ALSの自宅改修で何が必要?バリアフリー工事・介助動線の優先順位
ALSの自宅改修は、段差をなくすだけでは十分ではありません。 歩行の不安定さ、車椅子の導入、移乗のしやすさ、トイレや入浴の介助、呼吸機器や吸引器の置き場所、夜間介助、電源の確保まで含めて考える必要があります。
最初から家全体を大きく工事するより、今困っている場所、転倒しやすい場所、毎日何度も使う場所、近い将来に車椅子や介助が必要になりやすい場所を分けて、優先順位をつける方が失敗しにくくなります。 このページでは、ALSで考えたい自宅改修の基本、場所ごとの確認ポイント、費用の目安、制度利用、工事前にまとめたいメモを整理します。
結論
- ALSの自宅改修では、今の歩きやすさだけでなく、車椅子、移乗、介助、夜間対応、呼吸機器、吸引器、意思伝達機器まで見据えて考えます。
- 優先順位は、転倒しやすい動線、トイレ、寝室、玄関、浴室・洗面所の順に、生活への影響が大きい場所から整理すると進めやすくなります。
- 大きな工事の前に、家具配置、コード整理、照明、手すり、置き型スロープ、ベッド位置の見直しで安全性が上がることがあります。
- 車椅子や介助量が変わってからでは、通路幅、トイレ、寝室、電源、介助者の立ち位置でやり直しが増えやすくなります。
- 介護保険や障害福祉の制度は、工事前の申請が必要になることが多いため、着工前にケアマネジャー、自治体、相談支援専門員へ確認してください。
- 工事内容は、本人の安全だけでなく、介助者の腰痛予防、夜間対応、呼吸機器・吸引器をすぐ使える配置まで含めて考えます。
このページで整理すること
ALSの住環境整備には、福祉用具、車椅子、介助方法、呼吸機器、トイレ、浴室、寝室、玄関、制度申請などが関わります。 このページでは、その中でも「工事や住宅改修をどう優先するか」に絞って整理します。
杖、歩行器、ベッド、ポータブルトイレ、移乗ボードなどの福祉用具で対応できることと、手すり、段差解消、扉変更、床材変更、トイレ改修などの工事が必要なことを分けると、費用と時間の無駄を減らしやすくなります。
| テーマ | 主に見ること | このページでの扱い |
|---|---|---|
| 自宅改修 | 手すり、段差解消、扉、床材、トイレ、浴室、玄関、介助動線。 | このページの中心です。工事の優先順位と失敗しやすい点を整理します。 |
| 福祉用具・住環境全体 | 転倒、移乗、ベッド、トイレ、食事環境、介助設計。 | 工事だけでなく用具全体を見たい場合は関連ページで確認します。 |
| 車椅子・シーティング | 手動・電動、ティルト、リクライニング、通路幅、回転スペース。 | 自宅改修の前提として扱います。車椅子の選び方は関連ページで確認します。 |
| 外出・外のトイレ | 外出先のトイレ、移動、時間配分、同行者、車椅子対応。 | 自宅内のトイレ改修とは分けて扱います。 |
| 宿泊・旅行 | ホテルのベッド、トイレ、呼吸機器、電源、夜間対応。 | 自宅ではなく、外泊先で確認する条件として関連します。 |
自宅改修は「どこをきれいにするか」ではなく、「どの動作を安全にするか」「どの介助を軽くするか」「どの機器を使いやすくするか」で考えると、必要な工事が見えやすくなります。
ALSで自宅改修が必要になりやすい理由
ALSでは、歩行の不安定さ、つまずき、下垂足、体幹保持の低下、首下がり、手の使いにくさ、車椅子利用、移乗介助、夜間の寝返り困難、呼吸機器や吸引器の使用など、身体機能の変化が住環境に直接影響します。
たとえば、今は玄関の小さな段差だけが気になっていても、数か月後には車椅子で玄関を出入りする、トイレで横付け移乗をする、ベッドまわりに吸引器や呼吸機器を置く、夜間に家族がすぐ近づける動線が必要になることがあります。
転倒、立ち座りの難しさ、狭い通路、段差、浴室やトイレでの介助負担、車椅子の回転スペース不足。
