ALSの診察では、筋力、発話、嚥下、呼吸、体重、疲労、生活介助、在宅支援、制度準備など、短い時間で確認したいことが多くなります。診察室で全部を思い出して話そうとすると、大切な変化ほど抜けやすくなります。このページでは、ALSの受診前に使えるメモを、呼吸・嚥下・体重・疲労を中心に整理します。
ALSの受診メモは、長い日記ではなく、前回から何が変わったか、今日いちばん相談したいことは何か、家族から見て危ない変化はあるかを短く渡すためのものです。全部を埋めるより、主治医が次の判断に使いやすい情報を残すことを優先します。
このページの役割
このページは、ALSの定期受診や専門外来で使う「受診メモ」のページです。救急搬送や急な入院で使う引き継ぎシート、家族で決めごとを整理する家族会議シートとは役割が違います。
| ページ・シート | 主な場面 | 書く中心 | このページとの違い |
|---|---|---|---|
| ALS受診メモ | 定期受診、専門外来、訪問診療前 | 前回からの変化、呼吸、嚥下、体重、疲労、相談したいこと | このページ。主治医に短く渡すためのメモです。 |
| ALS救急受診用引き継ぎシート | 救急搬送、急な受診、入院 | 診断名、主治医、薬、呼吸器、吸引、嚥下、意思疎通、緊急連絡先 | 急変時に医療者へ最低限の安全情報を伝えるものです。 |
| ALS家族会議テンプレート | 本人・家族・支援者で話し合う時 | 今月決めること、保留すること、家族の役割、外部支援 | 診察用ではなく、生活と支援体制を整えるためのものです。 |
| 在宅チーム・制度相談メモ | 訪問看護、ケアマネ、相談支援、自治体相談 | 介助量、夜間対応、用具、サービス、家族負担 | 医療判断より、生活を支える体制づくりに使います。 |
結論:呼吸・嚥下・体重・疲労の4項目を毎回同じ順番で書く
受診ごとに書く順番を変えないことで、前回との比較がしやすくなります。ALSでは、呼吸、嚥下、栄養、発話、生活動作、家族介助がつながって変化するため、同じ項目を短く積み重ねることが大切です。
息切れだけでなく、横になる苦しさ、朝の頭痛、日中の眠気、咳の弱さ、痰の出しにくさ、感染時の悪化を書きます。
むせ、食事時間、水分の飲みにくさ、食後の疲れ、声の湿り、よだれ、痰の増加などを短く書きます。
体重変化、食事量、食事回数、食べられる形態、栄養補助、食事にかかる負担を書きます。
午後の崩れ、外出後の反動、会話後の疲れ、通院後の疲労、家族の介助量の変化を書きます。
受診メモでいちばん大事な考え方
ALSでは、本人が「まだ大丈夫」と感じていても、家族から見ると食事時間が長くなった、咳が弱くなった、声が小さくなった、夜間に苦しそう、体重が落ちている、通院後に寝込むなどの変化が見えることがあります。受診メモでは、本人の自覚と家族の観察を分けて書くと、診察で伝わりやすくなります。
| 書き方 | 弱い例 | 伝わりやすい例 |
|---|---|---|
| 前回との比較で書く | 少し悪い | 前回より食事時間が20分長くなった。夕食後は会話が減る。 |
| 頻度を書く | むせる | 水分で週3回ほどむせる。食後に声が湿ることがある。 |
| 時間帯を書く | 息苦しい | 夜間に目が覚める。朝に頭が重い日が週2回ある。 |
| 生活への影響を書く | 疲れる | 通院後は翌日まで横になる。外出後に食事量が落ちる。 |
| 家族の観察を書く | 本人は大丈夫と言う | 本人は大丈夫と言うが、家族から見ると咳が弱く、痰を出すのに時間がかかる。 |
ALSでは、短時間ならできる動作でも、その後に疲労が強く出ることがあります。受診では、診察室でできたかどうかだけでなく、日常で安全に続けられるか、翌日に反動が残るかも伝えます。
診察の最初に渡す「3行メモ」
診察時間が短い場合は、最初に3行だけ渡すと話が進みやすくなります。細かいメモは後から見せればよいので、最初の紙には一番大事な変化だけを書きます。
診察最初の3行メモ
- 今日いちばん相談したいこと
- __________
- 前回から一番変わったこと
- __________
- 家族から見て危ない変化
