬、抗不安薬は、眠気、脱力、ふらつき、便秘、呼吸状態に影響することがあります。
薬を増やす・減らす・中止する判断は自己判断で行わず、ALSの呼吸状態や嚥下状態を把握している医師に相談してください。
早めに相談したいサイン
次のような痛みは、ALSに伴う筋骨格負担だけで片づけず、主治医、訪問看護、救急相談を含めて早めに確認したい場面です。
- これまでと違う急な強い痛みが出た。
- 転倒、ぶつけた、移乗時にひねった後から痛みが強い。
- 片脚だけ赤い、腫れている、熱を持っている、強く痛む。
- 発熱、寒気、皮膚の赤み、傷、膿、悪臭を伴う。
- お尻、仙骨、かかとなどの赤みが戻らない。
- 胸痛、強い息苦しさ、急な呼吸の変化を伴う。
- 腹痛、便秘、嘔吐、食欲低下が強い。
- 夜眠れないほどの痛みが続く。
- 痛みで食事、呼吸、会話、移乗、排泄が難しくなっている。
- 痛み止めを使っても改善せず、日ごとに悪化している。
我慢しすぎないことが大切
痛みを我慢していると、睡眠不足、食欲低下、体位変換の拒否、介助の難しさ、家族の疲労につながります。 痛みが強い時点で相談する方が、薬、体位、福祉用具、訪問看護の調整を進めやすくなります。
痛みの記録メモ
痛みを相談するときは、「痛い」だけでなく、場所、痛み方、時間帯、きっかけ、姿勢、薬の効果を伝えると、原因を分けやすくなります。 完璧に記録する必要はありません。まずは数日だけ、同じ項目で見ます。
まず見る5項目
- どこが痛いか。肩、首、腰、お尻、股関節、足など。
- どんな痛みか。ズキズキ、つる、ビリビリ、重い、刺すような痛みなど。
- いつ痛いか。夜、朝、移乗時、着替え、車椅子、食後など。
- 何で軽くなるか。体位変換、温める、支える、薬、休息など。
- 赤み、腫れ、熱感、しびれ、発熱、息苦しさを伴うか。
コピーして使える痛み相談メモ
作成日:__年__月__日 本人氏名:________ 診断名:ALS 【痛い場所】 □ 首 □ 肩 □ 背中 □ 腰 □ お尻・仙骨 □ 股関節 □ 膝 □ 足首・足 □ 手・指 □ ふくらはぎ □ 腹部 その他:________ 【痛み方】 □ ズキズキ □ つる・こむら返り □ 突っ張る □ ビリビリ・ジンジン □ 焼けるような痛み □ 押されるような痛み □ 動かすと痛い □ 同じ姿勢で痛い その他:________ 【痛む場面】 □ 夜間 □ 朝 □ 車椅子に座っている時 □ ベッドで横になっている時 □ 体位変換 □ 移乗 □ 着替え □ 清拭・入浴 □ 食事 □ 呼吸機器使用中 その他:________ 【一緒にある症状】 □ 赤み □ 腫れ □ 熱感 □ 皮膚の傷 □ 発熱 □ しびれ □ 息苦しさ □ むせ □ 便秘 □ 食欲低下 □ 眠れない 【楽になること】 □ 体位変換 □ クッションで支える □ 温める □ 冷やす □ 薬 □ マッサージ □ 車椅子角度の変更 □ ベッド角度の変更 その他:________ 【相談したいこと】 □ 薬の調整 □ 体位変換 □ 車椅子・クッション □ ベッド・マットレス □ ストレッチ方法 □ 移乗方法 □ 訪問看護・リハビリ □ 皮膚確認 その他:________
記録の目的は、痛みを監視し続けることではありません。主治医、訪問看護、リハビリ、介護チームが、痛みの原因を分けて対応しやすくするためです。
よくある質問
ALSで痛みがあるのは珍しいことですか?
珍しいとは言えません。ALSでは、こむら返り、痙縮、筋骨格負担、関節拘縮、同じ姿勢による圧迫、機器や介助による痛みが起こることがあります。痛みがある場合は、どの種類の痛みかを分けて相談することが大切です。
痛みがあるなら動かさない方がよいですか?
強い痛みを我慢して動かす必要はありません。ただし、まったく動かさない状態が続くと、関節拘縮や圧迫痛が進み、さらに痛みが増えることがあります。痛みを増やさない範囲で、専門職と一緒に関節可動域や体位変換を調整してください。
肩や首の痛みはALSそのものの進行ですか?
ALSに伴う筋力低下や首下がり、腕の重さ、姿勢保持の難しさで痛みが出ることがあります。ただし、頚椎症、肩関節周囲炎、骨折、神経の圧迫などALS以外の原因が重なることもあります。痛みが続く、急に悪化する、しびれを伴う場合は医師に相談してください。
こむら返りは薬で治りますか?