吸引器や呼吸機器の置き場所、夜間介助、電源、ベッド周囲の動線、介助者の腰痛リスク。
ALSでは、必要になってから工事を始めると、制度申請、見積もり、現地調査、施工までに時間がかかり、生活の変化に間に合わないことがあります。転倒や移乗の不安が出てきた段階で、早めに現地確認を始めてください。
優先順位の考え方
自宅改修は、全部を一度に整えるより、生活に直結する場所から順番に見直す方が進めやすくなります。 判断の軸は、「危ない場所」「毎日何度も使う場所」「介助量が大きい場所」「近い将来に変化しやすい場所」です。
| 優先順位 | 場所・テーマ | 理由 | 最初に見ること |
|---|---|---|---|
| 1 | ベッド〜トイレの動線 | 夜間の転倒、急ぎ、焦り、介助者の負担が重なりやすい場所です。 | 段差、照明、手すり、コード、床の滑り、車椅子や歩行器の通りやすさ。 |
| 2 | トイレ | 排泄は毎日必要で、立ち座り、衣服操作、移乗、介助量に直結します。 | 便座高さ、手すり、横付け、ドア、介助者の立ち位置、ポータブルトイレの可否。 |
| 3 | 寝室・ベッドまわり | 長時間を過ごし、呼吸機器、吸引器、体位変換、夜間対応の中心になります。 | 介護ベッド、両側スペース、電源、吸引器、呼び出し、体位変換の余地。 |
| 4 | 玄関・外への動線 | 通院、訪問サービス、外出、救急搬送、車椅子導入に関わります。 | 段差、スロープ、ドア幅、屋外アプローチ、介護タクシーの停車位置。 |
| 5 | 浴室・洗面所 | 滑りやすく、介助者も含めて事故が起きやすい場所です。 | 段差、床材、手すり、シャワーチェア、浴槽移乗、訪問入浴の選択肢。 |
| 6 | 居室・食事環境 | 長時間座る、食事、会話、意思伝達、呼吸機器配置に影響します。 | テーブル高さ、車椅子スペース、電源、照明、意思伝達機器の固定場所。 |
「一番危ない場所」と「一番よく使う場所」が重なるところから始めると、本人の安全と家族の負担を同時に下げやすくなります。
場所ごとに見たいポイント
玄関・出入り口
玄関は、通院、訪問サービス、外出、救急搬送の入口です。 今は歩いて出入りできても、車椅子やストレッチャー、介護タクシーを使う可能性を見ておきます。
- 段差の高さと、置き型スロープで対応できるか。
- スロープを置いたときに勾配が急すぎないか。
- 玄関ドアの幅、開き方、介助者が立つ位置。
- 車椅子で方向転換できるスペースがあるか。
- 雨の日や夜間でも滑りにくいか。
- 介護タクシーや訪問車両が近くに停められるか。
廊下・居室
廊下や居室は、毎日の移動で必ず使う場所です。 段差だけでなく、コード、マット、家具の角、暗さ、方向転換のしにくさが転倒につながることがあります。
- 歩行器、車椅子、介助者が通れる幅があるか。
- カーペットやマットが足に引っかからないか。
- 電源コードや延長コードが動線を横切っていないか。
- 夜間に足元が見える照明があるか。
- 家具を少し動かすだけで通りやすくならないか。
- 将来の電動車椅子やリクライニング車椅子を想定しているか。
寝室・ベッドまわり
ALSでは、寝室が生活の中心になることがあります。 介護ベッド、体位変換、NPPV、人工呼吸器、吸引器、カフアシスト、意思伝達機器、呼び出し手段まで見ておく必要があります。
- ベッドの両側、または必要な側に介助者が入れるスペースがあるか。
- ベッドからトイレ、ポータブルトイレ、車椅子への移乗動線があるか。
- 呼吸機器、吸引器、加湿器、予備バッテリーの置き場所があるか。
- コンセントの数と位置が足りるか。
- 夜間に家族を呼ぶ手段があるか。
- 車椅子やリフトが近づけるか。
トイレ
トイレは、本人の自立と家族の介助負担に大きく関わります。 立ち座りだけでなく、便座への横付け、衣服操作、手すり、ドアの向き、介助者の立ち位置まで見ます。