- 呼吸 / 嚥下 / 体重 / 疲労 / 転倒 / 介助量 / その他:____
受付時に渡す、診察の最初に見せる、スマートフォン画面で見せる、家族が代わりに読むなど、使いやすい形で構いません。大事なのは、診察の最初に「今日の中心」を共有することです。
呼吸:息切れだけでなく、睡眠・咳・痰を一緒に書く
呼吸の変化は、日中の息切れよりも、睡眠の質、朝の頭痛、日中の眠気、咳の弱さ、痰の出しにくさとして先に気づかれることがあります。受診メモでは「息が苦しいか」だけでなく、睡眠と排痰も一緒に書きます。
- 横になると苦しい、枕が増えた
- 夜間に目が覚める、息苦しさで起きる
- 朝の頭痛、頭が重い、起きた時から疲れている
- 日中の眠気、集中低下、寝ても回復しない
- 咳が弱い、痰が出しにくい、痰が増えると詰まる感じがある
- 風邪や感染後に長引く、痰が切れない
- NPPV、人工呼吸器、酸素、吸引、咳補助機器を使っているか
- 家族から見て呼吸が浅い、寝ている時の様子が変わった
呼吸メモ
- 横になる苦しさ
- なし・少し・強い / 枕の数:__個 / いつから:____
- 夜間
- 目が覚める:なし・週__回 / 息苦しさ:あり・なし / 睡眠時間:__時間
- 朝
- 頭痛・頭重感:なし・週__回 / 起床時の疲れ:なし・少し・強い
- 日中
- 眠気:なし・少し・強い / 集中低下:あり・なし / 会話で疲れる:あり・なし
- 咳・痰
- 咳の弱さ:感じる・感じない / 痰:出せる・出しにくい / 詰まる感じ:あり・なし
- 機器
- NPPV・人工呼吸器・酸素・吸引・咳補助:あり・なし / 使用時間:____
- 家族の観察
- __________
受診メモは通常診察の準備には役立ちますが、急な呼吸苦や痰詰まりがある場合は、メモ作成よりも主治医・訪問看護・救急への相談を優先してください。
呼吸の見逃しサインは、筋ジストロフィー・ミオパチーの呼吸ケアも確認してください。
咳・痰・吸引:感染時に困ることを先に書く
ALSでは、普段は何とか過ごせていても、風邪、発熱、痰の増加、疲労が重なった時に排痰が難しくなることがあります。受診メモでは、痰の量だけでなく、出せるか、詰まる感じがあるか、吸引や咳補助が必要かを分けて書きます。
| 見る項目 | 書く内容 | 相談につながること |
|---|---|---|
| 咳の力 | 以前より弱い、痰を出すまで時間がかかる、咳が続かない | 咳介助、排痰補助、咳補助機器、訪問看護への相談 |
| 痰 | 量、色、粘り、出しやすさ、詰まる感じ、夜間の増加 | 感染、脱水、吸引、加湿、口腔ケアの相談 |
| 吸引 | 吸引の有無、回数、時間帯、家族が困る場面 | 吸引手技、訪問看護、家族支援、短期入所時の引き継ぎ |
| 感染時 | 風邪が長引く、発熱時に痰が出せない、肺炎歴がある | 感染時の受診目安、緊急時の連絡先、在宅での対応確認 |
咳・痰メモ
- 咳の力
- 変わらない・弱くなった・かなり弱い / 痰を出すまで:__分
- 痰
- 少ない・増えた・粘い・出せない / 詰まる感じ:あり・なし
- 吸引
- なし・あり / 1日__回 / 困る時間帯:朝・昼・夜・夜間
- 感染時
- 風邪が長引く:あり・なし / 発熱時の排痰困難:あり・なし
- 相談したいこと
- 咳介助 / 吸引 / 咳補助機器 / 訪問看護 / 緊急時対応:____
嚥下:むせ・食事時間・声の変化を書く
嚥下の変化は、本人が慣れてしまうと気づきにくいことがあります。水分でむせる、食事時間が長くなる、食後に声が湿る、痰が増える、体重が落ちる、食事後に疲れるなどは、受診時に伝えたい情報です。
| 見る項目 | 書き方 | 主治医に伝える意味 |
|---|---|---|
| むせ | 水分・固形物・唾液のどれでむせるか、頻度を書く | 嚥下評価、食形態、とろみ、ST相談の必要性を考える材料になります。 |
| 食事時間 | 食事に何分かかるか、以前より伸びたかを書く | 疲労、摂取量低下、食事介助、栄養相談の判断に役立ちます。 |
| 声の湿り | 食後に声が湿る、痰がからむ、咳払いが増えるかを書く | 誤嚥や残留が疑われる場合の相談材料になります。 |
