ALSと診断されたら仕事はどうする?休職・退職・傷病手当金・障害年金の整理

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ALSと診断されたら仕事はどうする?休職・退職・傷病手当金・障害年金の整理

ALSと診断されたあと、すぐに退職すべきか、まず休職を使うべきか、働き方を変えれば続けられるのか、収入はどうなるのかで迷う方は少なくありません。 仕事を続けたい気持ちがあっても、通勤、転倒リスク、手の使いにくさ、発話、嚥下、疲労、通院、呼吸の変化が重なると、同じ働き方を続けることが難しくなることがあります。

ただし、ALSと診断されたからといって、直ちに退職を決める必要があるとは限りません。 休職、時短、在宅勤務、配置転換、産業医面談、傷病手当金、障害年金、失業給付の受給期間延長など、順番を間違えない方がよい制度があります。

このページでは、ALSと診断されたあとに整理したい「休職」「退職」「傷病手当金」「障害年金」「失業給付」「会社へ伝える内容」を、退職を急がないための順番でまとめます。

本ページは一般的な情報整理です。制度の適用は、雇用形態、健康保険の種類、会社規程、給与の支払い、退職日、初診日、年金加入状況、就労不能期間、障害の状態によって変わります。実際の手続きでは、勤務先の人事労務、健康保険組合・協会けんぽ、年金事務所、ハローワーク、主治医、産業医、社会保険労務士などへ確認してください。

結論

  • ALSと診断された直後は、退職を急ぐより、まず「仕事を続ける条件」「休職制度」「傷病手当金」「障害年金の準備」を順番に確認することが大切です。
  • 仕事を続けるかどうかは、気持ちだけでなく、通勤、転倒リスク、疲労、手の操作、発話、嚥下、呼吸、通院頻度、翌日の反動を分けて見ます。
  • 会社員など健康保険の被保険者で、業務外の病気により働けず給与が出ない場合、傷病手当金の対象になり得ます。
  • 傷病手当金は、連続3日の待期後、4日目以降の仕事に就けない日が対象となり、支給開始日から通算1年6か月が上限です。
  • 退職後も傷病手当金を続けられる場合がありますが、被保険者期間、退職日の状態、退職日に出勤していないかなど、確認すべき条件があります。
  • 退職後すぐに働けない場合、雇用保険の基本手当をすぐ受けるのではなく、受給期間延長を検討することがあります。
  • 障害年金は、退職しているかどうかだけで決まる制度ではありません。初診日、障害認定日、保険料納付状況、障害の状態を早めに整理します。
  • ALSでは症状が変化しやすいため、仕事の判断は一度で決め切らず、休職、勤務調整、退職、制度申請を段階的に見直す考え方が現実的です。

このページで整理すること

このページは、ALSと診断されたあとに「仕事を休むか、辞めるか、制度をどう使うか」を整理するためのページです。 仕事を続けるための安全条件を詳しく見るページ、障害年金の個別請求を解説するページ、福祉制度全体をまとめるページとは役割を分けています。

ここでは、退職を急ぐ前に確認したい順番、会社とのやり取り、休職、傷病手当金、退職後の注意、障害年金、失業給付を中心に扱います。

テーマ 主に見ること このページでの扱い
仕事を続ける条件 通勤、業務内容、疲労、転倒、発話、手の操作、在宅勤務、配置転換。 休職・退職を判断する前提として整理します。
休職 会社の就業規則、休職期間、有給休暇、病気休暇、産業医面談。 退職前に確認したい選択肢として扱います。
傷病手当金 健康保険、待期、労務不能、給与支給、支給期間、退職後継続。 このページの中心の一つです。条件と注意点を整理します。
退職 退職日、健康保険、傷病手当金継続、雇用保険、国民健康保険、任意継続。 退職前に確認すべきことを整理します。
障害年金 初診日、障害認定日、障害基礎年金、障害厚生年金、診断書。 早めに準備したい制度として扱います。
失業給付 働く意思と能力、求職活動、病気で働けない場合の受給期間延長。 退職後すぐ働けない場合の注意点として扱います。