- 便座の高さが立ち座りに合っているか。
- 縦手すり、横手すり、L字手すりの位置が合っているか。
- 車椅子で便器へ横付けできるか。
- ドアが内開きで、倒れたときに開けにくくならないか。
- 介助者が横や前に立てるスペースがあるか。
- 夜間だけポータブルトイレを使う選択肢があるか。
浴室・洗面所
浴室は滑りやすく、疲労も強く出やすい場所です。 必ずしも大きな浴室改修だけが答えではなく、シャワーチェア、手すり、すのこ、訪問入浴、清拭との使い分けも含めて考えます。
- 浴室入口の段差があるか。
- 床が滑りやすくないか。
- 洗い場にシャワーチェアを置けるか。
- 浴槽をまたぐ動作が安全か。
- 介助者が一緒に入れるスペースがあるか。
- 入浴後の疲労や呼吸の変化が強くないか。
- 訪問入浴や清拭へ切り替えるタイミングも含めて考えているか。
浴室は改修費用が大きくなりやすい場所です。工事を急ぐ前に、福祉用具、訪問入浴、シャワー浴、清拭、家族の介助量を含めて、どの方法が本人と家族に合うか確認してください。
今だけでなく少し先も見る理由
ALSの自宅改修でやり直しが起きやすいのは、「今の歩行状態だけ」で決めてしまう場合です。 今は手すりで立ち上がれても、少し先に車椅子、移乗ボード、介護リフト、電動車椅子、呼吸機器が必要になると、通路幅やトイレの広さ、ベッド周囲のスペースが足りなくなることがあります。
| 今の状態 | 近い将来に見たい変化 | 改修で見ておくこと |
|---|---|---|
| 歩けるが転びやすい | 杖、歩行器、短距離車椅子、夜間トイレの不安。 | 段差、照明、手すり、マット、コード、ベッド〜トイレ動線。 |
| 手すりで立ち上がれる | 立ち上がり介助、便座高さ、ポータブルトイレ、移乗ボード。 | トイレ空間、便座高さ、手すり位置、介助者の立ち位置。 |
| 介助で歩ける | 車椅子中心、横付け移乗、玄関スロープ、通院動線。 | 廊下幅、ドア幅、方向転換、玄関、車椅子置き場。 |
| 車椅子を検討中 | 電動車椅子、ティルト・リクライニング、座位保持。 | 回転スペース、床材、充電場所、テーブル高さ、トイレ横付け。 |
| 呼吸機器を使う可能性がある | NPPV、人工呼吸器、吸引器、カフアシスト、予備電源。 | 寝室の電源、機器置き場、夜間動線、停電時の準備。 |
| 話しにくさがある | 文字盤、スマホ、タブレット、視線入力。 | テーブル、固定具、電源、照明、車椅子との位置関係。 |
すべてを先回りして工事する必要はありません。ただし、後から変更しにくい場所ほど、少し先の車椅子・移乗・呼吸機器まで見ておく方が失敗を減らせます。
車椅子・リフト・呼吸機器を見据えた確認
ALSの自宅改修では、車椅子を「今使うかどうか」だけでなく、導入されたときに家の中で使えるかを確認します。 特に電動車椅子、ティルト・リクライニング付き車椅子、介護リフトは、想像より大きく、方向転換や保管場所が問題になりやすいです。
通路幅、ドア幅、方向転換、トイレ横付け、テーブル高さ、充電場所を確認します。
ベッド下に脚が入るか、床に段差がないか、吊り具の保管場所があるかを確認します。
NPPV、吸引器、人工呼吸器、加湿器、予備バッテリーの置き場所と電源を確認します。
電源まわりで見たいこと
- ベッド周囲にコンセントが足りるか。
- 延長コードが歩行動線や車椅子動線を横切らないか。
- 電動ベッド、吸引器、NPPV、加湿器、意思伝達機器、スマホ充電が重ならないか。
- 停電時に使うバッテリーや非常電源の置き場所があるか。
- 夜間に機器をすぐ確認できる照明があるか。
呼吸機器や吸引器のコードが動線に出ていると、転倒や機器の落下につながることがあります。電源の増設や家具配置の見直しは、工事前に必ず確認したい項目です。
費用イメージと工期の目安