| 食べにくい物 | 水、お茶、汁物、米、肉、麺、錠剤など具体的に書く | 食形態調整や薬の剤形変更を相談しやすくなります。 |
| 食後の疲れ | 食後に休む必要があるか、会話が減るかを書く | 食事そのものの負担、栄養摂取方法の見直しにつながります。 |
| 唾液・よだれ | よだれ、唾液が飲み込みにくい、痰が増えたなどを書く | 薬、口腔ケア、吸引、嚥下評価の相談材料になります。 |
嚥下・食事メモ
- むせ
- なし・週__回・毎日 / 水分・固形物・唾液・薬でむせる:____
- 食事時間
- 朝:__分 / 昼:__分 / 夜:__分 / 前回より長い:はい・いいえ
- 食べにくい物
- 水・汁物・米・肉・麺・錠剤・その他:____
- 食後の変化
- 声が湿る:あり・なし / 痰が増える:あり・なし / 疲れて休む:あり・なし
- 食形態
- 普通食・刻み・やわらかめ・ペースト・とろみ・経管栄養:____
- 家族の観察
- __________
「むせないから大丈夫」とは限りません。食べる速度が落ちる、食事後に疲れる、体重が減る、声が湿るなども、嚥下・栄養の相談材料になります。
体重・栄養:数字と食べる負担をセットで書く
体重は、栄養状態だけでなく、嚥下、食事疲労、呼吸、活動量、感染後の回復にも関係します。受診メモでは、体重の数字だけでなく、食事量、食事時間、食後の疲れ、家族の介助量も一緒に書きます。
- 現在の体重、前回からの変化
- 1か月、3か月で体重が落ちていないか
- 食事量が減ったか、食事回数が減ったか
- 食べるのに時間がかかり、疲れて量が減っていないか
- 水分量が減っていないか
- 栄養補助食品、経管栄養、胃ろうについて相談したいこと
- 食事介助が必要になったか
- 家族が食事準備や介助で困っていること
体重・栄養メモ
- 体重
- 現在:__kg / 前回:__kg / 1か月前:__kg / 3か月前:__kg
- 食事量
- 変わらない・少し減った・かなり減った / 減った理由:____
- 水分
- 飲めている・少ない・むせるため減った / とろみ:あり・なし
- 食事回数
- 1日__回 / 間食:あり・なし / 栄養補助:あり・なし
- 食事の疲労
- 食後に休む:あり・なし / 食べ切れない:あり・なし
- 相談したいこと
- 栄養補助 / 食形態 / とろみ / 胃ろう / 経管栄養 / 薬の飲み方:____
食事量が急に落ちた、むせが増えた、水分が取れない、体重が下がり続ける場合は、通常受診を待たずに主治医・訪問看護へ相談した方がよい場合があります。
疲労:筋力だけでなく、会話・外出・翌日の反動を書く
ALSでは、筋力低下だけでなく、会話、食事、通院、入浴、外出、リハビリ、家族との会話の後に疲労が強く出ることがあります。受診では「疲れる」という一言ではなく、何をした後に、どれくらい回復に時間がかかるかを書くと伝わりやすくなります。
| 疲労の場面 | 書く内容 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| 会話 | 会話後に息が上がる、声が小さくなる、話す量が減る | 発話負担、コミュニケーション手段、呼吸との関係 |
| 食事 | 食後に横になる、食べ切れない、食事時間が長い | 嚥下・栄養・食形態・食事姿勢 |
| 外出・通院 | 通院後に何時間・何日疲労が残るか | 移動手段、車いす、訪問診療、訪問看護の必要性 |
| 入浴 | 入浴後に強く疲れる、息切れする、家族介助が重い | 入浴方法、シャワー浴、訪問入浴、介助体制 |
| リハビリ・運動 | 実施後の疲労、翌日の反動、痛み、息切れ | 負荷量、頻度、休息、呼吸とのバランス |
| 家族負担 | 夜間対応、吸引、移乗、食事介助で家族が眠れない | 訪問看護、訪問介護、レスパイト、在宅チーム |
疲労・生活メモ
- 疲れやすい時間帯
- 朝・昼・夕方・夜 / 具体的に:____
- 会話後
- 疲れる:あり・なし / 声が小さくなる:あり・なし / 息切れ:あり・なし
- 食事後