仕事の判断では、「働きたいか」だけでなく、「安全に働ける条件があるか」「休んだ場合の収入があるか」「辞めた後に使える制度を逃さないか」を分けて確認します。

最初に整理したい順番

ALSと診断されたあとに仕事のことで迷ったときは、「続けるか、辞めるか」をいきなり決めるより、次の順で整理すると判断しやすくなります。

順番 確認すること なぜ先に見るか
1 今の業務で何が負担になっているか 症状名だけでは、会社側が必要な配慮を判断しにくいためです。
2 勤務調整で続けられる条件があるか 在宅勤務、時短、配置転換、通勤調整で続けられる場合があります。
3 休職制度・病気休暇・有給休暇 退職前に使える制度があるかを確認します。
4 傷病手当金の対象になりそうか 休職中や退職後の生活費に直結するためです。
5 退職する場合の時期と条件 退職日や退職日の出勤有無が制度に影響することがあります。
6 障害年金・雇用保険・健康保険の整理 退職後の収入、保険料、年金請求、失業給付の扱いに関係します。

診断直後は不安が強く、退職を急ぎたくなることがあります。しかし、休職や傷病手当金の確認をしないまま退職すると、後から選択肢が狭くなることがあります。

仕事を続けられるかを見る条件

ALSで仕事を続けるかどうかは、病名だけでは決められません。 同じALSでも、手の症状が中心の方、足の症状が中心の方、発話や嚥下が先に問題になる方、呼吸や疲労が目立つ方では、仕事への影響が違います。

大切なのは、「できるか、できないか」だけでなく、条件を揃えた状態で続けられるかを見ることです。 その日の業務だけでなく、通勤、翌日の反動、安全性、職場への説明、通院との両立も含めて考えます。

見る項目 確認したいこと 会社へ相談しやすい配慮
通勤 駅、階段、満員電車、雨の日、転倒リスク、通勤後の疲労。 在宅勤務、時差出勤、タクシー利用、出社日数の調整。
歩行・移動 社内移動、トイレ、会議室移動、外回り、出張。 席の配置変更、会議のオンライン化、外出業務の変更。
手の操作 PC入力、マウス操作、筆記、書類整理、道具の使用。 音声入力、入力補助、業務量調整、事務作業の分担。
発話 電話、会議、接客、説明、長時間会話の疲労。 チャット中心、メール中心、議事録補助、電話業務の変更。
嚥下・食事 昼食、会食、むせ、食事時間、疲労。 昼休みの調整、食事場所の配慮、会食業務の見直し。
疲労 午後に動けない、翌日まで反動が残る、通院後に働けない。 時短勤務、週の勤務日数調整、休憩時間の確保。
呼吸 息切れ、横になる必要、会話時の息苦しさ、夜間睡眠の影響。 業務量調整、休憩、在宅勤務、主治医・産業医との連携。
通院・検査 定期受診、リハビリ、装具、呼吸機能検査、福祉制度相談。 通院休暇、有給利用、勤務時間調整、休職の検討。

仕事を続ける判断では、「今日できた」だけでなく、「同じ条件で1週間続けられるか」「翌日に強い反動が残らないか」「転倒や誤嚥などの安全面が守れるか」を見ます。

会社へ伝える前に整理すること

会社へ病名を伝えるかどうか、どこまで伝えるかは悩みやすい部分です。 ただ、勤務調整や休職、産業医面談、傷病手当金を使う場合、何らかの形で会社へ情報を伝える必要が出てくることがあります。

伝えるときは、病名だけでなく、仕事で困る場面と必要な配慮を分けて整理すると、会社側も判断しやすくなります。

会社へ伝える内容の例

伝える内容 具体例 注意点
診断・通院 ALSと診断され、脳神経内科で通院中。定期受診が必要。 診断名をどこまで共有するかは、本人の希望と職場の必要性で決めます。
困る業務 長時間歩行、出張、電話対応、筆記、重い物の移動、階段移動が難しい。 「できない」だけでなく、条件を変えればできることも伝えます。
必要な配慮 在宅勤務、時短、時差出勤、会議のオンライン化、席の移動、休憩。 希望だけでなく、主治医や産業医の意見書が必要になる場合があります。
今後の見通し 症状変化を見ながら数か月単位で勤務条件を見直したい。 進行を断定せず、定期的な見直しを前提にします。
休職の希望 通院・検査・体調整理のため休職制度を確認したい。 就業規則、給与、傷病手当金、社会保険料負担を確認します。