住宅改修の費用は、住宅の構造、工法、地域、材料、マンション規約、配管や下地の状態で大きく変わります。 下記はあくまで検討の入口です。実際には複数の見積もりを取り、制度の対象になる工事かを着工前に確認してください。
| 改修内容 | 費用の目安 | 工期の目安 | 確認したいこと |
|---|---|---|---|
| 手すりの取り付け | 約1万〜5万円/箇所 | 半日〜1日 | 下地、利き手、立ち上がり方向、将来の車椅子動線を確認します。 |
| 段差の解消 | 約3万〜20万円 | 1日〜3日 | 置き型スロープでよいか、床上げが必要か、勾配が急すぎないかを確認します。 |
| 床材変更 | 約5万〜30万円以上 | 1日〜数日 | 滑りにくさ、車椅子の走行、掃除、段差発生の有無を確認します。 |
| 扉の変更 | 約10万〜25万円以上 | 1日〜2日 | 開き戸から引き戸・折れ戸へ変える必要があるか、車椅子が通れるかを確認します。 |
| トイレ改修 | 約20万〜50万円以上 | 2日〜1週間 | 手すり、便座高さ、横付け、ドア、介助者スペース、ポータブルトイレとの使い分けを確認します。 |
| 浴室改修 | 約50万〜150万円以上 | 4日〜1週間以上 | 入浴介助、シャワーチェア、訪問入浴、疲労、呼吸状態を含めて判断します。 |
| 玄関・屋外アプローチ | 約15万〜50万円以上 | 3日〜1週間以上 | スロープ勾配、手すり、雨対策、介護タクシー、電動車椅子の出入りを確認します。 |
| 電源増設・配線整理 | 内容により差が大きい | 半日〜数日 | 呼吸機器、吸引器、電動ベッド、意思伝達機器、停電時の動線を確認します。 |
水回りの位置変更、壁や柱に関わる工事、マンション共用部、屋外アプローチ、電気工事を含む場合は、費用と期間が大きく変わることがあります。制度の対象範囲も自治体や状況で異なるため、見積もり段階で確認してください。
使える制度と申請前の注意
住宅改修では、介護保険、障害福祉、自治体独自の助成が関わることがあります。 ただし、制度は「工事した後に領収書を出せば必ず戻る」というものではありません。 多くの場合、着工前の相談、理由書、見積もり、写真、図面などが必要になります。
| 制度・相談先 | 主な内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 介護保険の住宅改修 | 手すり、段差解消、床材変更、扉変更、便器変更などが対象になることがあります。 | 支給限度基準額があり、工事前申請が基本です。ケアマネジャーや自治体へ先に相談します。 |
| 日常生活用具給付等事業 | 市町村が実施し、難病患者等も対象に含まれる場合があります。住宅改修費に関わる種目があります。 | 対象、自己負担、限度額、申請方法は自治体で異なります。事前確認が必要です。 |
| 自治体独自の住宅設備改善費 | 重度障害者や難病の方を対象に、住宅設備改善の助成がある自治体があります。 | 自治体ごとに対象者・金額・優先制度が異なります。購入後や工事後は対象外になることがあります。 |
| 福祉用具レンタル | 手すり、歩行器、車椅子、介護ベッド、移乗用具などを工事より先に試せる場合があります。 | 工事より柔軟ですが、住宅構造と合わないこともあります。現地で確認します。 |
| 補装具・車椅子関連 | 車椅子、電動車椅子、姿勢保持、意思伝達機器などが別制度で関わる場合があります。 | 住宅改修とは申請窓口や流れが違うことがあります。併用する場合は早めに整理します。 |
工事を先に始めると、制度の対象外になることがあります。
見積もりを取る前、少なくとも契約・着工の前に、ケアマネジャー、地域包括支援センター、相談支援専門員、自治体窓口へ確認してください。
業者へ依頼するときのコツ