- 休む必要:あり・なし / 食後に横になる:あり・なし
- 外出・通院後
- 回復まで:数時間・1日・2日以上 / 車いす利用:あり・なし
- 入浴後
- 疲労:なし・少し・強い / 息切れ:あり・なし / 介助量:増えた・変わらない
- 家族の負担
- 夜間・食事・移乗・通院・吸引・見守り:____
発話・意思疎通も一緒に書く
受診で伝えたいことがあっても、発話が疲れる、声が小さい、言葉が出にくい、長く話すと息切れする場合があります。その場合は、本人の希望をメモで先に渡すと、診察中の負担を減らせます。
- 声が小さくなった、聞き返されることが増えた
- 長く話すと疲れる、息が続かない
- 電話が難しくなった
- 筆談、スマートフォン、文字盤、視線入力などを使っているか
- 家族が代わりに説明してよい範囲
- 本人が必ず自分で伝えたいこと
発話・意思疎通メモ
- 声
- 変わらない・小さくなった・聞き返される / いつから:____
- 会話の疲労
- なし・少し・強い / 何分くらいで疲れる:__分
- 使っている方法
- 会話 / 筆談 / スマホ / 文字盤 / 視線入力 / 家族が補助:____
- 本人が直接伝えたいこと
- __________
- 家族が補足してよいこと
- __________
家族が代わりに説明する場面でも、本人が何を希望しているか、どこまで話してよいかを一行で書いておくと、本人の意思が置き去りになりにくくなります。
薬・副作用・機器の変更も書く
薬、栄養剤、呼吸器、吸引、胃ろう、福祉用具などの変更は、受診時に必ず伝えたい情報です。特に眠気、便秘、口渇、痰の粘り、食欲、ふらつきなどが出た場合は、いつから始まったかを一緒に書きます。
| 項目 | 書くこと | 注意点 |
|---|---|---|
| 薬 | 新しく始めた薬、中止した薬、飲みにくい薬、飲み忘れ | 自己判断で中止せず、主治医に相談します。 |
| 副作用らしい変化 | 眠気、便秘、下痢、口渇、ふらつき、食欲低下、痰の粘り | 薬開始日・増量日との関係を書きます。 |
| 呼吸器・NPPV | 使用時間、マスク漏れ、皮膚トラブル、苦しさ、使えない時間帯 | 設定変更は自己判断で行わず、医療者に相談します。 |
| 吸引・咳補助 | 使用回数、困る時間帯、家族が不安な場面 | 感染時の対応も確認します。 |
| 福祉用具 | 車いす、ベッド、リフト、手すり、意思伝達装置など | 使えているか、合わない点、次に必要なものを書きます。 |
受診メモは、変化を医療者へ伝えるためのものです。薬の中止、増減、呼吸器設定、酸素、吸引、栄養方法の変更は、主治医・訪問看護・専門職に確認してください。
ALS受診メモ:通常版
下の形をそのままコピーして、必要なところだけ埋めて使えます。空欄があっても問題ありません。
ALS受診メモ
- 記入日
- __年__月__日
- 次回受診日
- __年__月__日 / 医療機関:____ / 診療科:____
- 今日いちばん相談したいこと
- __________
- 前回から一番変わったこと
- __________
- 呼吸
- 横になる苦しさ:__ / 朝の頭痛:__ / 日中眠気:__ / 咳・痰:__ / 機器:__
- 嚥下・食事
- むせ:__ / 食事時間:__分 / 食べにくい物:__ / 食後の声・痰:__
- 体重・栄養
- 現在体重:__kg / 前回:__kg / 食事量:__ / 水分:__ / 栄養補助:__
- 疲労・生活
- 疲れる場面:__ / 回復まで:__ / 通院後の反動:__ / 入浴後:__
- 発話・意思疎通
- 声:__ / 会話疲労:__ / 代替手段:__ / 本人が必ず伝えたいこと:__
- 薬・機器の変更
- 薬:__ / 副作用らしい変化:__ / 呼吸器・吸引・栄養:__
- 移動・介助
- 歩行・車いす・移乗・トイレ・入浴・夜間:____
- 家族が気づいたこと
- __________
- 今回聞きたいこと
- 1. ____ / 2. ____ / 3. ____
- 次回までに確認すること
- __________
ALS受診メモ:簡略版
