ALSの受診メモテンプレート|呼吸・嚥下・体重・疲労を短く伝える記録の作り方

ALSの受診では「前回から変わったこと」を短く渡すだけで、診察が進みやすくなる

ALSの診察では、筋力、発話、嚥下、呼吸、体重、疲労、生活介助、在宅支援、制度準備など、短い時間で確認したいことが多くなります。診察室で全部を思い出して話そうとすると、大切な変化ほど抜けやすくなります。このページでは、ALSの受診前に使えるメモを、呼吸・嚥下・体重・疲労を中心に整理します。

最初に押さえること:
ALSの受診メモは、長い日記ではなく、前回から何が変わったか、今日いちばん相談したいことは何か、家族から見て危ない変化はあるかを短く渡すためのものです。全部を埋めるより、主治医が次の判断に使いやすい情報を残すことを優先します。

このページの役割

このページは、ALSの定期受診や専門外来で使う「受診メモ」のページです。救急搬送や急な入院で使う引き継ぎシート、家族で決めごとを整理する家族会議シートとは役割が違います。

ページ・シート 主な場面 書く中心 このページとの違い
ALS受診メモ 定期受診、専門外来、訪問診療前 前回からの変化、呼吸、嚥下、体重、疲労、相談したいこと このページ。主治医に短く渡すためのメモです。
ALS救急受診用引き継ぎシート 救急搬送、急な受診、入院 診断名、主治医、薬、呼吸器、吸引、嚥下、意思疎通、緊急連絡先 急変時に医療者へ最低限の安全情報を伝えるものです。
ALS家族会議テンプレート 本人・家族・支援者で話し合う時 今月決めること、保留すること、家族の役割、外部支援 診察用ではなく、生活と支援体制を整えるためのものです。
在宅チーム・制度相談メモ 訪問看護、ケアマネ、相談支援、自治体相談 介助量、夜間対応、用具、サービス、家族負担 医療判断より、生活を支える体制づくりに使います。

結論:呼吸・嚥下・体重・疲労の4項目を毎回同じ順番で書く

受診ごとに書く順番を変えないことで、前回との比較がしやすくなります。ALSでは、呼吸、嚥下、栄養、発話、生活動作、家族介助がつながって変化するため、同じ項目を短く積み重ねることが大切です。

1. 呼吸

息切れだけでなく、横になる苦しさ、朝の頭痛、日中の眠気、咳の弱さ、痰の出しにくさ、感染時の悪化を書きます。

2. 嚥下

むせ、食事時間、水分の飲みにくさ、食後の疲れ、声の湿り、よだれ、痰の増加などを短く書きます。

3. 体重・栄養

体重変化、食事量、食事回数、食べられる形態、栄養補助、食事にかかる負担を書きます。

4. 疲労・生活

午後の崩れ、外出後の反動、会話後の疲れ、通院後の疲労、家族の介助量の変化を書きます。

受診メモでいちばん大事な考え方

ALSでは、本人が「まだ大丈夫」と感じていても、家族から見ると食事時間が長くなった、咳が弱くなった、声が小さくなった、夜間に苦しそう、体重が落ちている、通院後に寝込むなどの変化が見えることがあります。受診メモでは、本人の自覚と家族の観察を分けて書くと、診察で伝わりやすくなります。

書き方 弱い例 伝わりやすい例
前回との比較で書く 少し悪い 前回より食事時間が20分長くなった。夕食後は会話が減る。
頻度を書く むせる 水分で週3回ほどむせる。食後に声が湿ることがある。
時間帯を書く 息苦しい 夜間に目が覚める。朝に頭が重い日が週2回ある。
生活への影響を書く 疲れる 通院後は翌日まで横になる。外出後に食事量が落ちる。
家族の観察を書く 本人は大丈夫と言う 本人は大丈夫と言うが、家族から見ると咳が弱く、痰を出すのに時間がかかる。
「できる・できない」だけでなく「できるが消耗する」を書いてください。
ALSでは、短時間ならできる動作でも、その後に疲労が強く出ることがあります。受診では、診察室でできたかどうかだけでなく、日常で安全に続けられるか、翌日に反動が残るかも伝えます。