ALSの自宅改修では、一般的なリフォームの視点だけでは足りないことがあります。 きれいにする工事ではなく、本人の動作、介助者の立ち位置、車椅子、呼吸機器、夜間対応を含めた生活のための工事として依頼することが大切です。
1. 現地確認には専門職に入ってもらう
理学療法士、作業療法士、訪問看護師、ケアマネジャー、福祉用具業者などが現地で見ると、本人の動き、介助者の動き、福祉用具との相性を確認しやすくなります。 手すりの位置一つでも、今の動作と数か月後の動作で合う場所が変わることがあります。
2. 実際に使う車椅子・歩行器・ベッドを前提にする
図面だけでは、車椅子の回転、足置き、リクライニング時の長さ、介助者の立ち位置が分かりにくいことがあります。 可能であれば、実際に使う予定の車椅子、歩行器、介護ベッド、リフトを前提に測ります。
3. 工事と福祉用具を分けずに考える
手すりをつけるより、ベッドの向きを変える方が安全になることがあります。 トイレを大きく改修するより、ポータブルトイレや昇降便座を組み合わせる方が合うこともあります。 工事だけで解決しようとせず、福祉用具と組み合わせて検討します。
4. 夜間の動きを必ず確認する
日中は問題なくても、夜間は眠気、暗さ、急ぎ、呼吸機器、吸引、トイレ、家族の疲労が重なります。 ベッドからトイレ、ベッドから吸引器、家族の寝室から本人のベッドまでの動線を確認してください。
依頼時は「ここに手すりをつけたい」だけでなく、「夜にトイレへ行くときに転ばないようにしたい」「車椅子で便器に横付けしたい」「吸引器をベッド横で安全に使いたい」のように、目的を具体的に伝えると判断しやすくなります。
改修でありがちな行き違い
| 行き違い | 起こりやすい問題 | 避けるために確認すること |
|---|---|---|
| 今の歩行状態だけで決める | 車椅子になったときに通れない、回れない、トイレに入れない。 | 歩行器、車椅子、電動車椅子、リフトまで想定して幅と動線を見る。 |
| 本人の動きだけを見る | 介助者が立てず、腰痛や転倒リスクが増える。 | 介助者がどこに立ち、どちらへ移乗するかを実際に動いて確認する。 |
| 手すりを増やせばよいと考える | 車椅子やリフトの邪魔になる、本人が使えない位置になる。 | 今使う手すりと、将来邪魔にならない位置を分けて考える。 |
| 浴室改修を急ぎすぎる | 大きな費用をかけても、疲労や呼吸状態で使い続けにくい。 | シャワーチェア、訪問入浴、清拭、家族介助量を含めて検討する。 |
| 機器の置き場を後回しにする | 吸引器、呼吸機器、電動ベッド、車椅子充電器で配線が危険になる。 | ベッド横、車椅子置き場、非常時の電源を最初から確認する。 |
| 制度申請前に工事を始める | 本来使えた制度が使えない、自己負担が増える。 | 契約・着工前に、自治体・ケアマネジャー・相談支援専門員へ確認する。 |
ALSの改修で大切なのは、今の困りごとを減らしながら、少し先の変化にも対応しやすい余白を残すことです。
相談前にまとめたいメモ
自宅改修の相談では、家の図面や写真だけでなく、本人がどの場面で困っているか、誰がどの介助をしているか、今後どの機器を使う予定があるかをまとめると話が進みやすくなります。
まず見る5項目
- 転倒やつまずきが多い場所。
- トイレ、ベッド、玄関、浴室で困っている動作。
- 歩行器、車椅子、介護ベッド、リフトを使う予定。
- 呼吸機器、吸引器、意思伝達機器の置き場所と電源。
- 介助者が腰や肩を痛めている動作。
コピーして使える自宅改修相談メモ