産業医・人事・上司への伝え方

直属上司だけに伝えると、制度面の話が進まないことがあります。 休職、時短、在宅勤務、配置転換、傷病手当金に関わる場合は、人事労務や産業医との面談が必要になることがあります。

病名を伝える範囲は慎重に決めてください。

職場全体へ広く共有する必要があるとは限りません。勤務調整に必要な相手へ、必要な範囲で共有することが大切です。

休職を考えるときの視点

ALSと診断されても、すぐに退職が必要とは限りません。 まずは休職、時短勤務、在宅勤務、配置転換、業務量調整などで続けられるかを確認する方が、制度面でも整理しやすいことがあります。

休職を考えやすい場面

  • 通勤負担が大きく、出社だけで強い疲労が出る。
  • 転倒や階段移動が不安になってきた。
  • 手の機能低下でPC入力や筆記に時間がかかる。
  • 発話や嚥下の問題で会議、電話、接客が難しい。
  • 検査、通院、呼吸機能評価、福祉制度相談が増える。
  • 症状変化があり、今後の仕事量を見直す時間が必要。
  • 仕事後や翌日に強い反動が残る。

休職前に確認したいこと

確認項目 見ること 相談先
休職制度 休職できる期間、延長可否、復職判定、退職扱いになる条件。 人事労務、就業規則。
有給休暇・病気休暇 休職前に使える休暇、給与の有無、傷病手当金との関係。 人事労務、健康保険。
給与・賞与 休職中の給与、賞与、社会保険料、住民税の扱い。 人事労務、給与担当。
傷病手当金 対象条件、申請書、医師証明、会社証明、申請サイクル。 健康保険組合、協会けんぽ、人事労務。
産業医面談 勤務可能性、就業上の配慮、復職条件、休職の必要性。 産業医、人事、主治医。
主治医意見書 勤務制限、通勤制限、就業上の配慮、休職の必要性。 主治医、医療ソーシャルワーカー。

休職は「仕事をあきらめること」ではありません。体調、制度、収入、今後の働き方を整理するための期間として使える場合があります。

退職を考えるときの視点

退職を選ぶ場合でも、退職の前後で使える制度が変わることがあります。 とくに、健康保険の資格、傷病手当金の継続、雇用保険、障害年金、社会保険料の扱いは重要です。

退職の意思を伝える前に、会社の休職制度、傷病手当金、退職後の健康保険、障害年金の準備、失業給付の受給期間延長を確認しておくと、不利な順番を避けやすくなります。

退職前に確認したいこと

  • 休職制度を使い切る前に退職する必要があるか。
  • 傷病手当金を受けている、または受けられる状態か。
  • 退職日までに継続して1年以上の被保険者期間があるか。
  • 退職日に出勤扱いにならないか。
  • 退職後の健康保険を、任意継続、国民健康保険、家族の扶養のどれにするか。
  • 雇用保険の基本手当をすぐ受けられる状態か、受給期間延長を考える状態か。
  • 障害年金の初診日、受診歴、診断書準備ができているか。
  • 会社から受け取る書類。離職票、源泉徴収票、健康保険資格喪失証明書など。

退職後すぐに基本手当を受けたいと思っても、病気で働けない状態が続く場合は、通常の失業給付より先に受給期間延長を検討することがあります。

また、傷病手当金の退職後継続は条件があります。退職日や退職日の勤務扱いが関係することがあるため、退職を決める前に健康保険側へ確認してください。

傷病手当金の基本

傷病手当金は、健康保険の被保険者が、業務外の病気やけがで働けず、給与の支払いがない、または十分でないときに生活を支える制度です。 ALSでも、勤務継続が難しくなり休業する場合は、条件を満たせば対象になり得ます。