診察の最初に渡す「3行メモ」

診察時間が短い場合は、最初に3行だけ渡すと話が進みやすくなります。細かいメモは後から見せればよいので、最初の紙には一番大事な変化だけを書きます。

診察最初の3行メモ

今日いちばん相談したいこと
__________
前回から一番変わったこと
__________
家族から見て危ない変化
呼吸 / 嚥下 / 体重 / 疲労 / 転倒 / 介助量 / その他:____
使い方:
受付時に渡す、診察の最初に見せる、スマートフォン画面で見せる、家族が代わりに読むなど、使いやすい形で構いません。大事なのは、診察の最初に「今日の中心」を共有することです。

呼吸:息切れだけでなく、睡眠・咳・痰を一緒に書く

呼吸の変化は、日中の息切れよりも、睡眠の質、朝の頭痛、日中の眠気、咳の弱さ、痰の出しにくさとして先に気づかれることがあります。受診メモでは「息が苦しいか」だけでなく、睡眠と排痰も一緒に書きます。

呼吸で書く項目
  • 横になると苦しい、枕が増えた
  • 夜間に目が覚める、息苦しさで起きる
  • 朝の頭痛、頭が重い、起きた時から疲れている
  • 日中の眠気、集中低下、寝ても回復しない
  • 咳が弱い、痰が出しにくい、痰が増えると詰まる感じがある
  • 風邪や感染後に長引く、痰が切れない
  • NPPV、人工呼吸器、酸素、吸引、咳補助機器を使っているか
  • 家族から見て呼吸が浅い、寝ている時の様子が変わった

呼吸メモ

横になる苦しさ
なし・少し・強い / 枕の数:__個 / いつから:____
夜間
目が覚める:なし・週__回 / 息苦しさ:あり・なし / 睡眠時間:__時間
頭痛・頭重感:なし・週__回 / 起床時の疲れ:なし・少し・強い
日中
眠気:なし・少し・強い / 集中低下:あり・なし / 会話で疲れる:あり・なし
咳・痰
咳の弱さ:感じる・感じない / 痰:出せる・出しにくい / 詰まる感じ:あり・なし
機器
NPPV・人工呼吸器・酸素・吸引・咳補助:あり・なし / 使用時間:____
家族の観察
__________
呼吸苦、痰詰まり、会話が続かない、意識がぼんやりする場合は早めに医療へ相談してください。
受診メモは通常診察の準備には役立ちますが、急な呼吸苦や痰詰まりがある場合は、メモ作成よりも主治医・訪問看護・救急への相談を優先してください。

呼吸の見逃しサインは、筋ジストロフィー・ミオパチーの呼吸ケアも確認してください。

咳・痰・吸引:感染時に困ることを先に書く

ALSでは、普段は何とか過ごせていても、風邪、発熱、痰の増加、疲労が重なった時に排痰が難しくなることがあります。受診メモでは、痰の量だけでなく、出せるか、詰まる感じがあるか、吸引や咳補助が必要かを分けて書きます。

見る項目 書く内容 相談につながること
咳の力 以前より弱い、痰を出すまで時間がかかる、咳が続かない 咳介助、排痰補助、咳補助機器、訪問看護への相談
量、色、粘り、出しやすさ、詰まる感じ、夜間の増加 感染、脱水、吸引、加湿、口腔ケアの相談
吸引 吸引の有無、回数、時間帯、家族が困る場面 吸引手技、訪問看護、家族支援、短期入所時の引き継ぎ
感染時 風邪が長引く、発熱時に痰が出せない、肺炎歴がある 感染時の受診目安、緊急時の連絡先、在宅での対応確認