体調が悪い日、書く時間がない日、受診直前に思い出した時は、簡略版だけで十分です。
ALS受診メモ・簡略版
- 今日いちばん困ること
- __________
- 前回から変わったこと
- 呼吸:____ / 嚥下:____ / 体重:____ / 疲労:____
- 家族が気づいたこと
- __________
- 今日聞きたいこと
- __________
家族が書く欄を別に作る理由
ALSでは、本人が気を遣って症状を軽く言う、話すと疲れるため説明を短くする、家族の介護負担を言いにくい、ということがあります。一方で、家族だけが話しすぎると、本人の希望が埋もれることもあります。そのため、本人欄と家族欄を分けると使いやすくなります。
| 欄 | 書くこと | 注意点 |
|---|---|---|
| 本人の欄 | 本人が一番困ること、続けたい生活、嫌なこと、聞きたいこと | 短くて構いません。本人の言葉を残します。 |
| 家族の欄 | 食事時間、咳の弱さ、夜間、転倒、介助量、家族の睡眠不足 | 本人を否定する形ではなく、観察事実として書きます。 |
| 医療者に聞く欄 | 検査、薬、呼吸、嚥下、栄養、訪問看護、制度、緊急時対応 | 質問は3つまでに絞ると、診察内で扱いやすくなります。 |
夜間対応、吸引、食事介助、移乗、通院付き添いで家族が眠れない場合は、本人の安全にも関わります。訪問看護、在宅チーム、レスパイト、短期入所の相談につながることがあります。
受診前日に確認するチェックリスト
- 受診メモ
- 薬の一覧、お薬手帳
- 体重の記録
- SpO2や呼吸機器の記録があればその控え
- NPPV、人工呼吸器、吸引、胃ろう、栄養剤などの変更点
- 指定難病受給者証、保険証、自己負担上限額管理票
- 訪問看護、ケアマネ、相談支援からのメモ
- 家族が聞きたいこと
- 次回までに必要な診断書・指示書・紹介状
- 緊急時に備えて確認したい連絡先
呼吸が苦しくて会話が続かない、痰が詰まる、急に飲み込めない、強い脱水、意識がぼんやりする、転倒後に強い痛みがある場合は、次回受診を待たず、医療機関・訪問看護・救急へ相談してください。
受診後にやること
受診メモは、診察前だけでなく、診察後の整理にも使えます。診察で決まったこと、次回までに見ること、家族や支援者へ伝えることを短く残します。
受診後メモ
- 今日決まったこと
- __________
- 薬・機器・食事の変更
- 薬:__ / 呼吸器:__ / 吸引:__ / 食事・栄養:__
- 次回までに記録すること
- 呼吸 / 嚥下 / 体重 / 疲労 / 発話 / 介助量:____
- 家族・支援者へ伝えること
- 訪問看護 / ケアマネ / 相談支援 / 学校・職場 / 家族:____
- 次回受診までに確認すること
- 1. ____ / 2. ____ / 3. ____
訪問看護、ケアマネ、相談支援、家族に伝える内容がある場合は、受診後メモを使って短く共有します。
よくある失敗と対策
| 失敗しやすいこと | 起こる問題 | 対策 |
|---|---|---|
| 長い日記をそのまま持っていく | 重要な変化が埋もれる | 前回からの変化と今日の相談点を最初に3行で書きます。 |
| 呼吸を「息切れ」だけで見る | 睡眠、朝の頭痛、眠気、咳・痰の変化を見落とす | 呼吸は睡眠・咳・痰もセットで書きます。 |
| むせだけを書いて、食事時間を書かない | 嚥下や栄養の負担が伝わりにくい | 食事時間、食後の疲れ、体重も一緒に書きます。 |
| 体重だけ書く | なぜ減ったのかが分かりにくい | 食事量、食事時間、水分、むせ、食後疲労とセットで書きます。 |
| 疲労を「疲れる」だけで書く | 生活への影響が伝わらない | 会話後、食後、通院後、入浴後、翌日の反動を書きます。 |
| 家族の観察を遠慮する | 本人が気づきにくい変化が伝わらない | 本人欄と家族欄を分け、観察事実として書きます。 |
| 聞きたいことを多く書きすぎる | 診察内で扱いきれない | 今日必ず聞きたいことを3つ以内に絞ります。 |
よくある質問
受診メモは毎回書いた方がよいですか?