一般的な支給条件

条件 内容 確認先
業務外の病気やけが 仕事によるけがや病気ではなく、業務外の傷病として療養していること。 健康保険、会社。
仕事に就けない 医師の意見などにより、今の仕事に就けない状態であること。 主治医、健康保険。
待期3日 連続して3日間休んだ後、4日目以降の仕事に就けなかった日が対象になります。 健康保険、会社。
給与が出ていない 休んだ期間について給与が支払われない、または傷病手当金より少ないこと。 会社、給与担当。
申請書の提出 本人記入、事業主証明、医師の意見などが必要になります。 健康保険、会社、主治医。

支給期間と金額の大まかな考え方

傷病手当金は、支給開始日から通算して1年6か月が上限です。 金額は標準報酬月額をもとに計算され、目安として1日あたりの支給額は、支給開始日以前の標準報酬月額をもとにした額の3分の2相当で計算されます。 実際の金額は加入している健康保険に確認してください。

申請のサイクル

傷病手当金は、自動で振り込まれる制度ではありません。 休業期間ごとに申請が必要で、会社の証明や医師の記入が必要になります。 会社の給与締めに合わせて1か月単位で申請することが多いですが、健康保険や会社の案内に従ってください。

「ALSだから必ず出る」「退職すれば自動で出る」という制度ではありません。働けない状態、給与の有無、健康保険の資格、申請書類の条件をそろえて確認します。

退職後の傷病手当金で注意したいこと

傷病手当金は、一定の条件を満たす場合、退職後も続けて受けられることがあります。 ただし、退職すれば誰でも継続できるわけではありません。 退職前に条件を確認することが大切です。

退職後継続で確認したい条件

確認項目 見ること 注意点
被保険者期間 資格喪失日の前日までに、継続して1年以上の被保険者期間があるか。 任意継続や国民健康保険の期間は扱いが異なるため確認します。
退職日前日の状態 退職日前日に傷病手当金を受けている、または受けられる状態か。 退職日までの待期完成や休業状態が関係します。
退職日の勤務 退職日に出勤扱いになっていないか。 退職日に働ける状態と扱われると、継続給付に影響することがあります。
継続して働けない状態 いったん働ける状態になった後、再び働けなくなったものではないか。 退職後の継続給付では、途中で労務可能になるかが問題になります。
障害年金との調整 同じ傷病で障害厚生年金などを受ける場合の調整があるか。 健康保険側、年金側の両方に確認します。

退職日は制度上大切です。

傷病手当金の継続を考えている場合、退職日を出勤扱いにするかどうか、退職日前に待期が完成しているか、退職後も働けない状態が続いているかを、会社と健康保険に確認してください。

障害年金との関係

ALSでは、病状の進行に伴って障害年金の検討が必要になることがあります。 障害年金は、仕事を辞めてからでないと請求できない制度ではありません。 初診日、障害認定日、保険料納付要件、障害の状態をもとに判断されます。

早めに整理したいこと

  • 初診日はいつか。最初に症状を相談した医療機関はどこか。
  • 初診日に加入していた年金制度は、国民年金か厚生年金か。
  • 保険料納付要件を満たしているか。
  • 障害認定日はいつになるか。
  • 現在の身体機能、歩行、手の操作、発話、嚥下、呼吸、日常生活動作の状態。
  • 診断書を依頼できる主治医がいるか。
  • 病歴・就労状況等申立書に書く経過を整理できるか。

障害基礎年金と障害厚生年金

制度 大まかな見方 確認したいこと
障害基礎年金 初診日が国民年金加入期間などにある場合に関係します。等級は1級・2級です。 初診日、納付要件、障害認定日、日常生活の困難さ。
障害厚生年金 初診日に厚生年金に加入していた場合に関係します。1級・2級・3級などがあります。 初診日に会社員だったか、厚生年金加入中だったか。
事後重症請求 障害認定日に該当しなかった場合でも、その後悪化して該当したときに請求する方法です。 請求が遅れると受給開始が遅れることがあります。
傷病手当金との関係 同じ傷病で障害厚生年金などと重なる場合、傷病手当金に調整が入ることがあります。 健康保険側と年金側の両方に確認します。