咳・痰メモ

咳の力
変わらない・弱くなった・かなり弱い / 痰を出すまで:__分
少ない・増えた・粘い・出せない / 詰まる感じ:あり・なし
吸引
なし・あり / 1日__回 / 困る時間帯:朝・昼・夜・夜間
感染時
風邪が長引く:あり・なし / 発熱時の排痰困難:あり・なし
相談したいこと
咳介助 / 吸引 / 咳補助機器 / 訪問看護 / 緊急時対応:____

嚥下:むせ・食事時間・声の変化を書く

嚥下の変化は、本人が慣れてしまうと気づきにくいことがあります。水分でむせる、食事時間が長くなる、食後に声が湿る、痰が増える、体重が落ちる、食事後に疲れるなどは、受診時に伝えたい情報です。

見る項目 書き方 主治医に伝える意味
むせ 水分・固形物・唾液のどれでむせるか、頻度を書く 嚥下評価、食形態、とろみ、ST相談の必要性を考える材料になります。
食事時間 食事に何分かかるか、以前より伸びたかを書く 疲労、摂取量低下、食事介助、栄養相談の判断に役立ちます。
声の湿り 食後に声が湿る、痰がからむ、咳払いが増えるかを書く 誤嚥や残留が疑われる場合の相談材料になります。
食べにくい物 水、お茶、汁物、米、肉、麺、錠剤など具体的に書く 食形態調整や薬の剤形変更を相談しやすくなります。
食後の疲れ 食後に休む必要があるか、会話が減るかを書く 食事そのものの負担、栄養摂取方法の見直しにつながります。
唾液・よだれ よだれ、唾液が飲み込みにくい、痰が増えたなどを書く 薬、口腔ケア、吸引、嚥下評価の相談材料になります。

嚥下・食事メモ

むせ
なし・週__回・毎日 / 水分・固形物・唾液・薬でむせる:____
食事時間
朝:__分 / 昼:__分 / 夜:__分 / 前回より長い:はい・いいえ
食べにくい物
水・汁物・米・肉・麺・錠剤・その他:____
食後の変化
声が湿る:あり・なし / 痰が増える:あり・なし / 疲れて休む:あり・なし
食形態
普通食・刻み・やわらかめ・ペースト・とろみ・経管栄養:____
家族の観察
__________
むせが少なくても、食事時間が伸びている場合は記録してください。
「むせないから大丈夫」とは限りません。食べる速度が落ちる、食事後に疲れる、体重が減る、声が湿るなども、嚥下・栄養の相談材料になります。

体重・栄養:数字と食べる負担をセットで書く

体重は、栄養状態だけでなく、嚥下、食事疲労、呼吸、活動量、感染後の回復にも関係します。受診メモでは、体重の数字だけでなく、食事量、食事時間、食後の疲れ、家族の介助量も一緒に書きます。

体重・栄養で書く項目
  • 現在の体重、前回からの変化
  • 1か月、3か月で体重が落ちていないか
  • 食事量が減ったか、食事回数が減ったか
  • 食べるのに時間がかかり、疲れて量が減っていないか
  • 水分量が減っていないか
  • 栄養補助食品、経管栄養、胃ろうについて相談したいこと
  • 食事介助が必要になったか
  • 家族が食事準備や介助で困っていること

体重・栄養メモ

体重
現在:__kg / 前回:__kg / 1か月前:__kg / 3か月前:__kg
食事量
変わらない・少し減った・かなり減った / 減った理由:____
水分
飲めている・少ない・むせるため減った / とろみ:あり・なし
食事回数
1日__回 / 間食:あり・なし / 栄養補助:あり・なし
食事の疲労
食後に休む:あり・なし / 食べ切れない:あり・なし
相談したいこと
栄養補助 / 食形態 / とろみ / 胃ろう / 経管栄養 / 薬の飲み方:____
体重低下、脱水、食べられない状態が続く場合は、早めに医療へ相談してください。
食事量が急に落ちた、むせが増えた、水分が取れない、体重が下がり続ける場合は、通常受診を待たずに主治医・訪問看護へ相談した方がよい場合があります。