毎回すべてを埋める必要はありません。ただし、呼吸、嚥下、体重、疲労、家族の介助量は、同じ順番で短く残すと変化を比較しやすくなります。
本人が書けない場合、家族が書いてもよいですか?
家族が書いて構いません。ただし、本人の希望と家族の観察は分けて書くと、診察で使いやすくなります。本人が伝えたいことは、短くても本人の言葉として残します。
呼吸器や薬の設定をメモを見ながら変えてよいですか?
自己判断で変更しないでください。メモは、変化を主治医や訪問看護へ伝えるためのものです。薬、呼吸器設定、酸素、吸引、栄養方法の変更は医療者に確認してください。
食事でむせない場合は、嚥下欄は空欄でよいですか?
むせがなくても、食事時間が長くなった、体重が落ちた、食後に疲れる、声が湿る、水分量が減った場合は記録してください。嚥下と栄養の変化は、むせだけでは判断できません。
受診で何を優先して聞けばよいですか?
呼吸、嚥下、体重低下、急な疲労増加、家族が安全面で不安なことを優先します。質問が多い場合は、今日必ず聞くことを3つに絞り、残りは次回までの確認事項にします。
あわせて確認したいページ
受診メモは、緊急時カード、家族会議、在宅チーム、呼吸ケアと一緒に使うと整理しやすくなります。
参考文献・参考情報
-
NICE. Motor neurone disease: assessment and management. NICE guideline NG42.
https://www.nice.org.uk/guidance/ng42 -
NICE. Recommendations: Motor neurone disease: assessment and management.
https://www.nice.org.uk/guidance/ng42/chapter/recommendations -
European Academy of Neurology. EAN guideline on the management of amyotrophic lateral sclerosis in collaboration with ERN EURO-NMD. European Journal of Neurology. 2024.
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/ene.16264 -
National Institute of Neurological Disorders and Stroke. Amyotrophic Lateral Sclerosis ALS.
https://www.ninds.nih.gov/health-information/disorders/amyotrophic-lateral-sclerosis-als -
Miller RG, Jackson CE, Kasarskis EJ, et al. Practice Parameter update: The care of the patient with amyotrophic lateral sclerosis: drug, nutritional, and respiratory therapies. Neurology. 2009.
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC2764727/ -
ALS Association. Addressing Respiratory Changes in ALS.
https://www.als.org/navigating-als/living-with-als/therapies-care/addressing-respiratory-changes -
ALS Association. Managing Speech and Swallowing Changes.
https://www.als.org/navigating-als/living-with-als/therapies-care/managing-speech-swallowing-changes -
MND Australia. Breathing and MND: an introduction.
https://www.mndaustralia.org.au/mnd-connect/information-resources/breathing-and-mnd-an-introduction
免責事項
このページは、ALSの受診メモ、呼吸、嚥下、体重、栄養、疲労、発話、薬、家族の観察を整理し、本人・家族が医療者へ情報共有しやすくするための一般情報です。個別の診断、治療、薬剤、検査、NPPV、人工呼吸器、吸引、胃ろう、栄養補助、リハビリ、在宅医療の適応を判断するものではありません。
実際に記録すべき項目や受診時に相談すべき内容は、症状、病型、進行速度、呼吸機能、嚥下機能、体重変化、使用している医療機器、家族体制、主治医・訪問看護・在宅チームの方針によって変わります。呼吸困難、痰詰まり、意識低下、急な嚥下困難、脱水、強い転倒、介護者の急病など安全に関わる状況では、受診メモの作成よりも医療機関・訪問看護・救急への相談を優先してください。