障害年金は、退職するかどうかとは別に早めに準備したい制度です。初診日を後から確認しようとすると、医療機関の記録や受診歴の整理に時間がかかることがあります。

失業給付と受給期間延長の考え方

雇用保険の基本手当は、原則として「働く意思と能力があり、求職活動ができる状態」で受ける制度です。 ALSで退職したあと、すぐには働けない状態が続く場合、通常の失業給付をすぐ開始するのではなく、受給期間延長を検討することがあります。

受給期間延長を考える場面

  • 退職後も病気のため30日以上働けない状態が続く。
  • すぐ求職活動を始める体力や安全性がない。
  • 治療、通院、制度整理、生活環境の整備が必要。
  • 将来、働ける条件が整ったときに求職活動を考えたい。

病気やけがで30日以上引き続いて職業に就くことができない場合、申出により基本手当の受給期間を最大4年間まで延長できるとされています。 具体的な申請方法、期限、必要書類はハローワークで確認してください。

健康保険の傷病手当金と雇用保険の傷病手当は別物

「傷病手当金」と「傷病手当」は名前が似ていますが、制度が違います。 健康保険の傷病手当金は、健康保険の被保険者が病気で働けないときの給付です。 雇用保険の傷病手当は、離職後に求職申込みをした後、病気やけがで職業に就けない場合に関係する制度です。

退職後に「働けない状態」なのか、「働く意思と能力があり求職活動できる状態」なのかで扱いが変わります。退職後の動き方は、自己判断せずハローワークに確認してください。

自営業・フリーランスの場合

自営業、フリーランス、国民健康保険の方は、会社員の健康保険にある傷病手当金と同じ仕組みを使えないことが多くなります。 そのため、仕事を減らす、休む、廃業する、収入を補う制度を使う場合、早めに別の準備が必要です。

確認したいこと

  • 加入している健康保険に傷病手当金に相当する給付があるか。
  • 国民年金の障害基礎年金の準備が必要か。
  • 障害者手帳、難病医療費助成、自治体の制度が使えるか。
  • 仕事量を減らす場合、契約、納期、顧客対応をどう調整するか。
  • 配偶者や家族の扶養、世帯収入、社会保険料の見直しが必要か。
  • 青色申告、廃業届、休業状態の扱いなど、税務上の確認が必要か。

自営業やフリーランスでは、会社員よりも「休んだときの収入補填」が弱くなりやすいため、障害年金、難病医療費助成、家計、事業整理を早めに分けて考えることが大切です。

動く前に確認したいチェックポイント

退職、休職、申請を進める前に、次の項目を確認しておくと、制度の取りこぼしを減らしやすくなります。

確認項目 確認する内容 相談先
就業規則 休職制度、病気休暇、復職条件、休職満了後の扱い。 人事労務、会社規程。
健康保険 傷病手当金、任意継続、退職後の保険、被扶養者の可否。 健康保険組合、協会けんぽ、会社。
給与 休職中の給与、有給、賞与、社会保険料、住民税。 給与担当、人事労務。
傷病手当金 待期、労務不能、申請期間、退職後継続、医師証明。 健康保険、主治医、会社。
退職日 退職日に出勤するか、欠勤扱いか、有給扱いか。 会社、健康保険。
障害年金 初診日、年金加入状況、障害認定日、診断書、受診歴。 年金事務所、社会保険労務士、主治医。
雇用保険 すぐ働ける状態か、受給期間延長が必要か。 ハローワーク。
仕事の配慮 在宅勤務、時短、業務変更、通勤調整、産業医面談。 人事、上司、産業医、主治医。

仕事の判断は一回で決め切らなくてもよい

ALSでは、数か月で状況が変わることがあります。 今は勤務調整、次に休職、数か月後に退職、または在宅勤務への切り替えなど、段階的に見直す考え方もあります。

相談前にまとめたいメモ

人事、産業医、健康保険、年金事務所、ハローワークへ相談するときは、病名だけでなく、仕事への影響と制度確認に必要な情報をまとめておくと話が進みやすくなります。

コピーして使える仕事・休職・退職相談メモ

作成日:__年__月__日
氏名:________
診断名:ALS

【現在の働き方】
勤務先:________
雇用形態:□ 正社員 □ 契約社員 □ パート □ 派遣 □ 自営業 □ その他
勤務時間:__時〜__時
通勤方法:________
在宅勤務:□ あり □ なし
健康保険:□ 健康保険組合 □ 協会けんぽ □ 共済 □ 国民健康保険 □ 不明
雇用保険:□ 加入 □ 未加入 □ 不明