疲労:筋力だけでなく、会話・外出・翌日の反動を書く

ALSでは、筋力低下だけでなく、会話、食事、通院、入浴、外出、リハビリ、家族との会話の後に疲労が強く出ることがあります。受診では「疲れる」という一言ではなく、何をした後に、どれくらい回復に時間がかかるかを書くと伝わりやすくなります。

疲労の場面 書く内容 確認したいこと
会話 会話後に息が上がる、声が小さくなる、話す量が減る 発話負担、コミュニケーション手段、呼吸との関係
食事 食後に横になる、食べ切れない、食事時間が長い 嚥下・栄養・食形態・食事姿勢
外出・通院 通院後に何時間・何日疲労が残るか 移動手段、車いす、訪問診療、訪問看護の必要性
入浴 入浴後に強く疲れる、息切れする、家族介助が重い 入浴方法、シャワー浴、訪問入浴、介助体制
リハビリ・運動 実施後の疲労、翌日の反動、痛み、息切れ 負荷量、頻度、休息、呼吸とのバランス
家族負担 夜間対応、吸引、移乗、食事介助で家族が眠れない 訪問看護、訪問介護、レスパイト、在宅チーム

疲労・生活メモ

疲れやすい時間帯
朝・昼・夕方・夜 / 具体的に:____
会話後
疲れる:あり・なし / 声が小さくなる:あり・なし / 息切れ:あり・なし
食事後
休む必要:あり・なし / 食後に横になる:あり・なし
外出・通院後
回復まで:数時間・1日・2日以上 / 車いす利用:あり・なし
入浴後
疲労:なし・少し・強い / 息切れ:あり・なし / 介助量:増えた・変わらない
家族の負担
夜間・食事・移乗・通院・吸引・見守り:____

発話・意思疎通も一緒に書く

受診で伝えたいことがあっても、発話が疲れる、声が小さい、言葉が出にくい、長く話すと息切れする場合があります。その場合は、本人の希望をメモで先に渡すと、診察中の負担を減らせます。

発話・意思疎通で書く項目
  • 声が小さくなった、聞き返されることが増えた
  • 長く話すと疲れる、息が続かない
  • 電話が難しくなった
  • 筆談、スマートフォン、文字盤、視線入力などを使っているか
  • 家族が代わりに説明してよい範囲
  • 本人が必ず自分で伝えたいこと

発話・意思疎通メモ

変わらない・小さくなった・聞き返される / いつから:____
会話の疲労
なし・少し・強い / 何分くらいで疲れる:__分
使っている方法
会話 / 筆談 / スマホ / 文字盤 / 視線入力 / 家族が補助:____
本人が直接伝えたいこと
__________
家族が補足してよいこと
__________
本人の希望と家族の説明を分けて書くと、診察で使いやすくなります。
家族が代わりに説明する場面でも、本人が何を希望しているか、どこまで話してよいかを一行で書いておくと、本人の意思が置き去りになりにくくなります。

薬・副作用・機器の変更も書く

薬、栄養剤、呼吸器、吸引、胃ろう、福祉用具などの変更は、受診時に必ず伝えたい情報です。特に眠気、便秘、口渇、痰の粘り、食欲、ふらつきなどが出た場合は、いつから始まったかを一緒に書きます。

項目 書くこと 注意点
新しく始めた薬、中止した薬、飲みにくい薬、飲み忘れ 自己判断で中止せず、主治医に相談します。
副作用らしい変化 眠気、便秘、下痢、口渇、ふらつき、食欲低下、痰の粘り 薬開始日・増量日との関係を書きます。
呼吸器・NPPV 使用時間、マスク漏れ、皮膚トラブル、苦しさ、使えない時間帯 設定変更は自己判断で行わず、医療者に相談します。
吸引・咳補助 使用回数、困る時間帯、家族が不安な場面 感染時の対応も確認します。
福祉用具 車いす、ベッド、リフト、手すり、意思伝達装置など 使えているか、合わない点、次に必要なものを書きます。
薬や呼吸器設定は、自己判断で変更しないでください。
受診メモは、変化を医療者へ伝えるためのものです。薬の中止、増減、呼吸器設定、酸素、吸引、栄養方法の変更は、主治医・訪問看護・専門職に確認してください。