薬が役立つことはありますが、自己判断で薬やサプリを追加するのは避けてください。こむら返りの頻度、時間帯、部位、睡眠への影響を記録し、主治医に相談します。疲労、冷え、姿勢、活動量も一緒に見直します。
マッサージや整体を受けてもよいですか?
痛みやこわばりを軽くする補助として役立つ場面はあります。ただし、強いもみほぐし、痛みを我慢するストレッチ、関節を無理に動かす施術、呼吸を妨げる姿勢は避けます。呼吸、嚥下、骨折リスク、褥瘡、強い疲労がある場合は、主治医や訪問リハビリと共有してください。
痛み止めを飲むと呼吸が弱くなりませんか?
薬の種類によります。一般的な鎮痛薬、筋緊張を下げる薬、神経痛の薬、睡眠薬、抗不安薬などは、それぞれ効果と注意点が異なります。眠気、脱力、便秘、呼吸状態への影響を考える必要があるため、呼吸状態を把握している医師に相談してください。
車椅子に座るとお尻や腰が痛いです。クッションを変えればよいですか?
クッションは重要ですが、クッションだけで解決しないこともあります。骨盤の前滑り、背もたれ、足置き、肘掛け、ヘッドサポート、ティルト角度、座面寸法を合わせて見る必要があります。車椅子業者、理学療法士、作業療法士にシーティング評価を依頼してください。
夜に痛みで眠れない場合はどうすればよいですか?
夜間の痛みは、体位、寝返り困難、圧迫、こむら返り、呼吸、NPPV、皮膚トラブルが関係することがあります。痛む部位、時間帯、体位、皮膚の赤み、こむら返りの有無を記録し、主治医や訪問看護へ相談してください。強い痛みで眠れない状態を我慢し続ける必要はありません。
参考文献・参考情報
-
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https://www.nice.org.uk/guidance/ng42/chapter/recommendations -
Pota V, et al. Amyotrophic Lateral Sclerosis and Pain: A Narrative Review from Pain Assessment to Therapy. 2024.
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10960655/ -
Kwak S. Pain in amyotrophic lateral sclerosis: a narrative review. Journal of Yeungnam Medical Science. 2022.
https://www.e-jyms.org/journal/view.php?doi=10.12701/jyms.2022.00332 -
Chio A, et al. Pain in amyotrophic lateral sclerosis. Lancet Neurology. 2017.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28094131/ -
Majmudar S, Wu J, Paganoni S. Rehabilitation in Amyotrophic Lateral Sclerosis. Neurologic Clinics. 2015.
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4433000/ -
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PCNOW Fast Fact. Analgesic Strategies in Patients with Amyotrophic Lateral Sclerosis.
https://www.mypcnow.org/fast-fact/analgesic-strategies-in-patients-with-amyotrophic-lateral-sclerosis/ -
ALS Association. Managing Symptoms of ALS.
https://www.als.org/navigating-als/resources/fyi-managing-symptoms-als
ALSの痛みは、こむら返り、痙縮、筋骨格負担、関節拘縮、同じ姿勢による圧迫、神経痛のような痛み、機器や介助による痛みなどが重なって起こります。本ページでは、家庭で観察しやすい痛みの出方と、医療・介護チームへ相談しやすい項目に整理しています。
まとめ
ALSの痛みは、「仕方ない」と放置するものではありません。 こむら返り、痙縮、関節拘縮、筋骨格負担、圧迫、姿勢崩れ、福祉用具の不適合など、複数の原因が重なって起こることがあります。
大切なのは、痛みの場所、痛み方、時間帯、姿勢、介助、皮膚、呼吸、睡眠への影響を分けて見ることです。 原因が分かるほど、体位変換、ポジショニング、車椅子やベッドの調整、関節可動域、薬の相談につなげやすくなります。
痛みで眠れない、介助ができない、食事や呼吸に影響する、赤み・腫れ・熱感がある、急に強い痛みが出た場合は、早めに主治医、訪問看護、リハビリ、介護チームへ共有してください。
- 本ページは一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断、薬剤調整、リハビリ指示を行うものではありません。
- 痛みの原因は多様であり、骨折、感染、血栓、褥瘡、頚椎症・腰椎症、関節疾患、便秘などALS以外の要因確認が必要な場合もあります。
- 服薬の追加・変更・中止、具体的なストレッチや体位変換は、主治医、理学療法士、作業療法士、訪問看護師などの指導のもとで行ってください。
- 急な強い痛み、片脚の腫れや熱感、発熱、皮膚の傷、胸痛、強い息苦しさがある場合は、通常の相談より早い対応が必要になることがあります。