【仕事で困っていること】
□ 通勤がつらい
□ 階段・歩行が不安
□ 転倒が不安
□ PC入力が遅くなった
□ 筆記が難しい
□ 電話・会議が難しい
□ 発話が聞き取られにくい
□ 食事・嚥下が不安
□ 疲労が強い
□ 翌日に反動が残る
□ 通院が増えた
□ 呼吸が苦しい
その他:________

【希望する勤務調整】
□ 在宅勤務
□ 時短勤務
□ 時差出勤
□ 出社日数の調整
□ 配置転換
□ 外出業務の減少
□ 電話業務の減少
□ PC入力補助
□ 休憩時間の確保
□ 休職
その他:________

【会社に確認したいこと】
□ 休職制度の有無
□ 休職できる期間
□ 有給休暇・病気休暇
□ 休職中の給与
□ 社会保険料の負担
□ 傷病手当金の手続き
□ 産業医面談
□ 復職条件
□ 退職する場合の書類

【傷病手当金について確認したいこと】
□ 対象になりそうか
□ 待期3日が完成しているか
□ 申請書の入手方法
□ 医師記入欄
□ 会社証明
□ 退職後も継続できる条件
□ 退職日の扱い

【障害年金について確認したいこと】
初診日:__年__月__日ごろ
初診の医療機関:________
初診日に加入していた年金:□ 国民年金 □ 厚生年金 □ 共済 □ 不明
診断書を依頼できる主治医:□ いる □ 不明
受診歴の整理:□ 済 □ 未

【退職後に確認したいこと】
□ 健康保険をどうするか
□ 雇用保険の受給期間延長
□ 障害年金
□ 障害者手帳
□ 難病医療費助成
□ 住民税・社会保険料
□ 家計の見直し

【相談したいこと】
________

メモの目的は、すぐに結論を出すことではありません。仕事を続ける条件、休む条件、辞める前に確認する制度を分けて、後悔しにくい順番で進めるためです。

よくある質問

ALSと診断されたらすぐ退職した方がよいですか?

一律ではありません。仕事内容、通勤負担、会社制度、症状の進み方によっては、まず勤務調整や休職を使う方が、収入面や制度面の整理をしやすいことがあります。退職前に、休職制度、傷病手当金、障害年金、雇用保険を確認してください。

会社にはALSと伝えるべきですか?

必ずしも職場全体に伝える必要はありません。ただし、勤務調整、休職、産業医面談、傷病手当金の手続きには、一定の情報共有が必要になることがあります。誰に、どこまで、何の目的で伝えるかを整理してから話す方が安全です。

傷病手当金はALSでも対象になりますか?

条件を満たせば対象になり得ます。一般には、健康保険の被保険者で、業務外の病気により働けず、連続3日の待期後に4日以上仕事を休み、給与が出ていない、または十分でないことなどが条件になります。加入している健康保険に確認してください。

退職後も傷病手当金を受けられますか?

一定条件を満たす場合は、退職後も継続して受けられることがあります。退職日前日までに継続して1年以上の被保険者期間があること、退職時に傷病手当金を受けているか受けられる状態であることなどを確認します。退職日や退職日の勤務扱いも関係するため、退職前に健康保険へ確認してください。

有給休暇を使っている間も傷病手当金は出ますか?

給与が支払われている期間は、傷病手当金が支給されない、または調整されることがあります。ただし、待期3日には有給休暇や公休日を含めることができます。給与支給の有無と申請期間を、会社と健康保険に確認してください。

障害年金は仕事を辞めてからでないと請求できませんか?

退職の有無だけで決まる制度ではありません。初診日、障害認定日、保険料納付状況、障害の状態などで判断されます。働いている場合でも、状態によっては検討が必要になることがあります。早めに年金事務所や社会保険労務士へ相談してください。

退職したらすぐ失業給付を受けるべきですか?