ALS受診メモ:通常版

下の形をそのままコピーして、必要なところだけ埋めて使えます。空欄があっても問題ありません。

ALS受診メモ

記入日
__年__月__日
次回受診日
__年__月__日 / 医療機関:____ / 診療科:____
今日いちばん相談したいこと
__________
前回から一番変わったこと
__________
呼吸
横になる苦しさ:__ / 朝の頭痛:__ / 日中眠気:__ / 咳・痰:__ / 機器:__
嚥下・食事
むせ:__ / 食事時間:__分 / 食べにくい物:__ / 食後の声・痰:__
体重・栄養
現在体重:__kg / 前回:__kg / 食事量:__ / 水分:__ / 栄養補助:__
疲労・生活
疲れる場面:__ / 回復まで:__ / 通院後の反動:__ / 入浴後:__
発話・意思疎通
声:__ / 会話疲労:__ / 代替手段:__ / 本人が必ず伝えたいこと:__
薬・機器の変更
薬:__ / 副作用らしい変化:__ / 呼吸器・吸引・栄養:__
移動・介助
歩行・車いす・移乗・トイレ・入浴・夜間:____
家族が気づいたこと
__________
今回聞きたいこと
1. ____ / 2. ____ / 3. ____
次回までに確認すること
__________

ALS受診メモ:簡略版

体調が悪い日、書く時間がない日、受診直前に思い出した時は、簡略版だけで十分です。

ALS受診メモ・簡略版

今日いちばん困ること
__________
前回から変わったこと
呼吸:____ / 嚥下:____ / 体重:____ / 疲労:____
家族が気づいたこと
__________
今日聞きたいこと
__________

家族が書く欄を別に作る理由

ALSでは、本人が気を遣って症状を軽く言う、話すと疲れるため説明を短くする、家族の介護負担を言いにくい、ということがあります。一方で、家族だけが話しすぎると、本人の希望が埋もれることもあります。そのため、本人欄と家族欄を分けると使いやすくなります。

書くこと 注意点
本人の欄 本人が一番困ること、続けたい生活、嫌なこと、聞きたいこと 短くて構いません。本人の言葉を残します。
家族の欄 食事時間、咳の弱さ、夜間、転倒、介助量、家族の睡眠不足 本人を否定する形ではなく、観察事実として書きます。
医療者に聞く欄 検査、薬、呼吸、嚥下、栄養、訪問看護、制度、緊急時対応 質問は3つまでに絞ると、診察内で扱いやすくなります。
家族の負担も、医療・在宅支援の重要な情報です。
夜間対応、吸引、食事介助、移乗、通院付き添いで家族が眠れない場合は、本人の安全にも関わります。訪問看護、在宅チーム、レスパイト、短期入所の相談につながることがあります。

受診前日に確認するチェックリスト

持っていくもの・確認すること
  • 受診メモ
  • 薬の一覧、お薬手帳
  • 体重の記録
  • SpO2や呼吸機器の記録があればその控え
  • NPPV、人工呼吸器、吸引、胃ろう、栄養剤などの変更点
  • 指定難病受給者証、保険証、自己負担上限額管理票
  • 訪問看護、ケアマネ、相談支援からのメモ
  • 家族が聞きたいこと
  • 次回までに必要な診断書・指示書・紹介状
  • 緊急時に備えて確認したい連絡先
受診メモで緊急症状を先送りしないでください。
呼吸が苦しくて会話が続かない、痰が詰まる、急に飲み込めない、強い脱水、意識がぼんやりする、転倒後に強い痛みがある場合は、次回受診を待たず、医療機関・訪問看護・救急へ相談してください。