作成日:__年__月__日 本人氏名:________ 診断名:ALS 【いま一番困っている場所】 □ ベッド〜トイレ □ トイレ □ 寝室 □ 玄関 □ 廊下 □ 浴室・洗面所 □ 居室・食事場所 □ 外出動線 その他:________ 【困っている動作】 □ 立ち上がり □ 歩行 □ 方向転換 □ 段差 □ トイレ移乗 □ 衣服操作 □ 入浴 □ 寝返り □ ベッドから車椅子への移乗 □ 夜間トイレ □ 吸引・呼吸機器の使用 その他:________ 【使っている・使う予定の用具】 □ 杖 □ 歩行器 □ 手動車椅子 □ 電動車椅子 □ ティルト・リクライニング車椅子 □ 介護ベッド □ ポータブルトイレ □ 移乗ボード □ 介護リフト □ NPPV □ 人工呼吸器 □ 吸引器 □ カフアシスト □ 意思伝達機器 その他:________ 【家の確認】 玄関段差:□ あり □ なし 廊下幅:__cm ドア幅:__cm トイレに車椅子で入れる:□ はい □ いいえ □ 未確認 ベッド両側に介助スペース:□ あり □ なし コンセント不足:□ あり □ なし 延長コードが動線を横切る:□ あり □ なし 夜間照明:□ 十分 □ 不足 【介助者の負担】 □ 腰が痛い □ 肩が痛い □ 夜間対応がつらい □ 移乗が怖い □ トイレ介助が難しい □ 入浴介助が難しい □ 本人を持ち上げる介助が増えている 【相談したいこと】 □ 手すり □ 段差解消 □ 扉変更 □ トイレ改修 □ 浴室改修 □ 玄関スロープ □ ベッド配置 □ 車椅子動線 □ 電源・配線 □ 制度申請 その他:________
写真を撮る場合は、段差、廊下幅、ドア、トイレ、ベッドまわり、コンセント、車椅子を置きたい場所を撮っておくと相談しやすくなります。
早めに相談したい目安
次のような変化がある場合は、自宅改修や住環境の見直しを早めに相談したい場面です。
- 家の中でつまずきや転倒が増えた。
- 夜間トイレが怖い、家族が起きて介助する回数が増えた。
- トイレや浴室で立ち座りが難しくなってきた。
- ベッドからの起き上がり、移乗、寝返りがつらい。
- 車椅子、歩行器、介護ベッド、リフトを検討している。
- 吸引器、NPPV、人工呼吸器、意思伝達機器の置き場所に困っている。
- 介助者が腰や肩を痛めている。
- 退院前に家の準備が必要になった。
- 浴室やトイレの介助で転倒しそうになった。
- 制度を使いたいが、何から申請するか分からない。
退院前・車椅子導入前は特に早めに確認する
入院後に在宅へ戻る予定がある場合、退院直前に家の問題が見つかると準備が間に合わないことがあります。 退院支援、訪問看護、福祉用具、住宅改修、呼吸機器の配置は同時に進むことが多いため、早めに自宅写真や図面、動線の情報を共有してください。
車椅子を導入する前も、実機のサイズ、曲がれる場所、トイレ横付け、ベッド横付け、玄関の出入り、充電場所を確認しておくことが大切です。
よくある質問
ALSの自宅改修は大がかりな工事から始めるべきですか?
一律ではありません。手すり、置き型スロープ、家具配置、照明、コード整理、介護ベッドの位置変更など、小さい変更で安全性が上がることもあります。大きな工事は、車椅子、移乗、介助量、呼吸機器の配置まで見てから判断します。
まだ歩けるなら自宅改修は早すぎますか?
早すぎるとは限りません。家の中でつまずく、夜間トイレが怖い、段差で疲れる、浴室やトイレで介助が必要になっている場合は、早めに環境を見直す価値があります。制度申請や工事には時間がかかるため、前倒しで相談する方が安心です。
賃貸マンションでもできることはありますか?
あります。工事が難しい場合でも、置き型手すり、突っ張り型手すり、置き型スロープ、滑り止め、家具配置、ポータブルトイレ、介護ベッド、電源整理などで負担を減らせることがあります。原状回復や家主の承諾が必要な場合は、事前に確認してください。
トイレと浴室、どちらを先に改修すべきですか?
多くの場合、使用頻度が高く、夜間にも必要になるトイレの優先度が高くなりやすいです。ただし、転倒リスク、介助量、本人の希望、訪問入浴の利用可否、浴室の危険度で変わります。毎日何回使うか、介助者がどれだけ危険かで判断します。
車椅子をまだ決めていない状態で改修してもよいですか?