すぐ働ける状態で求職活動ができる場合と、病気で30日以上働けない場合では扱いが変わります。ALSで退職後すぐに働けない状態なら、基本手当の受給期間延長をハローワークに確認してください。

休職中に社会保険料や住民税はどうなりますか?

休職中に給与が出ない場合でも、社会保険料や住民税の支払いが続くことがあります。会社が一時的に立て替える、本人が振り込む、給与から後で精算するなど扱いは会社で異なります。休職前に人事労務へ確認してください。

自営業やフリーランスでも傷病手当金は使えますか?

会社員の健康保険と同じ傷病手当金は使えないことが多いです。加入している保険に給付があるかを確認し、障害年金、難病医療費助成、家計、事業の整理を早めに考える必要があります。

仕事の判断を家族にどう共有すればよいですか?

「続けたい」「辞めたい」だけでなく、通勤、疲労、収入、制度、家族の介護体制、今後の生活準備を分けて話すと整理しやすくなります。本人の希望と安全性、家計、家族の負担を同じ場で確認することが大切です。

参考文献・参考情報

  1. 全国健康保険協会. 傷病手当金.
    https://www.kyoukaikenpo.or.jp/benefit/injury_and_sickness_allowance/index.html
  2. 全国健康保険協会. 病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金).
    https://www.kyoukaikenpo.or.jp/faq/benefit/002/index.html
  3. 全国健康保険協会. 任意継続.
    https://www.kyoukaikenpo.or.jp/benefit/voluntary_continuation/index.html
  4. ハローワークインターネットサービス. 基本手当について.
    https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_basicbenefit.html
  5. ハローワークインターネットサービス. よくあるご質問(雇用保険について).
    https://www.hellowork.mhlw.go.jp/help/question05.html
  6. 日本年金機構. 障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額.
    https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/shougainenkin/jukyu-yoken/20150514.html
  7. 日本年金機構. 障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額.
    https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/shougainenkin/jukyu-yoken/20150401-02.html
  8. 日本年金機構. 障害基礎年金を受けられるとき.
    https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/shougai/seikyu/20140519-01.html
  9. 厚生労働省. 治療と仕事の両立について.
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000115267.html
  10. 治療と仕事の両立支援ナビ. 参考資料.
    https://chiryoutoshigoto.mhlw.go.jp/useful/download/

傷病手当金、障害年金、雇用保険は、それぞれ管轄と判断条件が異なります。ALSと診断された後は、退職を急がず、会社の休職制度、健康保険、年金、ハローワークを分けて確認することが重要です。

まとめ

ALSと診断されたあとに仕事をどうするかは、退職か継続かの二択ではありません。 まず、今の仕事を続ける条件、勤務調整、休職制度、傷病手当金、退職後の健康保険、障害年金、雇用保険を順番に整理することが大切です。

会社員など健康保険に加入している場合、病気で働けず給与が出ない期間に傷病手当金を使えることがあります。 退職後も継続できる場合がありますが、退職日前の状態や被保険者期間など条件があるため、退職前に確認してください。

障害年金は、退職してからでないと準備できない制度ではありません。 初診日、受診歴、障害認定日、診断書の準備は時間がかかるため、早めに整理しておく方が安心です。

ALSでは症状が変化しやすいため、仕事の判断は一度で決め切らず、数か月単位で見直す考え方もあります。 本人の希望、仕事の安全性、収入、制度、家族の生活を分けて確認し、必要な相談先につなげてください。

  • 本ページは一般的な情報提供を目的としたもので、個別の労務、法務、年金、雇用保険、健康保険の判断を行うものではありません。
  • 制度の適用は、雇用形態、健康保険の種類、会社規程、初診日、年金加入状況、給与支給、退職日、就労不能期間、障害の状態によって変わります。
  • 退職、休職、傷病手当金、障害年金、雇用保険の手続きは、勤務先、人事労務、健康保険組合・協会けんぽ、年金事務所、ハローワーク、社会保険労務士などへ確認してください。
  • 病状や仕事上の安全性に関わる判断は、主治医、産業医、職場の担当者と相談し、無理に勤務を続けないでください。