受診後にやること

受診メモは、診察前だけでなく、診察後の整理にも使えます。診察で決まったこと、次回までに見ること、家族や支援者へ伝えることを短く残します。

受診後メモ

今日決まったこと
__________
薬・機器・食事の変更
薬:__ / 呼吸器:__ / 吸引:__ / 食事・栄養:__
次回までに記録すること
呼吸 / 嚥下 / 体重 / 疲労 / 発話 / 介助量:____
家族・支援者へ伝えること
訪問看護 / ケアマネ / 相談支援 / 学校・職場 / 家族:____
次回受診までに確認すること
1. ____ / 2. ____ / 3. ____
診察で決まった内容は、その日のうちに共有すると抜けにくくなります。
訪問看護、ケアマネ、相談支援、家族に伝える内容がある場合は、受診後メモを使って短く共有します。

よくある失敗と対策

失敗しやすいこと 起こる問題 対策
長い日記をそのまま持っていく 重要な変化が埋もれる 前回からの変化と今日の相談点を最初に3行で書きます。
呼吸を「息切れ」だけで見る 睡眠、朝の頭痛、眠気、咳・痰の変化を見落とす 呼吸は睡眠・咳・痰もセットで書きます。
むせだけを書いて、食事時間を書かない 嚥下や栄養の負担が伝わりにくい 食事時間、食後の疲れ、体重も一緒に書きます。
体重だけ書く なぜ減ったのかが分かりにくい 食事量、食事時間、水分、むせ、食後疲労とセットで書きます。
疲労を「疲れる」だけで書く 生活への影響が伝わらない 会話後、食後、通院後、入浴後、翌日の反動を書きます。
家族の観察を遠慮する 本人が気づきにくい変化が伝わらない 本人欄と家族欄を分け、観察事実として書きます。
聞きたいことを多く書きすぎる 診察内で扱いきれない 今日必ず聞きたいことを3つ以内に絞ります。

よくある質問

受診メモは毎回書いた方がよいですか?

毎回すべてを埋める必要はありません。ただし、呼吸、嚥下、体重、疲労、家族の介助量は、同じ順番で短く残すと変化を比較しやすくなります。

本人が書けない場合、家族が書いてもよいですか?

家族が書いて構いません。ただし、本人の希望と家族の観察は分けて書くと、診察で使いやすくなります。本人が伝えたいことは、短くても本人の言葉として残します。

呼吸器や薬の設定をメモを見ながら変えてよいですか?

自己判断で変更しないでください。メモは、変化を主治医や訪問看護へ伝えるためのものです。薬、呼吸器設定、酸素、吸引、栄養方法の変更は医療者に確認してください。

食事でむせない場合は、嚥下欄は空欄でよいですか?

むせがなくても、食事時間が長くなった、体重が落ちた、食後に疲れる、声が湿る、水分量が減った場合は記録してください。嚥下と栄養の変化は、むせだけでは判断できません。

受診で何を優先して聞けばよいですか?

呼吸、嚥下、体重低下、急な疲労増加、家族が安全面で不安なことを優先します。質問が多い場合は、今日必ず聞くことを3つに絞り、残りは次回までの確認事項にします。

あわせて確認したいページ

受診メモは、緊急時カード、家族会議、在宅チーム、呼吸ケアと一緒に使うと整理しやすくなります。

参考文献・参考情報

免責事項

このページは、ALSの受診メモ、呼吸、嚥下、体重、栄養、疲労、発話、薬、家族の観察を整理し、本人・家族が医療者へ情報共有しやすくするための一般情報です。個別の診断、治療、薬剤、検査、NPPV、人工呼吸器、吸引、胃ろう、栄養補助、リハビリ、在宅医療の適応を判断するものではありません。

実際に記録すべき項目や受診時に相談すべき内容は、症状、病型、進行速度、呼吸機能、嚥下機能、体重変化、使用している医療機器、家族体制、主治医・訪問看護・在宅チームの方針によって変わります。呼吸困難、痰詰まり、意識低下、急な嚥下困難、脱水、強い転倒、介護者の急病など安全に関わる状況では、受診メモの作成よりも医療機関・訪問看護・救急への相談を優先してください。