先にできる整理はありますが、通路幅、方向転換、トイレ横付け、玄関スロープは車椅子の種類で変わります。できれば車椅子の候補、サイズ、ティルト・リクライニングの有無を確認してから、大きな工事を決める方が安全です。
介護保険の住宅改修は工事後でも申請できますか?
原則として、工事前に相談・申請する流れで考えてください。工事後では対象外になることがあります。着工前に、ケアマネジャー、地域包括支援センター、自治体窓口へ確認してください。
業者はどのように選ぶとよいですか?
介護リフォームの経験があり、ケアマネジャー、理学療法士、作業療法士、福祉用具業者と一緒に現地確認できる業者が望ましいです。見た目のリフォームだけでなく、車椅子、移乗、介助者の立ち位置、呼吸機器の電源まで確認できるかが大切です。
呼吸機器や吸引器を使う場合、住宅改修で何を見ますか?
ベッド横の置き場所、電源、延長コードの安全、夜間に手が届く位置、家族が操作しやすい動線、停電時の予備電源、機器が落ちない配置を確認します。呼吸管理チームや機器業者にも相談してください。
参考文献・参考情報
-
厚生労働省. 介護保険における住宅改修.
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001016043.pdf -
厚生労働省. 介護保険における住宅改修.
https://www.mhlw.go.jp/general/seido/toukatsu/suishin/dl/07.pdf -
厚生労働省. 日常生活用具給付等事業の概要.
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/yogu/seikatsu.html -
National Institute for Health and Care Excellence. Motor neurone disease: assessment and management. NICE guideline NG42.
https://www.nice.org.uk/guidance/ng42/chapter/recommendations -
NICE. Quality statement 3: Provision of equipment and adaptations based on multidisciplinary team assessment.
https://www.nice.org.uk/guidance/qs126/chapter/quality-statement-3-provision-of-equipment-and-adaptions-based-on-multidisciplinary-team-assessment -
MND Association. Needs assessment, home care and home adaptations.
https://www.mndassociation.org/support-and-information/health-and-social-care-services/having-your-needs-assessed -
MND Association. Equipment and wheelchairs.
https://www.mndassociation.org/sites/default/files/2022-11/11C%20Equipment%20and%20wheelchairs.pdf -
MND Australia. Assistive technology and home modifications.
https://www.mndaustralia.org.au/mnd-connect/living-with-mnd/equipment-assistive-technology-home-modifications -
Chase CA, Mann K, Wasek S, Arbesman M. Systematic Review of the Effect of Home Modification and Fall Prevention Programs on Falls and the Performance of Community-Dwelling Older Adults. American Journal of Occupational Therapy. 2012.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22549593/
ALS/MNDでは、病状の変化に合わせて設備・用具・住環境を早めに評価し、必要に応じて見直すことが推奨されています。日本の制度利用では、介護保険、障害福祉、自治体制度の扱いが異なるため、工事前に確認することが重要です。
まとめ
ALSの自宅改修では、段差をなくすことだけでなく、移動、移乗、トイレ、寝室、玄関、浴室、車椅子、呼吸機器、吸引器、夜間介助まで含めて考えることが重要です。
優先順位は、転倒しやすい場所、毎日何度も使う場所、介助量が大きい場所、少し先に車椅子や呼吸機器が関わりそうな場所から決めます。 工事だけでなく、福祉用具、家具配置、照明、コード整理、ベッド位置の見直しで負担が下がることもあります。
介護保険や障害福祉の制度は、工事前の申請が必要になることが多いため、契約・着工の前に、ケアマネジャー、相談支援専門員、自治体窓口、リハビリ職、福祉用具業者へ相談してください。
- 本ページは一般的な情報提供を目的としたもので、個別の工事指示、制度利用の可否、費用確定を行うものではありません。
- 実際の改修内容、費用、工期、制度対象は、身体機能、住宅構造、介助量、自治体制度、介護保険・障害福祉の状況によって変わります。
- 工事の前には、本人だけでなく介助者の動き、車椅子、呼吸機器、吸引器、夜間動線、電源の位置を含めて現地で確認してください。
- 介護保険、日常生活用具、自治体独自助成は、原則として事前相談・事前申請が重要です。工事後に申請しても対象外になることがあります。

